
石川の文化と音楽が“つながる”一日となった「わっかフェス」2026が開催された。音楽やパフォーマンスを通じて地域や社会の活性化を目指す同イベントは、今年で4回目。今回は初の石川県での開催となり、約2000人の来場者が会場に足を運んだ。
本フェスは、三菱商事と朝日新聞社が中心となり2014~2022年まで開催した復興支援音楽祭「歌の絆プロジェクト」の流れをくむ、“人と人のつながり”をテーマに掲げるイベントだ。「わっか」とは人と人とのつながり、すなわち「絆」を意味する。能登半島地震などを経て、地域の想いを未来へとつなぐ場として、音楽と地域文化の融合が意識された構成となっている。
■伝統芸能、合唱、吹奏楽…そして友近も登場
開幕を飾ったのは、石川県輪島市名舟町に伝わる郷土芸能「御陣乗太鼓」。鬼気迫る面をまとった演奏者が打ち込む力強いリズムが会場を一気に引き込み、能登の伝統文化の存在感を強く刻みつけた。その迫力は、途中で子どもの泣き声が響く場面があったほど。県指定無形民俗文化財でもあるこの演目は、観客の空気を一変させる圧倒的な迫力で、イベントの幕開けにふさわしい緊張感を生み出した。
続いて、石川県高等学校文化連盟合唱専門部と福島県立安積黎明高等学校の卒業生による合唱が披露された。『群青』『Noto』の2曲が歌われ、震災を経験した地域への想いが込められた歌声が会場に静かに響き渡った。観客が歌詞に目を通しながら聴き入る姿も見られ、音楽を通じた“記憶の共有”という側面も印象的だった。
次に登場したのは、石川県立七尾高等学校の吹奏楽局。『ハナミズキ』『勇気100%』『マツケンサンバⅡ』を披露し、エンタメ性の高いパフォーマンスで会場を一気に明るい空気へと転換した。とくに『マツケンサンバⅡ』では、松平健に扮した演者が登場し、指揮者まで踊り出すなど、“観客を楽しませながら演奏者も楽しむ”という同校のスタイルを体現していた。

休憩をはさんで、ゲストの友近が登場。最初に「藤原紀香です」というおなじみのネタで会場の笑いを一気にさらい、「第二の故郷」だという石川県への深い思いも語った。震災の被害に遭いながらもディナーショーに足を運んでくれた観客に心を打たれたことなどを振り返りつつ、「たちつてと」だけを使って歌を歌う「タテトティの歌」を披露し、独特の世界観で観客を笑わせるお茶目な一面を見せた。
さらにMCから「友近さんのエネルギーはどこからやってくるのか」と問われると、友近は「舞台に上がることで直接お客様から元気とパワーをいただいている」と答えたが、これは今回のイベントのテーマとも重なる言葉だ。トーク後は沖縄の子守唄『童歌』を披露し、柔らかな歌声で観客を魅了した。
■PUFFYが名曲連発!今回ならではのスペシャルコラボも
そしてイベントのクライマックスを担ったのが、デビュー30周年を迎えるPUFFYだ。

ライブは『ジェット警察』からスタートし、『サーキットの娘』『誰かが』『アジアの純真』と代表曲を連発。世代を超えて愛される楽曲に、会場は手拍子と歓声に包まれた。同世代の観客との掛け合いもあり、ライブは終始アットホームな空気で進行した。
注目すべきは、この日のために用意された“コラボステージ”の数々だ。まず披露された『愛のしるし』では、友近をステージに招き、3人によるスペシャルコラボが実現。センターに立った友近とともに、振り付けを交えながら会場を盛り上げ、一夜限りの特別なパフォーマンスとなった。

さらに『渚にまつわるエトセトラ』では、七尾高校吹奏楽局が参加。吹奏楽局の“カニダンス”が華やかにステージを盛り上げ、歌詞にちなんだ石川名物の「カニ」を取り入れた地域色の強い演出に。地元文化とポップミュージックが自然に融合する、まさに本イベントのコンセプトを象徴する場面となった。
フィナーレでは出演者全員がステージに集結し、大ヒット曲『これが私の生きる道』を披露。郷土芸能、学生、アーティストが一体となる光景は、“わっか(絆)”というテーマを体現する瞬間だった。
公演後、PUFFYの大貫亜美は「学生との共演はとても楽しく、学びもあった」と語り、吉村由美も「楽しかったねと言ってもらえるように準備してきたので、楽しんでもらえてよかった」とコメント。観客との双方向の空気が、このイベントの価値をより高めていたことがうかがえる。
主催者は「能登半島地震や東日本大震災など、それぞれの地域で前を向き、日常を取り戻そうと歩み続けてきた多くの方々の努力と強さが、この間に確かに積み重なってきたことと考えております。本日のイベントが『わっか』となり、各地に広がっていくことを願います」とコメント。震災を経験した地域同士の想いをつなぎ、音楽と文化を通じて未来へと橋を架ける本イベントの意義を強調した。
石川の郷土芸能、学生たちの表現、そしてPUFFYを中心とした音楽の力。それらが交差することで生まれた今回の「わっかフェス」は、単なるライブイベントにとどまらず、“地域と人をつなぐ場”としての可能性を強く示すイベントとなった。






