神社仏閣巡りだけじゃない!イマドキの修学旅行はこんなに進化していた

2017/11/17
放送作家 鴨島妙実

 

この時期、制服を着た高校生を都内観光地でよく見かけます。中学校の修学旅行は3年生の、ゴールデンウィーク明けに実施されることが多いですが、高校は2年生が、ちょうど今の時期に行くことが多いようですね。

 

修学旅行はどこへ行きましたか? 覚えていますか?ちなみに、当時関東近郊に住んでいた筆者は、中学校の修学旅行は京都・奈良だったのですが、進学した高校でも、まさかの京都・奈良…。

 

公益財団法人全国修学旅行研究協会の、最新の調査データ(2014)によると、関東圏の中学校の修学旅行先として最も多いのが関西方面(88.1%)となっています。同じ市内に歴史的建造物など、観光スポットがぎゅっと集まっている京都などは、生徒たちだけでの移動もしやすいことから、「歴史学習」をテーマにする場合は、やはり人気なのでしょう。

 

ところが、都内の中学校に通う、お嬢さんのいる方が、「ウチの娘、修学旅行の行先が京都・奈良じゃないんだよ。」と言うのです!

 

そもそも修学旅行には、各市町村教育委員会の定める実施基準概要(期間や旅費を定めたもの)があり、基準の範囲内であれば、行先や内容に決まりはありません。テーマも、「歴史学習」「平和学習」など、学校ごとに決めています。

 

ちなみに、知人のお嬢さんの学校は、修学旅行が「民泊体験」だったそうです。いくつかのグループに分かれて一般のご家庭にお邪魔し、宿泊先の農作業など、いわゆる田舎暮らしを体験するものだったとのことです。

 

もしかして、最近の修学旅行って、神社仏閣巡りだけじゃないの…?

 

そこで、全国の学校に修学旅行を提案している近畿日本ツーリスト、教育旅行部長の深山さんに、イマドキの修学旅行は一体どうなっているのか、ニーズや背景、そして、最新の修学旅行プランについて教えていただきました。

 

 

「見て終わり」じゃない!最新の神社仏閣巡り

王道の京都・奈良神社仏閣巡りは、56人くらいのグループが、見て回る場所を決めて行くことが多いと思います。しかし、他の観光客もたくさんいるし、行程を詰めすぎて結局あまり見学できなかった、それどころかグループのメンバーがはぐれてしまって見学どころではなくなってしまった! なんて思い出がある人もいるのではないでしょうか。

 

せっかく来ているのだし、教科書の写真だけで見ていた建物を、ただ眺めて「へぇ~」で終わってしまってはもったいないし、もちろん、先生方だって、生徒たちにしっかり学んでほしい気持ちがあります。

 

そこで、神社仏閣巡りをサポートしてくれるのが、「音声ガイド タッチペン」です。

 

 

ラミネートされている地図には、神社や寺院が掲載されており、該当する建物名を、ペン型の機械でタッチすると、ペンに内蔵されているスピーカーから音声で解説が流れるのです。内容は、建物がいつ、どういった背景で建てられたのか、誰が建立したのか、といった歴史的背景などです。目の前に対象の建物を見ながら解説が聞けるので、使用した学生からも「よく分かる」「勉強になる」と評判だとか。

 

筆者が学生の頃は、事前にグループで調べた資料や、修学旅行のしおりを持って歩いていましたが、これがけっこうかさばるんですよね。 しかも、建物見ながら資料も読むかと言ったら…見た記憶がありません…。1枚ペラのラミネートとタッチペンだけなら、荷物も少なくて済むし、実物を見ながらだと、学びも深まる気がします。

 

ちなみにタッチペンは、周りの観光客に配慮して、音声をイヤホンで聴くこともできるようになっています。嬉しい気遣いも完備です。

 

 

修学旅行先でプログラミングが学べる

 

生まれた時からインターネットと暮らす世代には、ICT教育はもはや当然。2020年に、小学校からプログラミング教育が必修化することが決まったことで、プログラミング学習の機会は、学校からのニーズも増加しています。

 

そんな要望に応えた修学旅行プランが「修学旅行向けプログラミング教室」です。これは、中・高校生のためのプログラミングスクールを展開するライフイズテック株式会社と、近畿日本ツーリストが共同で企画しているもので、現在は東京と大阪で実施をしています。

 

内容は、

・生徒は5~6人のグループに分かれる

・プログラミングを学んでいる大学生が1人、それぞれのグループに入る

・大学生と一緒にプログラミングに取り組む

 

です。

 

緊張をほぐすために、大学生のリードでアイスブレイクをしたら、いよいよ開発体験に入ります。「カウントアプリ」や「時計アプリ」を作って、色やデザインも自分好みにデコレーションしたり、他にもウェブサイト制作、ゲーム制作など、さまざまな開発プランが準備されています。普段自分たちがユーザーとして使っているモノを自分たちで作れるなんて、感動しますね!

 

深山さんによれば、このプランの魅力は、プログラミングができるのはもちろん、「中高生にとっては年齢が近い、大学生とのコミュニケーションがとれること」だそうです。ここで初めてプログラミングに触れる生徒たちも、勉強を続けていったらどんなことができるようになるのか、リアルな声を、歳の近い先輩から聞けるので、3時間の体験時間はずっと賑やかなんだとか。

 

また、過去には某有名ゲームアプリ会社の会議室で開催をし、社員が話す時間を作ったこともあるそうです。生徒たちにとっては、「自分たちがいつも手元のスマホで楽しんでいる、ゲームを作っている人たち」ですから、目がキラッキラしていたと言います。「こんな仕事もあるのか!」 と、知らない世界を知れるのは刺激的ですね。

 

 

有名アスリートに会える、話せる、船上講演会

 

2020年に、オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されるのを前にして、「生徒たちに、オリンピックをより身近に感じてもらいたい」というニーズも増加しています。そんな学校の要望に応えたプランが「元アスリートとの交流会」。なんと、過去オリンピックに出場をしたアスリートたちに会って話が聞けるのです!

 

競技会場予定のお台場・有明地区を遊覧船で巡りながら、船の中で講演会が行われますが、有名アスリートと身近に居られる機会もそうないでしょうから、感動することでしょう。

 

ちなみに、元バレーボール選手の大山加奈さんが登壇した際は、学生との写真撮影はもちろん、下船の時にはハイタッチで応じてくれるなどして、バレー部女子は大号泣だったとか。今年の5月に始まったばかりのプランですが、すでに10校、人数にして2,000人が参加しており、今最も注目される修学旅行プランのひとつです。

 

 

近年、「モノ消費からコト消費へ」と言われていますが、修学旅行も、まさに“コト消費”、つまり、体験重視に変わってきています。体験を通した学習は、より理解が深まると言われますから、修学旅行という非日常での、楽しかった体験は、きっと生徒たちの記憶に強く残ることでしょう。その土地に住まう人たちや、大学生、働く大人、アスリートとの出会いが、生徒たちの人生を大きく変えるかも…!

 

最新の修学旅行は、そんな可能性がぎゅっと詰まったプランばかりでした。こんな修学旅行なら、筆者だって行きたい…! …大人バージョンも展開してくれないかな…。

<文・写真 鴨島 妙実>

 

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この記事を書いた人

放送作家 鴨島妙実

ラジオ番組の構成や、コラムを執筆中。 「ADVANCE EARTH(NACK5)」や「マイナビ学生の窓口」などに参加。 明日が1ミリでも楽しい日になるような情報をご紹介したいと思っています。趣味は大喜利(のお題作り)。

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