大昔から愛されている物語『ターザン』。バリエーションは多岐にわたるようですが、概ね小さい頃、ジャングルに捨てられ、猿などの動物に育てられるというもの。
言葉が通わない動物に育てられるなんて架空の話だよな…、とお思いの方も多いと思いますが、事実は小説より奇なり、本当に動物に育てられたと言われる人間、いわゆる『野生児』の実例はいくつもあります。そこで今回は、そんな『野生児』を紹介したいと思います。
猿に育てられた少年ジョン
91年、ウガンダで発見された少年・ジョン。3歳の時に父親が母親を殺す場面を目撃してしまい、ジャングルに逃げ込み、以後、そこで生活。アフリカミドリザルに育てられたといいます。
発見時、木に隠れていて、ほかの猿たちとともに威嚇してきたそうです。村に保護されたジョンは野生で暮らしていたためか腸に50センチもの寄生虫がいて、猿のような歩き方をしていました。後に人との生活にもなじみ、動物のような振る舞いはほとんど見せず、子供たちの聖歌隊に入るなどしていたそうです。
犬とともに暮らした少女オクサナ
83年、旧ソ連、現在のウクライナに生まれた少女オクサナ。両親が面倒を見なかったため、3歳ごろから家の犬小屋で生活を始めました。犬の群れの中で生活するようになった彼女は、人の言葉を話さず、吠え、4本足で走り、食べる前には臭いをかぎ、まるで犬そのものだったそうです。
8歳ごろに付近の住民に発見され保護。以後、施設で生活し、言葉を理解、話せるようになり、犬のような行動も減ったそうで、牛の世話をしながら暮らしていると言われています。
デビルズリバーの狼少女
1845年メキシコのデビルズリバー付近で、ヤギを襲う狼の群れの中に10歳前後の少女がいたとの目撃情報が。その後もヤギをむさぼり食べている姿を確認され、その時、四つ足で逃げていったんだとか。やがて捜索され少女は保護。しかしこのとき、遠吠えの声をあげると、狼の群れが現れ、混乱に乗じ少女は逃げ出し、行方をくらましました。
ヒョウに育てられた少年
1912年、インドで2歳の少年がメスのヒョウにさらわれ、ヒョウの子供とともに育てられました。
5歳ごろに保護されますが、四本足で歩き、手足の皮膚は固く覆われ、近づくと襲い掛かかったそうです。やがて言葉を話すようになり、二足歩行も覚えました。…真偽不明な人、時代的に見世物になってしまった野生児など様々いますが最後は、数奇な運命の元野生児の話…。
誘拐されジャングルに置き去りにされた少女
1950年ごろ、コロンビアで生まれたマリーナ・チャップマンは5歳の時、誘拐されジャングルに置き去りにされました。サルの群れに同行するようになり、餌の取り方などを学び、木のうろで寝て、やがて樹上で生活するように。
徐々に群れの一員として認められるようになり、毛づくろいをしたり、毒の植物を食べ具合が悪くなった際は、老いた猿に水の中に突き落とされ、嘔吐で解毒を促されたそうです。そんな生活を4~6年続けたあと、人間のハンターに見つかり、また誘拐。売春宿に連れていかれ雑用係に。脱出後は路上生活を経験し、ギャングの家で働き、その後、修道院で生活していました。やがてイギリスに移住し結婚。いまでは孫もいるそうです。
彼女の不思議な人生はドキュメント番組になったり、小説になったりしていますが、あまりに込み入っているため、なかなか進まないそうです。