【東京☆今夜はここで独り呑み】~昭和十年創業の老舗で一献~(神田神保町編)~

2020/06/16
遠藤 昇輝

『家呑みよりも、気になる町で独り呑み』

今回は東京の真ん中、千代田区神田神保町へ繰り出します。

古くからの学生街である神保町といえば古書店街、スポーツ用品街、楽器店街などが有名ですが、味わい深い老舗の宝庫でもあります。

ところが、その代表格のひとつ『キッチン南海』が今月26日、そして『スヰートポーヅ』が今月10日に相次いで閉店。さる5月28日には『酔の助神保町本店』も閉店。

これはただならぬ事態。せめて若い頃からお世話になった『キッチン南海』の雄姿だけでも見届けようと、現地へ行ってみると…。

夕暮れ時にも関わらず長蛇の列。道行く人も立ち止まり、スマホで写真をバシバシ撮っていらっしゃいました。時間の都合で並ぶのは断念。でも、「ものはついで」と言う事で、白山通りの反対側へ。

既に閉店した名店の雄姿を記憶に焼き付けておくことにしました。「逃げるは恥だが役に立つ」等の人気ドラマや映画のロケ地としても活躍した『酔い助』。今にも営業が始まりそうな佇まいに浸っていると…目の前に素晴らしい店を発見!(なんと一軒家)

暖簾には創業昭和十年の文字。引き戸を開けると、白木のカウンターとテーブル席。職人肌の大将と優しそうな女将さんが切り盛りしています。ソーシャルディスタンスを心掛けつつ、入口近くのカウンター席に落ち着くと、絶妙の間合いで大将が「まずは何からいきましょう?」と聞いてくれたので、品書きの一番右端の「久保田(百寿)」を冷で注文。

注文は手書きのメモを渡すシステム。小型のバインダーに紙とペンが挟んであります。

これを見て覚えたのは「ん?この店、前にも来たことがあるかも…」という感覚でした。

冷を飲りながら記憶をたどると…十数年前に友人と神保町で呑んだ際、2軒目に『酔の助』へ行ったら満席で、近くの店に入った事がありましたが、それがおそらくこちらだったようです。

常連さんがさりげなくすすめてくれた一品は「ポテトサラダ」。聞けば「水分が出る具材が入っていないからジャガイモのホクホク感が際立つ」そうで、確かに王道の味でした。

「しらすおろし」を頼んだら切らしているとの事なので「アジフライ」にチェンジ。

冷酒も品書きの右から2番目に書かれた「真澄(純米)」にチェンジ。

ここで看板メニューである白だしの「おでん」から大好物の3品(ちくわぶ・大根・ジャガイモ)を注文。

冷酒は神田の居酒屋にふさわしい「菊正宗」(品書きの右から3番目)をお願いします。

この日は最高気温が30度ぐらいでしたが、千代田区神田の駅のそばの一軒家でいただく「おでん」と「冷酒」は格別。でも、神保町周辺では、長年親しまれてきた人気店が閉店するケースが増えており、こうした味わい深い酒場が都心にあることの有難さを改めて胸に刻んだ夜となりました。皆さんも“思い立ったが吉日”です!

 

店名:いちこう

住所:東京都千代田区神田神保町1-12-3

電話:03-3291-5559

営業:営業時間17:00~22:00(通常時)

定休日:土・日・祝(通常時)

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遠藤 昇輝
この記事を書いた人

遠藤 昇輝

1968年東京生まれ 放送作家として数々の「東京の町歩き番組」を手掛ける傍ら“情報収集”と称してテレビ業界の面々が通う「独り呑みの店」を渡り歩く。東京の町の貴重な遺産を紹介するため一般社団法人東京遺産協会を設立。 町歩きプランナーとして自治体の魅力発信事業等にも参加。

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