先日、かのあだち充先生がインタビューで、往年の名作漫画『タッチ』のタイトルの由来について「弟から意志を継ぐ兄、意志をバトンタッチする」という意味のことをおっしゃっていて震えました。愛読していたのは小僧だったころ、タイトルの由来など考えたこともありませんでしたが、確かにあのストーリーで「なぜタッチか?」と不思議ではありました。そこで今回は、漫画タイトルの由来について紹介します。
連載中の名作のタイトルは・・・
HUNTER×HUNTER
富樫義博先生による98年から連載したり休載したりする名作漫画。
収集癖のある作者が、もの集めの面白さをテーマにした「ハンター」ものの作品を構想。そのころ、ダウンタウンがテレビで「なんで2回言うねん」とのつっこみを見て、タイトルを重ねることを思いついたそうです。
ONE PIECE
尾田栄一郎先生による97年から連載する、言わずと知れた平成を代表する漫画。ワンピースとは、海賊王が遺したといわれる「ひとつなぎの大秘宝」のこと。ルフィを始め世界の海賊がこの宝を目指している。
過去の名作の謎タイトル
美味しんぼ
雁屋哲先生による造語。「食べ物を題材にした漫画を描いて欲しい。」と依頼された先生は、自分でタイトルを考えるのが面倒だったので、担当編集者にタイトルを考えてくれるよう依頼。しかし、提案されたタイトル案が腰を抜かすようなアイディアだったため自分で考えだしたそうです。
ハチミツとクローバー
羽海野チカ先生がスピッツのアルバム「ハチミツ」とスガシカオのアルバム「Clover」が並べて置いてあったのを見て、とったのが由来。そのためアニメの挿入歌に両者の楽曲が使われることが多かったそうです。
3月のライオン
由来はいくつかあるようですが、そのひとつは映画「3月のライオン」のポスターが印象的だったため覚えていたこと。また英題「March comes in like a lion」はイギリスの気象のことわざで「3月はライオンのようにやってきて子羊のように去る」というものの一部で、先生が物語が作れそうと感じ、この作品にあてたそうです。
MMRマガジンミステリー調査班
マガジンで連載していた石垣ゆうき先生の作品。超常現象などを科学的に解明するという作品で、読んだ少年たちを恐怖と絶望に突き落とすも、読まずにはいられない作品。『MAGAZINE MYSTERY REPORTAGE』から。
銀河鉄道999
タイトルの『999』は、大人の「1000」になる前で未完成の青春の終わりという意味が込められているそうです。松本零士先生らしい深い意味があったんですね。
他にも謎タイトルの由来は…
・『食戟のソーマ』…劇中で使われる造語「食戟」。これは、トラブルが起きた際に決着をつける料理決闘のこと。ちなみに「戟」とは、中国古来の武器のことです。
・『テルマエ・ロマエ』…阿部寛さん主演で映画化もされ作品。ラテン語で「ローマの浴場」の意味。
・「BLEACH」…死神をイメージする黒の反対である白を連想させる言葉を選ぶことで、黒をより引き立たせる、という意味でつけられたそうです。
・「ドリフターズ」…古代の英雄が異世界に召喚されるアクション漫画。drifter(漂流者・放浪者)から。
・「ちはやふる」…百人一首の一首。「神通力のような」「勢いの強いさま」というような意味があるそうです。
・「あしたのジョー」…戦後最大のヒット漫画の一つ。ジョーは主人公の矢吹丈、「あした」は原作者が読んだ井上靖の「あした来る人」から。
・バガボンド…井上雄彦先生による宮本武蔵を主人公とした時代物。英語Vagabond(放浪者)から。
・GIANT KILLING…ツジトモ先生によるサッカー漫画。スポーツ競技における、弱者が強者に勝つ「番狂わせ」「大物食い」という意味で使われるジャイアントキリングから。
意味のあるタイトルから、無いもの、造語まで様々ある漫画タイトルの由来。昔は、主人公の名前がそのまんまドーンとつけられるのが多かったように思いますが、今ではこじゃれた名前が付けられているのが多くて、タイトルを一読しただけで鼻につき読まずにいる作品も中にはあるのではないでしょうか。今回紹介した作品はそんなことはないですが。