今年1月上旬の新年早々、日本中に衝撃が走った論文が発表されたのは皆さんも記憶に新しいと思います。そう、屋久島のオスザルとメスジカの交尾。この異種間交尾、サルがしつこく付きまとっていたそうですが、いかんせん体高差がありすぎて交尾には至らず。サルが必死に腰を動かしましたが、シカが「ムリムリ!!」と拒否っていたそうです。
※帝京科学大の島田将喜准教授、フランスのストラトブール大の研究者ら4人が発表した映像
交尾に至っていたらサルのようなシカが誕生するのか? 異種間では受精しないのでそれはないそうですが、近縁種での交配で誕生した動物はたくさんいます。そこで今回はそんなハイブリッド動物を紹介します。
♂ライオン×♀トラ=『ライガー』
インドの一部でしか生息地が交わらないライオンとトラ。野生での交配は確認されていませんが、人工的に誕生したのが『ライガー』。ライオンやトラは体長2m前後、体重300kg程度なのに対し、ライガーは3.5m、500kgと超でかくなります。ライオンの遺伝子が強く出るのか、顔や鳴き声はライオンに似ているそうで、オスには申し訳程度のたてがみも生えます。さらにロシアでは、♂ライオンと♀ライガーの間から生まれた『ライライガー』も生まれました。
また、♀ライオン×♂トラもいて、こちらは『タイゴン』というそうです。
グリズリー×ホッキョクグマ=『ピズリー』
自然界で誕生するクマの雑種。それまで動物園などでは生まれており、野生はいないとされていましたが、2006年、カナダの北極圏で確認されました。
交配に至る経緯として、自然界で縄張りは共有するこの2種。しかしお互い避ける傾向にあるため繁殖することはないと考えられていましたが、近年の温暖化によりグリズリーの行動範囲が北上し接触する機会が増えたためという説があります。両親の特性を受け継いでいますが行動はホッキョクグマに近いということです。
ヤギ×ヒツジ=『ギープ』
いそうでやっぱりいたヤギとヒツジのハイブリッド『ギープ』。本来、属が異なる動物は自然交配できませんが、ヤギとヒツジの子供の誕生例は少なくありません。交尾の目撃例もたくさんあります。実験で誕生した個体は、もさもさの毛に覆われたヒツジになることもあれば、羊毛に包まれたヤギのような見た目になりこともあるそうです。
ちなみにギープ(geep)という名前の由来は、ヤギ(goat)とヒツジ(seep)を合わせたところからだそうです。
♂オキゴンドウ(クジラ)×♀バンドウイルカ=『ホルフィン』
天然では絶滅したといわれるホルフィン、捕獲された2頭がハワイの水族館で飼育されています。何度か子供も誕生したようで、9歳まで生きた例もあるそうです。
ヒトコブラクダ×リャマ=『キャマ』
ヒトコブラクダの体重はリャマの6倍あり、体格に差がありすぎるため人工授精でキャマが誕生。
自発的な交配も試みていたそうですが、失敗に終わっていたそうです。耳やしっぽはラクダ寄り、蹄はキャマを強く受け継いでいるんだとか。そこで気になるのは、ラクダのこぶは継承されるのか? 残念、こぶはないそうです。
その他の気になるハイブリッド動物
・シマウマ×馬科動物(ウマ、ロバ、ポニーなど)=ゼブロイド
・♂ヒョウ×♀ライオン=レオポン
・♂ロバ×♀ウマ=ラバ ※♂♀逆だとケッテイ
異種同士を掛け合わせることは神への冒涜だと議論になるうえ、誕生した個体は繁殖能力がなかったり健康に不安があったりと問題もかかえています。いつか科学が進歩し神の領域、人間にも技術が使われるようになったら、半魚人やケンタウロスみたいのが現れるのでしょうか?
ちなみに先述したシカと交尾しようとしたサル。なんでもメスに相手にされなかったため、こんなことをしたと考えられています。