とげとげのウニ、ぬるぬるのナマコ、かいかいの山芋…、人類はなぜそれを食おうと思ったのか?見た目、触(食)感、香り、およそ美味しそうと思えないものでも「これ食うたろ」と人類は貪欲に食し栄養と美味を獲得してきました。やがて上記のような素材だけではなく、底が見えない創作力で調理・加工した「どうやって思いついたのか?」と思える料理は世界に数多くあります。そこで、今回は日本の食文化ではあまり馴染めない「マジかよ…」と思えるグルメを紹介します。
【臭い!】アザラシのアザラシのお腹に海鳥を詰めて発酵させる『キビヤック』
厚い氷に閉ざされたグリーンランドのカラーリットやカナダのイヌイットに伝わる発酵食品の保存食。まずアザラシの腹を裂き内蔵を取り除きます。その腹の中に小型の海鳥を数十から数百羽を詰め込み縫い合わせます。そして貯蔵庫となったアザラシを地中に埋めること数か月、1年を超えることも。いい感じに発酵したらアザラシの腹から鳥を取り出し、鳥の肛門に口をつけ発酵した内臓をすすり食べます。鳥の肉や脳みそなども食べるそう。液状になった内臓は調味料として使うことも。美味であるが臭いはきついそうです。
【閲覧注意】孵化直前の卵『バロット』
フィリピンなど東南アジアで食されるアヒルの玉子……、卵と書くべきか? 孵化直前まで成長したアヒルの卵をゆで、殻を剥いて食べます。また殻に穴を開け調味料を注ぎ中身を食べるケースも。
その中身、姿はすでに雛。
自分の糧をも犠牲にするおもてなし『ボードグ』
モンゴルで祭りの日や客人をもてなす際などに出される料理。マーモットやヤギの内臓を取り出し、中にチンチンに熱した石を詰めます。次に取り出した内蔵を中に戻します。そして今度は外側から熱を加え焼けた肉を食べます。生活に欠かせない毛皮を犠牲にするため、おもてなしなどの場合しか振舞われないんだとか。
世界で最も希少なコーヒーはうんこから『コピ・ルアク』
インドネシアなどで作られる高級コーヒー豆。コーヒー豆農園などの豆をジャコウネコが食べ、排泄したうんこをから未消化の豆を拾い取り出し洗浄、乾燥、焙煎します。消化の過程で独特の香りが付くとされています。希少であり高級。1キログラム4万円を超える値段がつくそうです。
同様にうんこから取り出したタヌキコーヒー、ゾウコーヒーも高級とされています。
危険すぎて製造中止!『カース・マルツゥ』
イタリアのチーズの一種。製造過程でハエに卵を産み付けさせます。やがて幼虫、つまり蛆がチーズを餌としていき、この時、体外に出される酸が周りのチーズの脂肪分を柔らかくしていきます。
このチーズを食べる時ですが、いちいち蛆を取り除くことはできないのでそのままナイフを入れるそうですが、蛆は警戒すると飛び跳ねるそうでこの際はゴーグルなど目を保護しなければいけないんだとか。食す際、蛆をどかす人もいますが、大量にいるため、ごと食べる人も。近年、発酵が有害な腐敗レベルまで達しているおそれがあるなどの理由で製造が禁止。闇で買うしかないそうです。
奇抜な調理に行きついたのは様々な原因はあるでしょうが、その一つは推察するに飢饉や略奪で食物を失い、やむにやまれず食した、食すために加工してこれらを獲得したのでしょう。日本食だってエグいものはあり、海外から受け入れてもらえないものもあります。「マジか」と言いつつも否定するものではなく、人の想像力と度胸ってすごいな、ということを理解してもらえれば…。