初場所のチケットが前売り段階でほぼ完売になるほど盛況を見せている大相撲。
女性ファンを“スー女”と呼んで盛り上げるなど、大相撲協会もあれこれ手を尽くし人気アップに努めていますが、実は、オールドファンは何年も前から角界の行く末を案じています。
それもそのはず
日本人横綱は、2003年初場所に貴乃花が引退して以来不在。
日本人力士が、2006年初場所の栃東以来、幕内優勝を果たしていない。
番付上位には外国人力士が並び、優勝争いにもなかなか絡まない。
これが国技であるべき姿か? 危機感はないのか?
角界は早く何かを変えなければ存続すら危うく、文字通り土俵際ギリギリの所まで来ているように見えます。
そこで、あくまでもイチファンの目線から大相撲改革案を提言。
ぜひ、女性ファンの皆さんにも見ていただきたいと思います。
提案「土俵を広くしてみてはどうだろう?」
これはデーモン閣下をはじめとする相撲有識者の多くが、最も相撲が変わるとしてかねてから提案していることです。
そこでいろいろと調べてみました。
現在の土俵の大きさをご存知でしょうか?
直径15尺(4.55m)です。
例えば身長185cm体重150kgの力士二人が動き回る場所としては狭いと思いませんか?
この大きさは1931年(昭和6年)に変更されたもので、それ以前は直径13尺(3.94m)でした。
変更の理由は、天覧相撲を前に、より陛下に激しい攻防を観ていただこうと一気に約60cmも広くしたんです。
「なんだ一度やってるじゃん!じゃあもう一度広くすればいいじゃん!」
と言いたくもなります。
実は、終戦直後の1945年(昭和20年)にGHQの司令で一時的に直径16尺(4.85m)に広げられたことがありました。しかしこれに力士会側が反発、大横綱双葉山の引退にまで発展するなど揉めに揉め、結局現在の大きさに戻したのです。
もしかしたらこの一件が永遠と尾を引いているのかもしれません。
しかし月日は流れ、力士の体系に対し土俵はかなり狭くなってきています。
今の大きさに土俵を広げた1931年の幕内力士の平均体格は、
身長約175cm 体重約105kg。
それから約80年が経過して…
2015年は、身長約186cm 体重152kg
なんと身長が10cm 体重は50kg近く増えています。
外国人が増えた要因があるとはいえ日本人力士も体格が大きく変わりました。
この80年、力士は体が大きいことが最大の武器になっていきました。
となると、相撲の取組はどうなったのでしょう?
決まり手の種類が減って単調、力技が多くなってきた
まず、20年毎の決まり手ベスト12を見てください。
- 1973年 決まり手ベスト12
- 1993年 決まり手ベスト12
- 2013年 決まり手ベスト12
1973年、横綱に北の富士、琴桜、輪島。小兵の大関・貴ノ花などがいた時代。
4位吊り出し、12位外掛けなど、決まり手のパーセンテージを見ても種類の豊富さがわかります。ちなみに吊り出しはこの年95番もありました。
1993年は横綱に曙、若貴兄弟が揃って大関、巨漢の小錦もいましたが、技のデパートと言われた小兵の舞の海や寺尾、旭道山など、役者揃いで相撲人気沸騰の時代。
しかし力士の大型化はこの頃すでに問題視され、体格で寄り切り、押し出しが主流になって決まり手が単調に。
また体重増で膝や腰に負担がかかるなどケガで休場する力士が増えていきます。
ちなみに吊り出しは6番(0.3%)。
2013年になると、豪快な投げ技まで少なくなってきます。
幕内力士の平均体重はなんと162kg! 吊り出しは僅か2番(0.1%)だけでした。
吊り出しの数字を例に上げましたが、
いわゆる「掛け技」という、内掛け、外掛け、蛙掛け、蹴返し、蹴たぐり、等の技は徐々に激減。
土俵が狭いので、より太って立ち会いでぶつかり負けしないように、突き押しで外へ出せるように。投げられても重さで堪え、吊られるケースも低くなる。
スピードとテクニックより、パワーとヘビーが勝る時代へ推移した事が決まり手からは伺えます。
土俵を広げるとどうなる?
言わずもがな、昭和時代の相撲へ全体的に変わって行くでしょう。
土俵内での移動距離・運動量が増え、また勝負時間が長くなるので、観る側の楽しみが増えるはず。
力士は、パワーを付けるだけでなく、プラスαとしてスピード、テクニック、スタミナが要求されるようになります。
体が大きくてもこれ等を補うことができれば、より相撲に幅が出来て強くなれるはずです。
そこで提案します!
土俵の大きさを、現在の直径15尺(4.55m)から2尺増やし、
直径17尺(5.12m)に広げてみてはどうでしょう?
60センチ以上土俵が広がればきっと相撲が劇的に変わるはずです。
土俵が広くなったら相撲人口も増える!?
新弟子検査の受験者は年間で100名にも満たなくなくなりました。
角界は若い世代の底上げが求められています。
例えば、学生相撲でレスリングのようなアクロバチックな取り口で話題になり
昨年、木瀬部屋に入門した宇良。
172cm 113kg の小さな体で、通算26勝2敗、序の口を全勝優勝で果たし
この初場所では早くも幕下8枚目まで番付を上げています。
この宇良のように、体が小さく破壊力はなくとも、スピードとバネの強さで勝負するような力士がたくさん現れて人気になれば、小さな子どもたちの注目度も上がりきっと相撲人口も増えます。
「僕もお相撲さんになりたい!」という夢を抱く子供も増えるに違いありません。
巨人・大鵬・卵焼き、という、子どもたちの人気を象徴した言葉がありましたが
お相撲さんは永遠に日本の子どもたちのヒーローであるべき存在だと思っています。
昨年末、北の湖理事長が突然逝去され、新理事長に八角親方が就任。
時代が動いたとも言える大きな岐路に直面し、何かを変えようとは思いませんか?
八角親方の手腕に期待したいところです。