「長編小説を読みたいけど時間がない」、「活字は目が疲れてしまう」、「作業をしながら小説を楽しみたい」。そんな人におすすめなのが、世界最大級のオーディオブックで音声コンテンツの制作配信サービス「Amazonオーディブル」です。同サービスはあの世界的有名小説家、村上春樹氏の作品も配信中。日本語では初となる、10作品のオーディオブック化が進行しています。
現在配信されている第1作目「ねじまき鳥クロニクル」を皮切りに、様々な村上作品が音声化。そして10月5日、満を持して配信されたのが名作「海辺のカフカ」です。
「海辺のカフカ」が配信された当日、早稲田大学国際文学館(通称:村上春樹ライブラリー)では「Power of Voice 声で体験する村上春樹の世界」が開催されました。登壇したのは「ねじまき鳥クロニクル」でナレーターを務めた俳優、藤木直人さんと「海辺のカフカ」でナレーターを務めた女優、木村佳乃さん。両者の村上作品に対する思いなどが語られました。
木村さんは村上作品の大ファン
「小さい頃から朗読が大好きだった。村上さんの大ファンだったので、嬉しさと不安があった」と木村さん。初めて村上作品に触れたのは小学校5年生の時。「ノルウェイの森」を読んだそうですが、当時の木村さんには難解だったそうです。「高校、大学の時に読み直してようやく理解できた。村上作品は登場人物も多く、複雑なお話。特に担当した海辺のカフカは15歳の少年、ナカタいうおじいさんなどを演じ分けなければならない。聴く人がイメージしやすい感情表現を心がけたが、カラスと呼ばれる少年の表現は難しかった」と語ります。普段の台本読みや演技とは違う仕事でしたが「最後は楽しめた」と話していました。
村上さんと縁深い藤木さん
藤木さんは村上さんと同じく早稲田大学の卒業生。また、蜷川幸雄氏演出の舞台「海辺のカフカ」に出演し、ワールドツアーも経験しています。イベント時、壇上に設置されていたのは「海辺のカフカ」で使われた舞台装置。非常に縁深い場所への登壇となりました。「どこに連れて行ってくれるのか分からないのが村上作品」とし「ねじまき鳥クロニクルは戦争の残虐さなどが描かれており、読むのが大変なシーンもあった」と感想を口にしました。演劇でもなく、ラジオドラマでもない朗読。「老若男女、誰が話しているのか分かるように表現した」と藤木さん。16歳の少女、笠原メイが出てくるシーンは、藤木さんの表現力の高さに感服します。
それぞれの収録秘話
「ねじまき鳥クロニクル」も「海辺のカフカ」も完結まで読むには一苦労の長編です。大ファンを公言する木村さんはこだわり過ぎるあまり「何度もリテイクさせてもらった。1日10ページくらいしか進まず、好きすぎるが故に3ヶ月くらいかかった」と話すと藤木さんは唖然。「僕は逆に80枚から100枚を一気に読んだ。3冊を17日間で撮り終えた」と述べました。
2人を悩ませたのは長文とアクセント問題。村上作品は長文も多く「読んでいる最中に分からなくなる」と口を揃えます。また「僕」のアクセントに悩んだそう。特に女性の木村さんは「僕なんて普段使う言葉じゃないので家でも練習していた」とエピソードを披露しました。
日本を代表する名優2人が、声で表現する村上作品。なんとも耳が幸せになるようなコンテンツです。ぜひ、Amazonオーディブルで楽しんでみて!