みなさまは、「長尾謙一郎」という名前をご存じでしょうか?コアな漫画マニア、GAG漫画好きには「神」的な存在の漫画家でございます。代表作は、「おしゃれ手帳」、「ギャラクシー銀座」、「クリームソーダシティ」等。
21世紀の漫画界をザワつかせてきたキレキレの鬼才でございます。あらゆる意味でギリギリな作風の漫画家様でございます。ちなみに、「ギャラクシー銀座」ではギャグの域を超え現代の神話ともいうべきシュールな新解釈宇宙ドラマとも言われておりました。
芸能界にも熱烈なファンが多く、その代表といえるのが、俳優の山田孝之様でございます。山田様は長尾様の絵を購入するほどの大ファンで、「クリームソーダシティ」完全版の帯に推薦コメントを載せられているほどでございます。また「映画 山田孝之 3D」では、芸術監督を長尾様に依頼されております。
ちなみに、「クリームソーダシティ」は、政治家を襲撃した元ミュージシャンのDr.皇とTAKO介が、その直後に謎の楽園「クリームソーダシティ」に迷い込むという物語でございますが、2014年に『週刊ビッグコミックスピリッツ』での連載が未完のまま突如打ち切られております。
それが、クラウドファンディングによって資金を調達、続編の制作が行なわれ、今年6月に発売!という問題作、いや話題作でございます。
ということもあり、2014年の突然の打ち切り以来、漫画界から姿を消していた長尾の復活を待ち望んでいたのは小生や山田孝之様だけではございません。
さらに、その復活作が絵本であるとは、誰も想像すらしていなかったはずでございます。大人絵本ブームのなか、吉田戦車様、タナカカツキ様も絵本進出されておりますが、この人だけは絶対にないと思われていた漫画家様でございます。
作品を読まれたことのある方ならわかると思いますが、絵本と対極にある作風でございます。さらに言わせて頂くと絶対に絵本を描いてはいけない作家でございます。子どもに触れさせたらいけない作風なのでございます。
そんな長尾様の絵本がこちら。
「とんすけくんはももたろう」(作:長尾謙一郎)
11月13日発売のため、詳細はまだ不明ですが、毎晩パパに読んでもらう「ももたろう」の絵本に飽きてしまった主人公のとんすけくんが、自分の頭の中で新たな「ももたろう」を考えていくという物語らしい。
ちなみに、出版社(小学館)のコメントには、このように…。
「まさに爆笑の嵐! 全く新しいGAG絵本!GAG漫画界の超鬼才・長尾謙一郎氏(『おしゃれ手帖』『ギャラクシー銀座』『クリームソーダシティ』)が、満を持して絵本作家デビュー!全く新しい『ももたろう』がここにある!
ページをめくるごとに繰り広げられる奇想天外な展開に、子どもたちのハートはドッキドキのバックバク!爆笑に継ぐ爆笑。おやすみ前に読み聞かせをすれば、笑い疲れて、すやすやと楽しい夢に誘われること必至!主人公のとんすけ君をはじめ、登場人物のほがらかな可愛らしさにも注目。有史以来、最も注目すべき創作絵本が誕生しました。」とのこと。
“有史以来”でございます。小生も早く読みたくて仕方がないのでございます。ちなみに、長尾様のコメントもご紹介しておくと…
「この3年ほど漫画から離れ、映像や美術などいろいろな表現に身をおき、本当に純粋な表現はどこにあるのかを探していたのです。そこで出会ったのが絵本でした」と絵本を描いた理由を述べ、「子どもたちに、何の心配もなく、たくさん笑って、ぐっすり眠って欲しい。そんな想いを込めて描きました。ちょっと真面目すぎましたかね(笑)」。
いつも作品を読んでから記事を書くのですが、今回ばかりはあまりの衝撃に書かずにはいられませんでした。全国の長尾謙一郎ファンと発売日の衝撃をシェアしたく書かせて頂きました。みなさまも、書店で見かけられた際は、是非、あの絵本だなと思いながら長尾ワールドをご体験頂ければと存じます。11月13日でございます。
(文:N田N昌)