1986年から続くデザイン筆記具ブランド「ZOOM」。日本発のコンテンポラリーデザインペン・ブランドとして、日本人が培ってきた美意識や感性による造形美、素材や色など細部までの繊細なこだわりに加え、自由度の高い表現により、使い手が感性を刺激され、心地よく使えるデザインペンを生み出し続けている。
その「ZOOM」のデザインの魅力をよく知れて、実際にペンを触ることもできる企画展「With a Pen 1本のペン、1本の線。そして世界は創られる。 by ZOOM」が東京ミッドタウンの「21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3」にて2023年3月4日(土)から3月12日(日)の期間、開催されている。
急速なデジタル化が進んでいるため文字やイラストを描くための手段は「ペン」を含めて多様な選択肢があるが、「ZOOM」では、人間の曖昧さに寄り添い、何かを“創造・創作する”こと を一番身近で支えられる道具としてのペンの価値は変わらないものであると考え、本企画展を開催することに至った。
日本のみならず世界の人々を魅了する「ANATOMICA」のデザイナーである寺本欣児氏をコラボレーションクリエイターに迎え、「ZOOM」のプロダクトデザイナー國府田和樹氏、 グラフィックデザイナー金井知広氏とプロダクト開発における「ペンで描く価値について」の特別鼎談をもとにした展示の他、ペンから生まれたアイディアが実際の製品として、形になっていく過程が見られる。
先ず入ると実際にプロダクトが生まれるまでの一連の流れが一本の線で描かれていて、工程を知れて面白い。
「ZOOM」のペンなど、「ZOOM」プロダクトデザイナー國府田和樹氏のモノづくりは手書きから始まるとのことで、Step1では実際に描かれた手書きのデザイン画が展示されている。
手書きだとバリエーションやパターン出しなどのイメージも起こしやすく、多くのエッセンスが手書きのデザイン画に入れ込まれている様子が見て取れる。その後、デザインをデジタルに落としこんでいくそう。
「デザインZOOMモノづくりのこだわりを解剖する」のコーナーでは普段、見られないペンの細部まで見られる。
分解されたパーツを見るのも面白いが、1本のデザインペンの「ZOOM」だからこそのこだわり、細部にも注目したい。デザインについてはデザイナーが中心となって一貫して社内で行っている点もこのような美しい作品に仕上がるポイントとなっている。
プロジェクションマッピングのコーナーでは手書きから製品になる過程が描かれている。手書きの原画からプロダクトの完成までの一連のストーリーを表現しているので、じっくり見たい。
リアルなエネルギーがつまった貴重なデザイン画の原画も展示されていて、細かいタッチは見る人を釘付けにする。
来場者の方に「ハル」をテーマにイラストや 文章、短歌などを自由にペンで描いてもらうクリエイションルームでは、出来上がった作品を会場にディスプレイしていく。このような体験コーナーもあり大人から子供まで楽しめる企画展だ。
会場ではリブランディングを実施したばかりの「Zoom」デザインペン新製品も飾られていて実際に見ることができる。多くのペンがある中、「Zoom」が目指しているものは世界に通じる日本発のコンテンポラリーデザインペンだ。全て日本人がつくっていることもあり、モノの魅力で日本発の「ZOOM」の文房具を広めたいと考えている。伝統工芸は使わないものの、日本らしい繊細さ、ちょっとした”抜け感”を大切にしてデザインされている。
色も青一つとっても少しくすんだ藍色にすることでほんの少し日本を感じられるようになっている。そんな「ZOOM」らしさも見て感じられる企画展となっている。
実際にこだわりのデザインペンを見て、使える機会なので気になる方はぜひ訪れてみてはいかがだろうか。