仮縫付フルオーダーのタートルネックニット&ホワイトジーンズがすごい!【GINZA SAKAEYA】

2021/02/16
岸豊

高級生地の「ゼニア素材」を専門に扱い、国内屈指の「仮縫付フルオーダースーツ」を提供する「THE OFFICERʼS」(GINZA SAKAEYA)が、“仮縫付”「タートルネックニット」のオーダーメイドを11月26日より開始。また超撥水・防汚加工を備えた“仮縫付”フルオーダーホワイトジーンズの取り扱いを12月2日よりスタートしました。今回は瀟洒な「GINZA SAKAEYA 銀座店」にお邪魔して、新製品の魅力、オフィスカジュアルファッションなどについて、代表の原俊行さんにお話を聞く機会をいただきました。

―本日はよろしくお願いいたします。まずは、ブランドとして重視していること、メイン商材であるスーツのこだわりについてお聞かせください。

原さん:GINZA SAKAEYAは、創業50年弱になり、すごく一般的な言い方にはなりますが、「お客様を大切に」という想いを真ん中に置いて営業させていただいています。それはお客様のお声を反映し、きちんと品ぞろえする、というところで、知恵を絞って開発したり、いろいろなところと協力してご提供していくということになります。都内・首都圏で働かれるお客様の中には、スーツとして「いいスーツ」が欲しい、「仕立てのいいスーツ」が欲しいというお客様もいます。仕立ての部分に関しましては、今までもフルオーダーという形はありましたが、比較的手軽に試していただけるような“仮縫”というものを提案させていただいたというのが、一つの特徴ですね。

―価格をグッと抑えられていることが特徴なんですね。

原さん:仮縫のオプションのお値段としては、たった1万5千円です。こちらは職人の手作業になっています。例えば、個人の素晴らしいテーラーの方ですと、注文を受けてご自身で時間をかけて作られますので、どうしてもお時間に対してコストがかかってしまいますが、私共は職人と契約していくことによって、質を落とさずに、効率上げ、お客様へご提供する価格を抑えたというところが一つのポイントになります。

―タートルネックニットとホワイトジーンズのフルオーダー提供を開始した経緯は?

原さん:ちょうど、コロナ禍になる前の時期のあたりから、お客様のお声として「スーツを着る機会が少なくなった」というものがありました。私共のお客様は、30代後半から60代まで幅広くいらっしゃいますが、そういった方でも、オーダースーツをお召しになられている方が、ビジネスカジュアルでは「何を着たらいいのかわからない」、世の中に既に出ているビジネスカジュアルは「シーンにふさわしいのか?」。また、お立場がある方もいらっしゃるので、そういった方が普通の既製品の、どこにでもあるカジュアルなものを着て「だらしなく見えないのか」など、そういったお声を多数いただいたことがありました。

その中で私共は「ビジネスとカジュアルの新しい関係」というコンセプトのもと、『THE OFFICER’S』というレーベルを、「常識にとらわれない新時代のビジネススタイルを提案します」という考えのもとに昨年に立ち上げました。GINZA SAKAEYAの中で、一番お客様に支持していただいているスーツのラインナップは、イタリアの「ゼニア」という生地のラインナップになります。品質やブランド力も含めて支持をいただいていますので、ゼニアの高級スーツやオーダージャケットに合うようなパンツ、インナーのカットソーであったりタートルネックニット。上質なものにも、きちんと合うものを、スーツ以外のアイテムでもトータルコーディネートして、お客様に安心してご提供できるようにしたいという考えが入口になりました。

―タートルネックニットホワイトジーンズの仮縫付フルオーダーは、反響も含めて手ごたえはいかがですか?

原さん:タートルネックニットに関しましては、我々もそうですし、お客様でも同様ですが、タートルネックニットで好きな生地や色はあるけれども「首が短いので首回りが分厚くなる」や「手の袖口が長すぎる」といった声がありました。オーダーをなさる方ですと、そもそも既製品に合わないサイズ感の方も多いので、そういった方からは「スーツでベースとなるサイズを既に測ってもらっているので、安心して作ってもらえる」というお声をいただいております。

―タートルネックニットは、カラーバリエーションが豊富なのが嬉しいですね。

原さん:あるお客様からは「既製品で、黒やグレーはあるけれど、色味のあるニットで自分に合うサイズのものが世の中にはなかったので、着てみたかったという想いを叶えられた」といったお声をいただいています。

―明るい色も多いですよね。商品とは離れますが、オフィスカジュアルの考え方は、柔軟になっているんでしょうか?

原さん:オフィスカジュアルを正式に導入されている企業様ですと、ビジネスでのスタイリングにおけるドレスコードは、比較的自由なんです。その中でも、タートルネックニットの話に戻りますと、世界的にメンズファッションを引っ張っているのは、いまだにイタリア・ヨーロッパであると思います。イタリアの高級スーツやきれいなスーツ、そういったものに合わせられる秋冬のインナーとして、タートルネックニットはそもそも存在したんです。それが時間とともに、日本にも浸透してきました。一方でジーンズも、もともとアメリカなどではビジネスの場で使われているものではあったんです。それが今の日本でも、だんだんと認知されてきて、オフィスカジュアルでも使用されるようになってきました。

―ホワイトジーンズは撥水性が非常に高いと聞きました。日常生活を前提とすると、水分の性質を問わずに撥水が機能するのでしょうか?

原さん:そもそも白というのは「履きたいけれども汚れる」と考えられてきました。ゼニアやイタリアのスーツはネイビーが主流で、ジャケットもネイビーが多いんです。それに合うものとして白のパンツがあるのですが、なにぶん「汚れる」「水分に弱い」という面があります。そこに対してホワイトジーンズで検証したのですが、油が含まれているものですとか、ワインを含めたお酒、お食事のシーンで想定される水汚れに関しましては、基本的に防ぐことができます。「汚れを気にせず履いてみたい」という願いを、「自分のサイズで叶えてみませんか」という想いがあります。

―今はコロナ禍でなかなか外食に行きづらいところですが、超撥水・防汚加工のジーンズだと食事のシーンで心強いですね。

原さん:暗いニュースが多い中で、洋服に明るいものを取り入れることで、気分も明るくなりますし、周りの方にポジティブな影響を与えられるという面があります。

―おすすめの着こなしはありますか?

原さん:おすすめの着こなしの一つとしましては、紺のブレザーや濃い目のジャケット、もちろんグレーでも合いますが、シンプルにシャツを合わせていただいて、白のジーンズで気分を変えていただくことです。高級なスーツですと、光沢感・上質感もありますので、そういったところでも、ジーンズの生地のセレクトにはこだわっております。ジーンズのメッカである岡山の生産者と提携しているのですが、その生地は、ゼニアを含めて各ヨーロッパのブランドに生地供給しているラグジュアリーな生地になっています。

―コロナ禍によってスーツを着る機会が減ったとお話される方がいらっしゃったとありましたが、企業として2020年を振り返るといかがですか?

原さん:状況は決して良かったわけではないのですが、日常着としてのスーツのカテゴリー、その価格帯のブランドさんや業界さんは、もっと厳しく、大変だったのではないかと、お察ししています。幸い、我々の展開しているゼニアは最高級のものですので、お客様が「コロナ禍においても、株主総会に出なければならないので、ある程度きちんとしたスーツを着なければならない」といったシーンでご着用いただいておりました。

まさに昨日いらっしゃったお客様も、タキシードを着なければいけないシーンが出てきたと。既製品で探していても体に合わなかったそうで、「せっかくならいい生地でいいものを作りたい」ということでいらっしゃいました。どちらかと言えば、GINZA SAKAEYAに来店されるのは、日常ではなく非日常であったり、日常の中でも特別なシーンで着られたいという層のお客様ですね。そういった方には、継続してご利用いただいています。これからも、そういった棲み分けになっていくのかなと思っています。低価格でリーズナブルなブランドさんに関しては、洗えたり、コロナ対策で機能的な部分が支持されていくのではないかと思います。

―今回のタートルネックニットやホワイトジーンズは、フルオーダーからどのくらいの時間で手元に届くのでしょうか?

原さん:シーズンにもよりますが、基本的にはご注文をいただいてから、3週間ほどいただいて仮縫をお作りしますので、1か月半から、仮縫いのリードタイムを含めて2か月くらいでご用意しております。スーツも、ほぼ同じくらいの時間になります。仮縫まで行いますので、最初はそれだけのお時間をいただきますけれども、お客様だけのマスターサイズ・型紙が出来上がれば、2着目以降は採寸が不要です。昨日いらっしゃったお客様は、白のシンプルなタートルネックニットをお選びになられたんですけれども、仮縫付フルオーダータートルネックニットを気に入られたので「今度は色違いの黒を」と追加でご注文いただきました。その時はサイズも測らなくて済みますし、ご注文いただいてから3週間でご用意できます。

―GINZA SAKAEYAさんの、今後の展望は?

原さん:コンセプトにもありますが、ビジネスとカジュアルの垣根もなくなってきていますので、仮縫付きというところで、お客様だけのマスターサイズを丁寧にお作りさせていただくというお手伝いをして、トータルコーディネートを提案させていただくという価値を出すことですね。そういった切り口で、ビジネスとカジュアルの仮縫まで行っているブランドは、私共の知る限り、世界的にもほとんどないのかなと思います。そういった価値を、どんどん発信させていただけたらなと。まずは国内のお客様に、そしてコロナが落ち着きましたら、海外のお客様にも、ご提供させていただければと考えております。

―海外と言うと、人種によって骨格も異なりますよね。海外展開では商品の作り方も変わりますか?

原さん:仰る通り、そもそもの骨格が異なります。日本人と大陸系のアジア人でも、実は違います。日本人は大陸系のアジア人の方より、前肩というのですが、肩の一番出っ張っている部分が、少し前に出ています。大陸系のアジア人の方は、この部分が前に出ていないんです。欧米の方はより胸を張るような骨格ですね。農耕民族は前かがみ気味、狩猟民族は胸を張るような骨格になっています。

それほど体格は違うのですが、GINZA SAKAEYAの特徴としては、スーツやジャケットに関して申し上げますと、骨格に合わせたシルエットになります。胸板の厚い方には、薄いパッドのナチュラルなものをご提案させていただきますし、逆にすごくスマートな方であれば、肉付きを補強するためにパッドがあるようなものをご提案させていただきます。いろいろなシルエットのモデルのベースがありますので、そういったところで対応させていただこうと考えております。

―コロナ禍の今は、アパレルにおいてマスク需要が非常に高いですよね。GINZA SAKAEYAさんでも制作しているのでしょうか?

原さん:オプションメニューにございます。あまり分厚いものはおすすめしないのですが、薄手の気に入った生地で、どうしても余った部分が出るんですね。その余った部分を捨ててしまうと、もったいないと。今は「SDGs」や「サステナブル」というキーワードもあります。オーダーは大量生産ではなく、お客様に合わせた分だけですので、その余った生地の部分で、マスク(洗濯可能)やハンカチなどを、オリジナルのオプションとしてご提供させていただいております。その方が選んだ生地で出来ますし、サイズもお好みでお選びいただけます。綿のマスクや洗えるマスクのデメリットは、不織布のマスクと比較してウィルスを通してしまうことですが、それをカバーするために、内側にポケットの部分を作って、不織布のフィルターを入れられる構造になっています。実用的に使っていただけるようなマスクのご用意ができます。

―お店の内装も素敵ですが、どんな工夫があるのでしょうか?

原さん:コロナ以前からこのレイアウトなんですが、お客様の席をそれぞれお品物に集中していただけるように、他のお客様との距離をしっかりと取り、ゆっくりお買い物を楽しんでいただけるような空間になっています。また、見ていただく商品をわかりやすく、いい意味で迷うくらい楽しんでいただけるようにラインナップにしてあります。さらに、お客様の皆様が仰ることなのですが、商品を選ばれるときに、色にこだわりたい方が非常に多いです。店内の照明で見ている色と、外で見る色は違うので、不安だという声がとても多いので、銀座の交差点が見えるスペースでは、自然光で見ていただけるようになっています。

―商品だけでなく、店舗の細部にわたって、色々と考えられているんですね。本日はありがとうございました!

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岸豊
この記事を書いた人

岸豊

フリーランスのライター/フォトグラファー。1991年生まれ。写真を撮ることが大好きです。Nikon D850、F6、F3を愛用しています。中判も大判も欲しい。 ホームページ→https://www.kyphotography.online/

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