【医師インタビュー】テーマパーク・夏フェス・アウトドア…屋外で20代が陥りやすい熱中症パターンとは?

2026/08/26
佐伯美佳
夏レジャー

夏といえば、テーマパークやフェス、アウトドアなどの楽しい予定。残りの夏もイベントが目白押しです。けれど、まだまだ熱中症リスクはあります。

出かける前の対策を万全にしておくほか、万が一熱中症にかかってしまったときの応急処置の方法を押さえておくことも大切です。

そこで今回は、屋外レジャーの最中に、20代の男女が陥りやすい熱中症パターンを熱中症や救急医療に詳しい医師・三宅康史先生に伺いました。

また自身でできるレジャー中に熱中症ときの対処法も伺いましたので、ぜひチェックを。

■20代が夏の屋外レジャー中に陥りやすい熱中症パターン

夏レジャー

夏の屋外レジャーの最中には、誰もが熱中症のリスクが高まります。特に20代の若者が夏の屋外レジャー中に陥りやすいパターンにはどんなことがあるのでしょうか。三宅先生は次のように話します。

「炎天下で長く日射に当たり、暑さと共に紫外線の影響も加わっていることが多いです。また水分補給量が圧倒的に足りていないケースも多く見られます。若さゆえにはしゃぎ過ぎることによる疲労もあるでしょう。時には、アルコールによる脱水症状及び急性アルコール中毒も加わることがあります」

また落とし穴として、「今まで熱中症になったことがないから大丈夫だという過信や、友達の目があることで熱中症になっても休めない、いやでも付き合わされるといったことも状況としてあるようです」

若さゆえに、体力に自信があったり、「まだまだいける!」と過信してしまうことが、実は熱中症リスクを高めてしまうこともあるようです。

■熱中症の症状

三宅先生によると、年齢問わず、熱中症にかかった患者さんを診ている際に、主に次のような症状が見られるそうです。

頭痛、吐き気、嘔吐、強い倦怠感、手足の痺れなど

「意識障害がある、自分で水分摂取ができない、20分様子を見ても回復してこないなどの場合は医療機関へ連れていきます。このうち、意識障害が見られる場合には、救急車を使います」

■熱中症を疑ったら「FIRE」をしっかり行うこと

水

万が一、熱中症の症状かもしれないと思った際には、どうすれば良いのでしょうか?

「多くは軽症で済む可能性が高いので、熱中症を疑ったらFIREをしっかり行うことが大切です」

F:Fluid…十分な水分補給
I:Ice…身体をできるだけ早くしっかり冷やす
R:Rest…すぐにスポーツや筋肉運動をやめて休む
E:Emergency call…助けを呼ぶ。場合によっては救急車を呼ぶ

対策について、より詳しく教えていただきました。

●初期症状が見られたらすぐに行動を中断

熱中症は、対応が遅れると命に関わることもあります。

初期症状として、めまい、立ちくらみ、頭痛、吐き気、倦怠感、大量の発汗、ふくらはぎのけいれん、顔のほてり、ぼーっとする、反応が鈍いなどが見られた場合は、無理を続けず、すぐに行動を中断しましょう。

実際は、自分で気づく前に、周りの人が「大丈夫?」と声をかけてわかることが多いといいます。また、暑い中での体調不良をいつでも口に出せるよう、最初に全員で約束しておくことも大切だと三宅先生は話します。

●応急処置の基本

・涼しい場所へ移動する
・衣服をゆるめる
・体を冷やす
・水分と電解質を補給する

「特に、首すじ、脇の下、足の付け根など、太い血管が通る部位を広くしっかり冷やすと効率的に体温を下げやすくなります。保冷剤、氷のう、冷たいペットボトル、濡れタオルなどを活用するとよいでしょう。水分を自力で飲める場合は、経口補水液などで水分と電解質を補給します。一度に飲めない場合は、少量ずつこまめに摂ることも大切です」

●医療機関受診・救急車を呼ぶ目安

次の症状が見られたら場合には、すでに重症化している可能性があります。このような状態では、無理に水分を飲ませると誤嚥の危険があるため、速やかに医療機関を受診するか、救急車を呼ぶ判断が必要です。

・呼びかけへの反応がおかしい
・意識がはっきりしない
・まっすぐ歩けない
・自力で水分を飲めない
・嘔吐を繰り返す
・けいれんがある
・体が異常に熱い
・応急処置をしても回復しない

 

■予防策が肝心!出かける前から熱中症対策を行おう

水分補給

大惨事にならないようにするには、出かける前からの熱中症予防策が重要です。そこで三宅先生に、夏レジャーの出かける前にやっておきたい予防策を教えていただきました。

1.天気予報だけでなく、暑さ指数(WBGT)や熱中症警戒アラートもチェック

天気予報はもちろんのこと、暑さ指数(WBGT)や熱中症警戒アラートもチェックして、当日の熱中症のリスクはどのくらいくらいあるのかを確認しておきましょう。もしリスクが高い場合は、予定の変更や行動時間を調整することなども考えてください。

2.同行者の体調確認

睡眠不足や食欲不振、発熱、下痢、二日酔い、強い疲労感などは熱中症リスクを高めます。同行者の体調を事前に確認しあい、もし不安がある場合は、無理をしないことが大切です。

3.11~15時までの時間を避ける

三宅先生によると、熱中症リスクが高まりやすいのは11時から15時頃の活動だそうです。特に熱中症リスクが高い日はこの時間帯の活動を避ける、日陰や屋内での活動予定にするなどしましょう。

4.休憩場所や水分補給のタイミングを決めておく

水分補給は特にとても重要です。休憩場所はもちろん、売店や自動販売機、トイレ、水道、救護所、近隣の医療機関等を事前にチェックしておきましょう。また、「ここで休憩する」など、水分補給のタイミングを決めておくことも大切です。

5.朝食をしっかり摂る&食欲がないならゼリー飲料でも可

三宅先生によると、朝食を抜くと熱中症リスクが高まるといいます。なぜなら、水分や電解質、糖質、ビタミン、タンパク質などの身体機能を正常に働かせるために必要な栄養素が不足した状態で1日を始めることになってしまうためです。

理想的な朝食は、ご飯やパンなどの主食に加えて、味噌汁やスープ、卵、魚、肉、納豆、ヨーグルト、果物など、水分・電解質・糖質・タンパク質をバランスよく補給できるメニューにしましょう。特に夏レジャーでは疲労やすくなるため、魚介類に含まれるタウリンやレモン、オレンジ、梅干しなどに含まれるクエン酸を疲労対策として積極的に摂取しておきましょう。

もし食欲がない場合には、水分や糖質、電解質を含むゼリー飲料でも良いそうです。アミノ酸やビタミンB群、クエン酸などを含むタイプを選ぶのがおすすめだといいます。

6.アイススラリーや凍らせたゼリー飲料を活用して体を冷やす

夏レジャー中は、身体を外側から冷やすことも大切ですが、近年は特に体の内側から冷やす方法も注目されています。特に、アイススラリーや凍らせたゼリー飲料は効率的に体を冷やすことができます。アイススラリーは、細かい氷と液体が混ざったシャーベット状の飲料です。コンビニやスーパーなどで手軽に購入できるので、利用してみましょう。

7.こまめな水分補給

水分補給はこまめに行うことが大事です。喉が渇く前から少量ずつ補給しましょう。水だけでなく、ナトリウムやカリウムなどの電解質も合わせて補給することが大切です。糖質も脳や筋肉のエネルギー源となるため、活動中の集中力や判断力、体の動きの支えるためにも重要です。特に夏の屋外レジャーの際には汗をたくさんかくため、スポーツドリンクやゼリー飲料、経口補水液を持参するのは必須です。


夏の屋外レジャーの際には、予防策を取らなければ熱中症になるリスクが高まります。大切なのは事前に万全の対策をとっておくこと。そして体調管理はもちろんのこと、お出かけ先で初期症状が見られた場合には、すぐに行動を中止して無理をしないことが大切です。残りの夏のレジャーを存分に楽しむためにも、ぜひ意識を強化しましょう。

 

【取材協力】


三宅 康史先生
熱中症総合研究所 所長/帝京大学医学部 救急医学講座 客員教授 医師
救急医学、集中治療医学、脳神経外科、外傷学、災害医学、医学教育のエキスパート。東京医科歯科大学医学部卒業。帝京大学医学部救急医学講座教授、帝京大学医学部附属病院救命救急センター長などを歴任。現在は熱中症総合研究所 所長/帝京大学医学部救急医学講座 客員教授。日本救急医学会 救急科専門医・指導医・評議員、日本集中治療医学会 集中治療専門医、日本外傷学会 評議員、日本脳神経外科学会 専門医、評議員などの資格・役職を有し、救急・集中治療領域を中心に幅広く活動。熱中症、外傷、災害医療、救急医療体制などに関する知見も豊富で、テレビ番組などメディアでの解説実績もある。

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この記事を書いた人

佐伯美佳

国内出版社のWeb媒体を中心としたライター。Web業界を経て、ライターとして独立・起業。健康・美容・グルメ・ライフスタイル・ビジネスのジャンルを中心に執筆中。思わず読みたくなり、読んだら得する情報を発信してまいります。

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