キリンホールディングスと国立感染症研究所は、今まで実用化の例がない「自然免疫誘導型ワクチン」の研究開発において、国立感染症研究所との共同研究により「乳酸菌L.ラクティス プラズマ」の経鼻接種によって、新型コロナウイルスおよびインフルエンザウイルスへの増殖抑制効果を非臨床実験にて確認したと18日に公表した。
キリンは、2021年に国立感染症研究所と「乳酸菌L.ラクティス プラズマ」の医薬品開発に関する共同研究を開始し、これまでに「乳酸菌L.ラクティス プラズマ」で刺激した形質細胞様樹状細胞(pDC)培養上清が、新型コロナウイルスの増殖抑制に寄与することを確認していた。
今回発表された研究成果では、「乳酸菌L.ラクティス プラズマ」の経鼻接種により、鼻組織由来細胞においてウイルス感染防御に重要な免疫細胞であるpDCの割合増加や抗ウイルス遺伝子の発現が認められた。
※図.経鼻接種によるpDCの割合
※図.経鼻接種による抗ウイルス遺伝子の発現増加(Viperin、Oasl2、Isg15)
また、経鼻接種で鼻腔内などにおいて、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスの増殖を抑制することが確認されたとのこと。
※図.新型コロナウイルスの増殖抑制
※図.インフルエンザウイルスの増殖抑制
これらの研究結果により、「乳酸菌L.ラクティス プラズマ」の経鼻接種によって、鼻組織などでの自然免疫応答を増強し、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスなどの呼吸器ウイルス全般に対する感染予防効果を発揮する可能性が示唆された。
キリンは、共同研究について「呼吸器ウイルス感染症から世界中の人々を守ることを目指すもの」とし、「乳酸菌L.ラクティス プラズマ」は、ウイルス増殖を抑制することで感染症リスクの低減に寄与する可能性が考えられ、同社はそのメカニズムについて「今後も継続して検証を行っていきます」としている。