自動車、コーヒーカップ、メリーゴーランド、激しく揺れる海賊船……。
せっかくの遠出も、楽しいアトラクションも、乗り物酔いしやすい人にとっては苦痛でしかない。酔い止めで最低限の対策はできるが、効き目には個人差がある。「吐くかもしれない…」という不安はときにマイナスに働くものだ。そこで今回は薬だけに頼らない、自分で乗り物酔い対策できる方法を探してみた。
視覚と三半規管のミスマッチが原因だった
そもそも乗り物酔いは、三半規管と視覚のミスマッチによって起きる。つまり、耳の中にある三半規管が振動や体感を、視覚が目から入る景色を、それぞれ情報として得ることでカラダの平衡感覚を保とうとする。
ところが、身体は動いていないのに、景色だけが激しく動くと、平衡感覚がおかしくなる。そしてついには気持ち悪くなるのだ。急カーブが多い山道で車酔いしたり、ジェットコースターで気持ち悪くなったり、スイカ割りでグルグル回って気分が悪くなるのも、すべてはこのせいなのだ。
なぜフィギュア選手は目が回らないのか?
では、どうすればいいのか。この手の話でよく話題に挙がるのが、フィギュアスケートの選手だろう。高速スピンをするときに目が回らないのかという疑問で、以前も某番組でフィギュアスケートの選手が回転イスで高速回転するという検証があった。結論、目は回らず、訓練次第で平衡感覚は鍛えられるという内容だったが、じつは乗り物酔いもこれと同じで、訓練や対策次第で多少克服できるのだ。
視線はいつだって遠くに合わせる
その方法の一つが「視線を遠くに合わせること」だ。つまり、耳と目の情報がズレて酔うのであれば、そのズレを極力小さくすればいいという発想だ。実際、筆者は車酔い、メリーゴーランド系はこれでずいぶん軽減できた。
コツはできるだけ頭の軸をぶらさずに遠くの一点を見ること。頭がぶれると三半規管の中にあるリンパ液がゆれて、余計乗り物酔いしやすくなる。車やバスに限っていえば、やはり視界が開けた前方に乗るのがベストだ。
慣れると結局は酔いにくくなる
乗り物酔いは「慣れ」でなくなるというのも一つの事実だ。いつも右回転するフィギュア選手が、慣れない左回転をした途端、気持ち悪くなったという例がある。もし、自宅でやるのであれば、前転後転をイベント数日前から繰り返すだけで耐性がつくという。下を向きながらブランコに乗るのも特訓としては効き目があるそうだ。
小中学校の遠足でバス旅行が控えている場合、乗る前はプレッシャーだ。だが、薬に加え、自分で対策したという自信があれば、気の持ちようにもプラスに働くことは間違いない。自信がなさそうにしている人がいれば、ぜひ試してほしいところだ。