「確信犯」や「役不足」のように本来の意味から逸れ、馴染んでしまうケースがよくあります。これらは本来の意味と合わせ、辞書に掲載されるまで出世してしまう場合も。せっかく先人が作った意味深い言葉も、やがて軽薄な若者に浸食され本来の意味を失うことは憤りを感じます。今、そのように軽薄者たちから強引に意味を変えられつつある言葉があります。それは……
「バブみ」
です。今回は、その本来の意味を今一度確認し、歪められたバブみを取り戻すためにこの言葉を紹介したいと思います。
誤用“バブみ”について
まずは間違った意味から解説します。現在、バブみはテレビなどで間違った取り上げられ方をしたこともあり「赤ちゃんぽい見た目、雰囲気をもった人」をさし、主に赤ちゃんとは言えない年齢の人をいうよう誤解されています。これは「バブぅ」が赤ちゃんを想起させるゆえの短絡的な解釈だと思われます。
真説“バブみ”とは
バブみを誤用してる人多すぎない?
— がまぐちねこ (@gamaguchi_neko) 2017年12月16日
お前がママなんじゃなくてお前が幼児なんだよ!!!!!!!! pic.twitter.com/Qk9aYSQbUB
「バブみ」はいわゆるネット界隈から誕生したスラングで、初出ははっきりとはしませんが、2014年とも2016年とも言われています。定着した意味は「年下女性に感じる母性。またはその人」。つまり対象となる年下女性から醸し出される空気や性格、容姿に母なる雰囲気を感じ、甘えたくなるような人をさし使います。
これまで概ね、母性は年上女性から感じるものという風潮がありました。一方で昔から年下女性にも母性を感じ得ることは当然あったにもかかわらず、それを表現する言葉がありませんでした。
しかしながら「バブみ」という言葉の発明によりそういった感情を持っている人の共感を得、使用されるに至ったのだと推察します。
幼児退行やロリコンなどと一刀両断にしてはいけません。
正しい用法
年下女性に対して使うのが正しい言葉ですが10代のアイドルやアニメキャラに対し自分が1、2歳年上だからといって使用するのは間違いではないですが違和感があります。
ピントが合うのは、何かを拗らせてしまった20代後半以上の、主に男性が年下女性に使うのが適しているように思います。
使用例
「ナウシカ(※16歳)にバブみを感じる」「ナウシカはバブみが強い」
また、そういった女性に甘えたい、赤ちゃんになりたいという場合は「オギャりたい」などと使う場合もあります。
使用例
「(魔女の宅急便の)ウルスラ(※19歳)にバブみを感じオギャりたい」
こういった場合、想像の中ですでにオギャってしまった人は「バブみを感じオギャる」と表現する人もいます。さらに母性を大いに受け止め、赤ちゃんになり切るほど深度が深くなると「胎内に帰りたい」「俺を宿している」などと言う場合もあります。
誤解してはいけないのは性交をしたいという意味ではないこと。言葉通りに胎児、赤ちゃんとして胎内に戻りたいほど母性を感じているという表現のひとつだと思われます。
バブみ授受の代表例
【悲報】NHK壊れる 「シャアがララァに感じていた”バブみ”」について解説を始めてしまう https://t.co/6RKWx2Ta2W pic.twitter.com/pPucClsKfY
— ひいらぎ姉@相互フォロー支援の時間だよ (@harasyo2) 2018年4月30日
端的にこの関係を表しているのは機動戦士ガンダムに登場するシャア・アズナブルとララァ・スンと言われています。
1年戦争時にシャアは20歳、ララァは17歳。ララァはアムロのビームサーベルによって戦死してしまいますが、その後のアムロとシャアの最終決戦『逆襲のシャア』でシャアは「ララァ・スンは私の母になってくれるかもしれなかった女性」と明言。これはシャアがララァに対し完全にバブみを感じていたことに他なりません。
……と、このように誤解された意味で一人歩きしてしまった『バブみ』。赤ちゃんぽいからなどというシンプルな意味ではなく複雑な感情を表した言葉なのです。
その一方で、そもそも大ぴらに流行ってはいけないし、テレビで紹介するなどもってのほかの言葉なのです。