【東京☆今夜はここで独り呑み】 ~武蔵小山 ビールを出さない酒場が凄い~

2018/07/12
遠藤 昇輝

『家呑みよりも、気になる町で独り呑み』今回は<武蔵小山その2>といっても続編ではありません。武蔵小山にもう一度スポットを当てた理由。それは…前回ご紹介した大規模再開発と商店街と反対側にまったく表情が違う街並みが残っているからです。

東急目黒線の武蔵小山駅の出口を背にして正面がバスターミナル。ターミナルを挟んで左側には再開発エリアと商店街パルムが共存。一方、右側にはあるのは…都立小山台高校。まさに地下鉄の出口の目の前が学校の校門という立地。何メートルというより何歩とカウントしたくなる至近距離なんです。

ちなみに都立小山台高校は文武両道。部活動を「班活動」と呼ぶユニークな校風で、野球班は甲子園にも出場するほど。お勉強の方も都立高の中では指折りのレベルを誇り、2017年度は東大にも現役合格者を輩出している。

そんな学び舎の目の前の細い通りにはお酒が呑めるお店が軒を連ね、「独り呑み」のパラダイスと化している。

(学校の先生方は誘惑が多くてさぞかし大変にちがいない)

ズラリとならぶ個性的なお店はどれも興味をそそられる店構えだが、1軒選ぶなら「穂のか」が良さそうだ。決め手はその店構え。酒蔵にある“杉玉”が吊るされ、日本地図と全国の銘酒の名がズラリ。

※{杉玉:スギの穂をボール状にした物。軒先に吊して新酒の完成を告げる}

店側の「“日本酒”でとことん勝負します」という無言の主張を感じさせます。一見さんでも心配ありません。感じのいい店主がカウンターの中から迎えてくれます。

黒で統一されたカウンター席へ。席に着いてまず目に飛び込んでくるのは「お知らせ」に書かれた赤い字。

~日本酒のみ。ビールのご提供は終了~

日本酒にこだわる酒場は星の数ほどあるけど、ビールを出さない店は珍しい。その思い切りの良さにきっと期待が高まるはずです。

一方で「そんなに日本酒にこだわりが強いお店だと、何を注文すれば恥をかかずに済むのか…」と思った方はメニューを開けば大丈夫。日本酒の初心者でも手軽に選べるように「使用米」「開栓日」から「精米歩合」「日本酒度」「酸度」などの数値、さらに酒のタイプを示す「コメント」が詳しく書かれています。(残念ながらメニューは撮影NGでした)

「穂のか」では60㏄の小さい器で呑めるし、“呑み比べセット”も充実しているので、安心して全国の銘酒が楽しめます。純米酒「唯々(ただただ)」と「和らぎ水(有料)」も一緒にオーダー。※{和らぎ水:酒蔵が使う仕込み水}

悪酔いしないようにというお店の心遣いがうれしい「和らぎ水」酒蔵の仕込み水だけあって、メチャクチャ美味しい!

酒のあては夏らしく「ハモの湯引き」とこの3品(右からかぼちゃ、水菜、天ぷら)(ハモにつける梅は自家製だそうです)

「独り呑み」が心地い酒場は2種類あるといわれます。1つは「楽しく呑める店」で2つ目は「静かに呑める店」。ここ「穂のか」は後者の心地よさが味わえます。見るというより読むという方がしっくりくるほど内容が充実したメニューとにらめっこしながら、日本酒と向き合える店「穂のか」。

『家呑みよりも、気になる町で独り呑み』でいきましょう。

【今回のおすすめポイント】

▶店舗力:☆☆☆☆☆

▶商品力:☆☆☆☆☆

▶サービス力:☆☆☆☆

「穂のか」(日本酒専門店)

東京都品川区小山3-5-20

03-3792-3232

[火~土] 18:00~翌0:00

[日・祝] 18:00~23:00

定休日:月曜日・第2日曜日(要確認)

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遠藤 昇輝
この記事を書いた人

遠藤 昇輝

1968年東京生まれ 放送作家として数々の「東京の町歩き番組」を手掛ける傍ら“情報収集”と称してテレビ業界の面々が通う「独り呑みの店」を渡り歩く。東京の町の貴重な遺産を紹介するため一般社団法人東京遺産協会を設立。 町歩きプランナーとして自治体の魅力発信事業等にも参加。

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