みなさんは、「ピータールーの虐殺」という事件をご存知でございましょうか。先日、ボリス・ジョンソン首相が誕生したイギリスの歴史上もっとも残忍かつ悪名高い事件で、イギリスの民主主義の大きな転機となった事件でございます。
ジョンソン新首相の誕生した経緯にもEU離脱という、世界の大きな時代の流れのひとつでございますが…
トランプの登場、極右の台頭、香港の大規模デモ、さらに、日本でも……。
世界中がゴイスーな転換期を迎えております。ゴイスーに民主主義が問われております。
そんな民主主義について、ゴイスーに考えさせられる映画が、「ピータールーの虐殺」をリアルに再現、映画化した「ピータールー マンチェスターの悲劇」でございます。8月9日から日本公開でございます。話題の映画「新聞記者」を観られた方は、絶対にこちらも観て頂きたいのでございます。さらに重いです!
民主主義の大切さを問うてございます。
改めて、「ピータールーの虐殺」とは、どんな事件かと申しますと…
ナポレオン戦争が終結した1819年、場所はイギリス・マンチェスター。
イギリスは勝利したものの、経済状況が悪化、労働者階級の方々は職を失い、不満が高まっておりしました。しかし、彼らには選挙権がございませんでした。
そんな事情もあり、その不満が爆発、抗議活動が行われるように。そんななか、1819年の8月16日、マンチェスターのセント・ピーターズ広場で大々的な集会が開かれたのでございます。平和的に自分たちの権利、つまり民主主義を訴えるデモ行進になるはずでございました。ところが、その集会に集まった6万人の民衆の中へ、サーベルを振り上げた騎兵隊とライフルで武装した軍隊が突進することに……。集会には子供もお母さんも出席しております。
いったいなぜ、そんなことが起こったのか…。
この映画を観れば、「これ、昔の話じゃないよね」「ひょっとしたら、数年後、自分の身にも同じようなことが起こるかも」と、ゾッとすること間違いナッシングでございます。
映画「ピータールー マンチェスターの悲劇」では、この「ピータールーの虐殺」の内幕&外幕を、体制側、リベラル側、貴族、労働者、活動家、密告者、労働者家族をそれぞれ、超リアルに描いております。ゴイスーに丁寧に再現されております。史実に基づいた社会派の映画なのでございます。
それでいて、ゴイスーに上質なホラー映画でもあるのでございます。
過去の実話ですが、今起こっていること、これから起こる悲劇が超リアルに予見されているのでございます。とにかく、背筋がゾッとすること間違いナッシングでございます。ある意味、怖さでは「チャイルド・プレイ」にも引きをとらない、この夏最恐のホラー映画ではないかと。
監督のマイク・リーさまも、「民主主義が問われる今こそ映画化したかった」とコメントされておりました。
さらに、東大入学式のスピーチで話題になった社会学者の上野千鶴子先生も、「いつの時代も、どの社会でも、権力は民衆を怖れるものと見える。悲劇に向けて緊張を高めていく画面から、目が離せない。」とコメントされておりました。
先日、選挙に行かれた方も、そうでない方も是非、ご覧頂ければと存じます。
『ピータールー マンチェスターの悲劇』
2019年8月9日(金) TOHOシネマズ シャンテ他 全国順次公開
公式HP:gaga.ne.jp/peterloo/
配給:ギャガ
© Amazon Content Services LLC, Film4 a division of Channel Four Television Corporation and The British Film Institute 2018.
(文:絵本トレンドライター N田N昌)