ロマンポルノ45周年記念『日活ロマンポルノリブートプロジェクト』と題し、園子温、中田秀夫、行定勲、白石和彌、塩田明彦、現在の日本映画界を代表する監督たちがメガホンを振る映像作品が上映されたのをご存知ですか?
そんなロマンポルノですが、実は名だたる日本の監督たちが新人の頃に撮っていたと言うのです。
そこで今回は、どんな名監督たちがいたのかご紹介していきたいと思います。
まず、ロマンポルノとは…
- 週刊アサヒ芸能 [ライト版]2017-03-16 発売号
Fujisan.co.jpより
ロマンポルノの魅力は、なんと言ってもストーリー展開。大胆な演出、一般映画では難しい過激でダークなテーマなどがあり、またアダルトビデオとも一線を画しているとされて、近年ブーム再燃と言われています。さらに、日活所有のスタジオや日活専属スタッフなど、環境においても歴然の差があることからも、映画として高い評価が現在でもされているのです。美保純さんをはじめとる、現在活躍されている方も出演され、そして監督人も、世で高い評価を受けている作品を作っている方がいらっしゃいます例えば…
相米慎二 監督
薬師丸ひろ子さん主演『セーラー服と機関銃 』や、永瀬正敏さん、坂上忍さんが出演していた『ションベン・ライダー 』、牧瀬里穂さん銀幕デビュー作『東京上空いらっしゃいませ』そして、カンヌ国際映画祭「ある視点」部門招待上映された『お引越し』など、多くの作品を作り出した相米監督は、日活ポルノで主に助監督を務めていました。
根岸 吉太郎 監督
薬師丸ひろ子、松田優作出演の『探偵物語』をはじめ、芸術選奨文部科学大臣賞、第18回東京国際映画祭の4部門受賞をはじめ、映画賞を多数獲得した、伊勢谷友介さんや佐藤浩市さん、小泉今日子さんが出演した人間ドラマ『雪に願うこと』、さらにはモントリオール世界映画祭の最優秀監督賞を受賞した松たか子さん主演の『ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜』など、日本のみならず世界の賞を手にし、さらにその後、紫綬褒章受章まで受賞した根岸監督は、ロマンポルノの制作に携わる中で、男性目線の一方的な描写に疑問を持ち、「映画の中の性を冷静に見直したい」と作品を撮っていたとか。
那須 博之 監督
那須監督が手がけた映画は15本で、そのうちの12本は妻の真知子さんが脚本を担当。そんな作品の中でも有名な『ビー・バップ・ハイスクール 』の主人公を務めた仲村トオルを見つけ出したのは、那須夫妻。そんな那須監督の撮ったロマンポルノは、明るく爽やかな印象の青春コメディと言われ、それまでのロマンポルノ路線とは異なる新鮮な作品と言われています。
また、2009年のアカデミー賞・外国語映画賞を受賞した『おくりびと』の滝田洋二郎監督もロマンポルノ『痴漢女教師』で監督デビューし、他にも、『家族ゲーム』や『模倣犯』『間宮兄弟』などを手掛けた森田芳光監督、『ファンシイダンス』『シコふんじゃった』『Shall we ダンス?』など職業に焦点を当てた作品が話題を呼んだ周防正行監督もロマンポルノ出身だというから驚きですよね。
ロマンポルノとは、勿論性描写も作品の魅力の一つだと思いますが、それ以上に人間の心が動かされる心の葛藤がふんだんに盛り込まれてしまうところが心に訴えかけるのでしょう。そんなところに注意しながら見てみるのもいいのではないでしょうか?