2018年には、村上春樹様にとって大きな出来事があった年でございます。毎年、恒例になっておりましたノーベル文学賞の発表が見送られたのでございます。毎年、発表を見守るハルキストたちの様子が各メディアで紹介されておりました。
そんな村上春樹様の最新作と言えば、2017年2月に出版された「騎士団長殺し」。出版から約2年が経っております。春樹様の新作を早く読みたいというファンの方も多いのでは。
ところが、でございます。つい先日、村上春樹様の本が出版されているのでございます。たぶん、ハルキストの方も知らないのでは…。というのも、小説ではなく“絵本”でございます。それも翻訳でございます。
実は村上春樹様、絵本の翻訳のお仕事もされております。さらに言うと、大人から高い評価を受けている作品、大人好みの絵本ばかりでございます。ハルキストも満足すること間違いナッシングな絵本なのでございます。
ちなみに、どんな絵本かというと。まずはこちら。
「おおきな木」(作・絵:シェル・シルヴァスタイン 訳:村上 春樹 出版社:あすなろ書房)
アメリカで1964年に出版され、現在38か国で販売、累計売上部数900万部超という世界的なロングセラー絵本でございます。ちなみに春樹様の翻訳本は2010年に出版されております。
これだけでは、ございません。
春樹様は、クリス・ヴァン・オールズバーグ様の作品(絵本)の翻訳も数多く手がけておられます。えっ、オールズバーグって誰?という方も少なくないかも…。
オールズバーグ様は、アメリカで最も権威のある児童書の賞「コールデコット賞」を2度も受賞しているアメリカの絵本作家で、映画化された「ジュマンジ」「ポーラー・エクスプレス(急行「北極号」)」の作者でございます。
春樹様が翻訳を担当されているオールズバーグ様の作品は、どれも大人好みでございます。というか、むしろ子供には難しいかと…。ハルキストや大人絵本ファンには、是非ともチャレンジして頂きたい大人絵本でございます。そんな春樹様が、久しぶりに翻訳を担当された絵本が先日、発売になったのでございます。それがこちら。
「わたしのおじさんのロバ」(作:トビー・リドル 訳:村上春樹 出版社:あすなろ書房)
2018年12月に出版されたオーストラリアの絵本でございます。こちらも、春樹様やハルキストが好きそうな絵本でございます。
ロバとおじさんの不思議な暮らしをただただ描いた作品。ですが、ロバは、実はロバでなく、何かの象徴ではないか…など、いろんな読み解き方ができる大人絵本なのでございます。ちなみに、小生は移民問題をテーマにしているのではと、感じたりいたしました。
それだけではございません。ロバが食べている花がゴッホの「ひまわり」だったり、ロバが観ている映画がチャップリンの「キッド」だったり、絵の中の細かいこだわりもハルキストの方には刺さるのでは…。
春樹様は2018年4月にメルボルンを訪れた際、書店でこの絵本を見つけ、面白かったので買って帰り、まだ日本で翻訳本が出版されていないことを知って、じゃあ、ぼくが…と翻訳することになったそうでございます。
村上春樹ファンの方、大人絵本ファンの方、村上春樹の最新翻訳絵本を是非一度、お試しくださいませ。
(文:絵本トレンドライター N田N昌)