
前院長から引き継いで2024年1月に開院した津島オリーブおとなこども歯科。同院では、単なる治療にとどまらず、将来を見据えた予防歯科や丁寧なホスピタリティを通じて、患者様の健康維持を支えている。夏特有の口腔トラブルや、生涯にわたり自身の歯を残すための正しい向き合い方について、その熱き想いを山口 陽子院長に伺った。
「痛くなってからでは遅い」という現実と、季節がもたらす口腔リスクの盲点
夏は、熱中症対策に伴う発汗やエアコンの使用による空気の乾燥などにより、体内の水分量が減少しやすい季節。これに伴い口腔内の唾液の分泌量が減少すると、自浄作用が低下して細菌が繁殖しやすくなる。その結果、むし歯や歯周病、口内炎などのリスクが顕著に高まる傾向がある。さらに、水分補給のために清涼飲料水を頻繁に摂取することも、口腔内を酸性に傾け、むし歯や酸蝕症の引き金となる。
このように夏季は特にお口のトラブルが起こりやすい環境であるにもかかわらず、現代社会においては「歯科医院は歯が痛くなってから行く場所」という固定観念が依然として根強く残っている。しかし、近年では予防への意識が高まりつつあり、特にお子様のむし歯を未然に防ぎたいと願う保護者の定期検診への同行や、歯の健康維持を重視する50代以降の通院は増加傾向にあると同氏は語る。
しかし、中学生以降になると部活動や学業の多忙化から受診率が低下するという課題も浮き彫りになっており、健康な口腔環境を維持するためには、自覚症状の有無にかかわらず、定期的な通院による管理が不可欠である。
生涯の資産を守るプロの技術と、誰もが安心して通える空間づくりの妙

日々の丁寧なセルフケアを行っていても、磨き残しによる歯垢は時間の経過とともに唾液中の成分と結びつき、強固な歯石へと変化する。一度歯石化してしまうと、通常のブラッシングで除去することは不可能であり、これが歯周病を誘発する最大の原因となる。
事実、我が国の40代以上の約80%が歯周病に罹患しているとされ、この疾患は自覚症状がないまま進行し、最悪の場合は歯を失う事態を招く。一度破壊された歯槽骨などの組織は元に戻らないからこそ、専門家による定期的なクリーニングと的確なブラッシング指導が重要な意味を持つ。
津島オリーブおとなこども歯科では、こうした予防の重要性を伝えるとともに、患者様が快適に通える環境づくりを徹底している。待合室には緊張を和らげる寒色系の色彩を取り入れ、リラックス空間を演出。さらに、子育て世代の利便性を考慮し、ファミリールームとキッズスペースを自由に行き来できる設計や、授乳室・おむつ替えスペースを完備している。また、歯科恐怖症を持つ患者様に対しては事前の丁寧な対話を重視し、電動麻酔器の導入によって治療時の痛みを軽減する配慮も怠らない。
1987年から紡ぐ地域医療のバトンと、訪問診療が切り拓く高齢社会の未来
1987年に前院長が「井田歯科」を開設して以来、同院は長年にわたり地域の健康を支え続けてきた。時代の変遷とともに、当時から通院していた患者様も高齢化が進み、自力での来院が困難になるケースが増加。こうした社会的課題に対し、同院では診療時間外を活用した訪問歯科診療を積極的に実施し、自宅や施設にいる患者様へ医療を届ける体制を構築している。さらに、地域の介護施設や病院のスタッフを対象とした口腔ケア方法の講演活動も行い、地域全体の口腔保健の質的向上に貢献している。
明日から実践できるケアとして、手鏡を用いながらブラシの当たり方を視覚的に確認する手法や、1ヶ月に1回の目安で歯ブラシを交換するといった具体的なアドバイスも発信している。これらは、「患者自身が正しい知識を習得することが最大の予防につながる」という確信に基づくものである。乳幼児から高齢者まで、すべての世代が一生涯にわたり『食べる』『話す』『笑う』という人間らしい営みを健やかに維持できるよう、地域密着の医療支援は進化を続けている。
歯科医院を「治療のための場所」から「健康を維持するために前向きに通う場所」へと転換させる試みは、持続可能な社会の実現において極めて重要な意味を持つ。予防歯科の知識が社会全体に広く普及し、誰もが恐怖心なく適切なケアを受けられる未来を目指して、地域に根ざした医療の挑戦はこれからも途切れることなく続いていくだろう。

■取材協力:
津島オリーブおとなこども歯科
院長 山口 陽子
https://www.ydc.life/






