オレンジ不使用で「100%オレンジ味」を再現? カゴメが2026年春夏に仕掛ける“驚きの食卓戦略”をレポート

2026/03/04
マガジンサミット編集部

オレンジの価格高騰や記録的な猛暑、そして生活者の節約志向。日本の食卓を取り巻く環境が激変する中、国内食品大手のカゴメ株式会社が、2026年度春夏に向けた新たな事業戦略を打ち出した。

2026年3月、都内で開催された「2026年度春夏新商品 発表会 兼 体験会」。そこで示されたのは、最新のブレンド技術を駆使して「オレンジを使わずにオレンジ味を再現する」という前代未聞の挑戦や、過酷な猛暑下でも快適に料理を楽しむための独創的な提案であった。

創業以来「畑は第一の工場」という哲学を貫く同社が、最新技術とアイデアでどのように市場の難局を切り拓こうとしているのか。その戦略を徹底レポートする。

オレンジ不使用の衝撃作「Beyond オレンジ」が登場

今回の発表会で最大の関心を集めたのが、飲料部門の新領域への挑戦として発表された「オレンジを使っていないオレンジ味の100%ジュース」である。

現在、飲料業界は「オレンジ・ショック」と呼ばれる深刻な事態に直面している。国際的な原材料価格の高騰により、オレンジ果汁の価格は数年で約3倍にまで跳ね上がり、店頭から100%オレンジジュースが姿を消す、あるいは大幅な値上げを余儀なくされるケースが相次いでいる。

この課題に対し、カゴメが出した答えは「オレンジ果汁を一切使わずに、オレンジそのものの味わいを再現する」という、逆転の発想であった。

マーケティング本部 飲料企画部の藤澤昭典部長は、「我々には『野菜生活100』などで長年培ってきた、野菜と果実を組み合わせて最適な味を作る独自のブレンド技術がある」と、その背景を語る。

同商品は、カゴメが独自に開発した「黄にんじん」をベースに、リンゴ、パイン、レモン、マンゴーといった複数の果実を緻密に配合。オレンジ特有の爽やかな香りとコク、心地よい酸味を見事に再現している。

実際に口にすると、オレンジが一切入っていないとは信じがたいほどの完成度であり、まさに同社の知見が凝縮された一品といえる。

単なる代替品に留まらず、オレンジを楽しめる機会が減っている消費者へ「おいしい驚き」を提供するこの商品は、3月10日に発売予定だ。まずは30億円規模の市場形成を目指す。

発売31年目の進化。野菜配合比88%に到達した「野菜生活100」の覚悟

カゴメの看板ブランドである「野菜生活100 オリジナル」も、歴史的な転換点を迎えた。1995年の発売から31年目となる今年、野菜配合比を従来の70%から一挙に「88%」まで引き上げるリニューアルを敢行したのだ。

この背景には、若年層を中心とした深刻な野菜不足がある。最新の調査でも、全世代において推奨される野菜摂取量に届いていない現状が浮き彫りとなっている。リニューアル後の「野菜生活100」は、コップ1杯(200ml)で1日分の野菜(350g)の半分以上に相当する175g分以上を摂取できる設計へと進化した。

通常、野菜の配合比を高めると、特有の青臭さや飲みにくさが課題となるが、ここでも同社のブレンド技術が光る。20種類の野菜と3種類の果実のバランスをゼロから見直し、フルーティーでスッキリとした味わいを維持することに成功した。

また、飲料事業の新たな取り組みとして「めぐみめぐるアクション」も発表された。国内の果実収穫量が減少する中、消費者が商品購入やSNSを通じて直接産地や農家を応援できる「共創型コミュニティ」を始動させる。生産現場の課題を消費者と共に解決していくこの姿勢は、持続可能な農業支援の新しい形として注目されるだろう。

男性ユーザーのニーズを捉える「アーモンド・ブリーズ プロテイン」と健康戦略

健康意識や美容意識の高まりを背景に、市場拡大が続くアーモンドミルク。カゴメが展開する「アーモンド・ブリーズ」ブランドからは、4月14日に「プロテイン」タイプが投入される。

意外なことに、現在のアーモンドミルク市場を牽引している層の一つが、30代から40代の男性ユーザーであるという。低糖質でありながら効率的に栄養を摂取したいというニーズに対し、同商品は1本でビタミンEや食物繊維に加え、タンパク質(6.6g)を摂取できる設計となっている。

開発にあたっては、プロテイン飲料特有の粉っぽさを抑え、アーモンドオイルを配合することで、コク深さと食事にも合うスッキリとした後味を両立させた。「これまでのプロテイン飲料は重すぎるが、通常のアーモンドミルクでは物足りない」と感じていた層にとって、新たな選択肢となることだろう。

猛暑対応の「かけトマ」と、食卓を彩る「描きケチャ」のコミュニケーション戦略

食品部門において、カゴメが注力するのは「トマトケチャップの万能調味料化」と「食卓のコミュニケーション活性化」である。

食品企画部の袴田祥人部長が提案するのは、オムライスなどにケチャップで絵やメッセージを描く「描きケチャ」だ。“食卓においしい驚きと発見を”というテーマに基づき、単なる味付けの道具ではなく、家族の会話を生むツールとしての価値を再定義する。Webを中心に、誰もが試したくなるようなプロモーションを大々的に展開していく予定だという。

そして、近年の気候変動に伴う“長期化する猛暑”への対応も欠かせない。キッチンに熱がこもる夏場、火を使った調理は生活者にとって大きな負担となる。そこでカゴメは、加熱せずにソースをかけるだけで料理を完結させる「かけトマ」を提唱する。

具体的には、サルサソースを唐揚げにかけたり、トマトソースをそうめんと和えたりといった、火を使わない「かけるだけメニュー」を強化。

また、新商品のチューブ型「かけて簡単デミソース」も、その簡便性を追求した一環である。お子様に人気のデミグラス味を、手軽に、かつスマートに楽しめる工夫が凝らされている。

また、拡大するプラントベースフード(植物性食品)市場に向けたエスニックシリーズとして、「グリーンカレー」や「トムヤムスープ」も登場。食欲の落ちやすい夏場に、動物性原料不使用の本格的なスパイス料理を家庭で手軽に楽しめる提案を行う。

環境変化を「驚き」に変え、生活者と共に歩むカゴメの未来

発表会を通して示されたのは、原材料高騰や猛暑といった逆風を、独自の技術とアイデアによって「価値」へと転換しようとするカゴメの真摯な姿勢だ。オレンジ不使用の「Beyond オレンジ」や野菜配合比88%の「野菜生活100」、猛暑下の調理負担を軽減する「かけトマ」は、いずれも生活者のリアリティに寄り添った同社独自の解答といえる。

ブランドコミュニケーション部の土岐晃彦氏が語った「生活者と共に物語を作る仲間になりたい」という言葉通り、2026年春夏の戦略は、食の豊かさを守るための挑戦そのものである。これらの新商品がもたらす「驚きと発見」に、今後も注目したい。

カゴメ公式サイト:https://www.kagome.co.jp/

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