妻と子どもも彼氏も母親もレンタルできる社会!

2019/04/17
内藤 みか

今や人間もレンタルできる時代

10年ほど前に「レンタル家族」というサービスが話題になったことがありました。家族がいなくてさみしい一人暮らしの高齢者宅などに、まるで娘夫婦であるかのように架空のファミリーが訪れるというものです。その頃は、お金を出してまで家族を借りるなんて、と眉をひそめる人が多かったのですが、10年後、2019年の今は、どうでしょう?

今や「レンタル彼氏」「レンタルおっさん」という単語は多くの人が知っていますし、利用者もそれなりにいるようです。さらに検索すると「レンタル夫」や「レンタル妻」までいます。例えば夫婦同伴のパーティーがある時などに、独身の人がレンタルするのかもしれません。人間をレンタルすることは、減るどころかどんどん増殖しているようです。

外国人記者が見たニッポンの人間レンタル業

『クーリエジャポン』2019年2月号には、レンタル家族の事が特集されています。しかも記事はアメリカの雑誌『NEW YORKER』からのもの。アメリカ人記者が体当たりで日本人の心の飢えを探っていく26ページもの大特集は大変なボリュームです。日本人記者でもここまで調査し書ける人はそうはいないでしょう。

記事によるとレンタル家族サービスは1989年にすでにあったそうです。お年寄りに孫を貸し出すサービスが始まりらしいというのだから少しせつないですね。レンタル夫を呼んだシングルマザーがハマってしまったエピソードもなんともいえないものがありました。彼女は繰り返しレンタル夫を呼んだ挙句にプロポーズまでしてしまったのです。もちろんレンタル夫が応じることはないのだから、胸が痛くなる話です。

レンタル家族はセラピー!?

記事では、レンタル彼氏は一種のセラピーのようなものだと推測していました。確かに、それはあるでしょう。たとえば亡くなった妻の代わりにとレンタル妻を依頼した男性は、おそらく、レンタル妻と過ごした時間で癒されているのだと思います。

私自身、レンタル彼氏を呼んだことがあります。ほんのわずかな時間だけれど、自分のことをじっと見つめてくれて、話を聞いてくれる男性がいるという事実にときめきました。今や生涯未婚で過ごす日本人男性は23%もいるのだからニーズはもっとあるはずです。レンタル家族の流行はまだ始まったばかりなのかもしれません。

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内藤 みか
この記事を書いた人

内藤 みか

作家/脚本家/イケメン評論家。著書80冊以上。ケータイ小説時代から電子書籍の自著も多数。脚本担当のラジオドラマ『婚活バスは、ふるさとへ』(YBS)が文化庁芸術祭優秀賞&日本民間放送連盟賞優秀賞。 ツイッター https://twitter.com/micanaitoh ブログ https://plaza.rakuten.co.jp/micanaitoh/

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