日本最大級の住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」を運営する株式会社LIFULLが今年3月に、設立25周年を迎えました。同社は設立25周年企画として「住生活」、「超高齢社会」、「地方創生」をテーマとしたオリジナル短編作品「ソーシャルイシューストーリー」を特設サイトで公開しています。
https://media.lifull.com/campaign_2022042107/
芸人の友近さん、小説家の石田衣良さんと垣谷美雨さんという豪華な作者陣も話題。5月23日には「池袋ウエストゲートパーク」で鮮烈なデビューを果たし、2003年には「4TEEN」で直木賞も獲得した石田衣良さんの作品が公開となりました。
1,500文字の濃密な暮らしの物語
特設サイトに公開された「虹の扉」は住宅弱者問題をテーマに執筆されたもの。シングルファーザーの進藤とその息子である晴斗、同じ階に住むのはシングルマザーの細谷と娘の望愛。上の階には、「オクさん」と呼ばれているウクライナ人留学生が住んでいます。
たった1,500文字程度の短編作品でありながら、彼らが住んでいるマンションの空気やそこに住む人々の息づかいを感じることができます。複雑な家庭事情を持つ進藤親子。住まい探しが難航したという記載もありますが、多様性に富んだ“近くの他人”に恵まれた暮らしを送っているようでした。
「この短いストーリーがヒントになれば」
石田さんは「やはりダイバーシティがこれからの時代を変える鍵。この短いストーリーにもシングルマザー・ファーザー、外国人留学生、LGTBのカップルを盛りだくさんに登場させている」と語ります。
また、作品のテーマである住宅弱者問題については「公的な支援が不足している。特に高齢者と若者、外国人居留者へはもう少し公的な援助が必要ではないか。ステイホームの時代に住環境の向上と整備は欠かせない。これから、もっと日本の住居への投資が盛り上がれば」としました。
「“日本の住環境、住居をめぐる制度や商習慣はこんなもので、もう変わらない”。そんなふうに諦めるのは止めよう。一人ひとりが声を挙げ変革を求めれば、少しずつでもきっと改善されていくはず。この短いストーリーが、住まいと暮らしの在り方を考える小さなヒントになれば」。
短いながらも、若者の葛藤や社会の不条理といったものを題材として扱ってきた石田さんらしさが濃縮された作品は、必読です。