ゴールデンウィークは近場で、久しぶりに美術館にでも…とお考えの方、意外に多いのでは…。ゴールデンウィークは、面白い展覧会、美術展が開催されるシーズンでもございます。そこで、美術展に行くまでに読んでおくと美術館が10倍楽しめる、モチベーションがあがる本をご紹介いたします。
その前に、「〇〇を〇倍楽しむ方法」「〇〇を〇倍面白く見る方法」という表現、よく目にしますが、この表現は1982年にKKベストセラーズから発売になった「プロ野球を10倍楽しく見る方法」がルーツではないかと…。
著者は元参議院議員で野球評論家の江本孟紀様。当時、プロ野球の暴露本の草分けとして大ヒットいたしました。これ以降、書籍のタイトルをはじめ、様々な場面で「〇〇を〇倍楽しむ」的な表現が乱用されるようになったのでございます。余談でございました。
本題に戻らせて頂きます。まずは、美術展に行くモチベーションがあがる小説を。
先日、文庫も発売になりました原田マハ様の「モダン」でございます。「MoMA」(ニューヨーク近代美術館)を舞台に、そこにたずさわる人々に起きる5つの出来事を描いた美術小説短編集でございます。
美術やアートを題材にした作品が多い原田ハマ様は、フリーのキュレーターの経歴もあり、なんと「MoMA」での勤務経験もございます。そんなゴイスーな知識や経験が作品に活かされているのでございます。
「カフーを待ちわびて」は、第1回日本ラブストーリー大賞を受賞、映画化。さらに、「楽園のカンヴァス」は山本周五郎賞を受賞、同時に本屋大賞3位も。本好きの方ならご存知のとおり、大人気小説家のおひとりでございます。なにより、原田様の美術小説は、美術のすばらしさ、美術が人生をどれほど豊かにするか…優しく教えてくれるのでございます。
原田様の美術小説のなかでも、こちらは短編なので普段、あまり読書しない方にも読みやすいかと…。もし、短編でなくても大丈夫という方がいらっしゃいましたら、是非お薦めしたいのが、こちら。
原田ハマ様の入門書で最高傑作な一冊でございます。文庫も出ております。小生も、最初にこの作品を読んで原田ハマファンになり、美術展に足を運ぶようになりました。こちらは、タイムリミットの7日間で巨匠ルソーの名作の真贋判定をする美術史ミステリーでございます。物語を楽しんでいるだけで、美術に詳しくなったと錯覚させてくれる作品です。
原田様の美術小説は、読んでいるだけで名画を楽しんでいる錯覚に陥らせてくれるのでございます。読むと美術館、美術展に行きたくなること間違いナッシングでございます。
このゴールデンウィーク、美術展、美術館を訪れるご予定のある方、是非、こちらを読んでモチベーションをあげてくださいませ。
(文:N田N昌)