11月8日、虐待児童支援などを目的とした一般財団法人「こどもたちと共に歩む会」の設立および、北海道東川町と連携したふるさと納税制度を活用した児童虐待防止支援事業に関する記者発表会が開催された。
当日は、代表理事の千本倖生氏より当財団設立の経緯、理事を務める髙田治氏より児童虐待の現状、また連携している自治体の北海道東川町長の菊地伸氏が登壇し、ふるさと納税制度を活用した児童虐待防止支援事業に関する説明が行われた。
同財団の代表理事を務める千本倖生氏は、現KDDI株式会社を稲盛和夫氏と共同創業した起業家。40年の起業家人生を邁進してきたが、近年になり「国の宝である子供たちの幸せに貢献する」ことを次の使命と直感したことが、現在の活動に繋がっているという。
コロナ禍の影響もあり、全国の児童虐待対応件数が過去最多の207,659件(令和3年度 速報値)を記録。これには、2020年5月中旬にコロナ禍によって職を失うなど、生活困窮家庭が増加し、特に学校も休みとなったことで給食がなくなり、食事もままならない子供が増加した、などの背景があると言われている。
そういった背景の中、千本氏は児童虐待の現状を知る方々に会いに行ったり施設を訪れたことも。その中の一人には、今回登壇した全国児童心理治療施設協議会の事務局長である髙田治氏であり、「虐待や家庭内暴力などの問題が深刻化する現代社会。その課題への取り組みは、行政及び公的機関による支援も民間団体による支援も十分に行き届いているとは言えず、表に出ている数字は一部にすぎない」という現状を聞いたそうだ。
その後、千本氏に呼びかけにより、2023年5月31日に虐待児童支援などを目的とした一般財団法人「こどもたちと共に歩む会」が設立。同財団は、虐待児童保護施設への支援、虐待防止及び虐待児童自立の社会システムの構築、社会全体に向けた啓発活動及び情報提供などの事業を行う。
そして、同財団と北海道東川町の連携により、「ふるさと納税による寄付」受付が開始されることに。今回の連携により、東川町へのふるさと納税(個人版、企業版)において、寄付対象事業「児童虐待に関する支援・防止啓発事業」を選択することで、同財団に間接的に寄付が可能になっている。
写真文化首都や「写真の町」という名前を掲げる北海道東川町。同町は、写真以外にも、北海道最高峰「旭岳」、大雪山が生み出す豊かな水資源、高品質ブランド米「東川米」がある「お米の町」、「旭川家具」の3割の産地ということで「木工家具の町」などの特徴がある。
ふるさと納税を活用した支援の第1号となった東川町だが、質疑応答にて、財団と町のどちらから声をかけたか聞かれると、千本氏は「これは私の方です。東川町は写真の町であり、素晴らしい家具も作っています。そういった存在感があります。しかも、東川町長の菊地さんはついこの前まで課長さんで、この方なら新しい取り組みに理解してもらえる、と思い私の方から声をかけました。それが半年くらい前のことです」と経緯を説明した。
また、「ふるさと納税を活用した支援」という発想がどこから来たのか、という質問に対して千本氏は「ふるさと納税を使おうと思った元々のきっかけは、小林りんさんによる軽井沢の国際学校『UWC ISAK JAPAN』で、これが最初のロールモデルです。軽井沢町に寄付すると、寄付がこの学校の経営にも行くんです。その小林さんが作った仕組みが頭にありました。そのロールモデルを今回の虐待児童支援になんとか使えないかと思って、扱わせてもらいました」と明かした。