国民食とも呼ばれる「カレー」。インドを発祥とし、イギリスにわたり、洋食として渡来したカレーは、多くの食卓に広がりました。日本の伝統的な主食である米と合わせた「カレーライス」は、家庭の味として定着しています。一方、近年のインド料理店の増加や、学校給食でのナン提供なども影響し、「カレーライス」というよりも、「カレーはナン派」と主張する人が増えています。
「ナン派」の起源は、今を遡ること50年、1968年に神田川石材商工が日本で初めてタンドール窯を製造・販売したことから始まります。半世紀の間で徐々に台頭してきた「カレーはナン派」。その実態を受け、ナンの日本本格上陸50年の記念すべき年に、カレー界の第一人者が名を連ねるカレー大學主催で、「カレーはナン派 VS ライス派」をテーマとしたシンポジウムが6月1日(金)に開催されました。
日本におけるナンとカレーの歴史
第1部では、ナン製造に欠かせないタンドール窯を日本で初めてつくった神田川石材商工の竹田伴康氏が「日本におけるナンとカレーの歴史」について講演。1968年に北インド料理店「アショカ」のシェフ、ジョン・マタヤさんにタンドールを見せてもらい、インド製のタンドールの製造・販売に踏み切り、やがて日本インド料理界での認知を拡大していったと言います。
カレーにおけるナンとライスの基礎知識
竹田氏の講演の後、株式会社カレー総合研究所 代表取締役社長・井上岳久氏による、ナンとライスの基礎知識講座が開催。ナンはタンドール窯で焼かれていることが定義であることや、ナンとチャパティの違い、インドでナンはインド北部を中心に、レストランやホテルで提供されているということなど、意外に知られていないナンの基礎知識がレクチャーされました。
ライスについても、南インドではナンではなくインディカ米というライスを合わせること、日本ではヨーロッパから伝わった欧風カレーとともにライスが定番となり、戦前に軍隊から全国へカレーが広まったことなどが紹介されました。
カレー大學特別教授陣6名が「ナン派 VS ライス派」について議論
第2部では、カレー大學特別教授陣6名が「ナン派 VS ライス派」について議論。ナン派にカレー大學特別顧問/International Institute of Culinary Arts,New Delhi校長のアルジュン・S・ダッタ氏に、カレー大學特別教授/株式会社西インド会社 代表取締役/カレー店「マンダラ」オーナーの外ノ池祐太氏、カレー大學特別教授/インド専門旅行会社「セレブ・インディア」代表の宮本洋子氏が、ライス派にカレー大學特別教授/株式会社デリー代表取締役の田中源吾氏に、カレー大學特別教授/「マダムマーサクッキングスタジオ」代表/カリスマ料理研究家のフルタニマサエ氏、カレー大學特別教授/井上スパイス工業株式会社代表取締役会長の井上和人氏が登壇されました。
ライス派からは、毎日食べても飽きない、日本人はお米で育ってきている、ライスに合うようカレーは作られている、ライスは食感が良い、欧風カレーにはナンではなくライスが合うという意見が。
一方ナン派からは、カレーに包まれる包容力がある、カレーと合わせるだけでなくお菓子としても美味しく食べられる、ナンは一週間程度保存が効く、インドカレーにライスは負けてしまう、ナンだけで食べても美味しいという声が上がりました。
参加者も試食し、カレーにはナンかライスか投票
第3部では試食会と投票が行われました。参加した報道陣が、恵比寿「南インド料理SWAGAT」のキーマカレー(中辛)と共に「ナン」「ライス」を食べ比べ。「カレーはナン派 VS ライス派プロジェクト」の最初の一票を投じました。会場内では僅差でライス派の勝利となりました。
6月1日(金)~9月30日(日)には、特設WEBサイトおよびプロジェクトに賛同した飲食店などで「カレーはナン派 VS ライス派プロジェクト」一般投票を受け付ける予定となっています。
■カレーはナン派 VS ライス派プロジェクト
http://www.naan-vs-rice.jp/