『暮しの手帖』(暮しの手帖社)では、2017年9月末日まで、読者からの「戦争中の暮しの記録」を募集している。2017年3月24日から募集がはじまったが、残すところ3ヶ月余りとなった。
これは『暮しの手帖』創刊70周年記念企画として来夏出版予定の『戦争中の暮しの記録』に掲載する原稿をひろく一般に募集するもの。応募されたなかから何編かを編集し、単行本として販売する予定だ。
第二次世界大戦終戦から72年をむかえ、いまやほとんどの世代が戦争をしらない時代になり、戦争そのものや当時の人々の生活などの記憶もうすれつつあるなか、今回の企画では、戦中の記録に加え“戦後の記録”も募集する。
戦後の記録は、終戦の年である1945年~1950年前後までの「戦後の混乱期」を想定しており、同社では「敗戦の虚無感と瓦礫のなかから人々はいかに立ち上がり、何に希望を見出し、どうやって暮らしてきたのか…そうした記録も残したい」としている。
戦争と生活の記憶。資料としての価値
暮しの手帖社では、今回の募集からさかのぼること50 年前の1967年に「戦争中の暮しの記録」を募集し、読者の投稿を編纂した特集号を発刊している。
当時の編集長、花森安治氏は「一般の庶民が、あの戦争のあいだ、どんなふうに生きてきたか…いまこの記録を残しておくことは、こんどの戦争を生きてきたものの義務だとおもうからです…」と、ふたたび戦争をくり返さないためにと、高度経済成長期の真っただ中、戦争の記憶が薄れつつあった当時の日本に訴えかけた。
こうした「庶民の手による戦中の記録」は非常に珍しく、『暮しの手帖』をモチーフに描かれた朝の連続テレビ小説『とと姉ちゃん』や、映画『この世界の片隅に』でも、制作資料のひとつになっているそうだ。
戦後世代は、ぜひ聞き書きを!
また、「戦中・戦後の暮し」について自身の体験を綴るのはもちろん、戦後生まれの方にぜひ、“聞き書き”をお願いしたいと同社は話す。「この機会に、ご家族やお知り合いが体験された当時の様々な話をお聞きになって、文章にまとめて、ぜひ暮しの手帖社までお寄せいただきたいです」と、戦後世代の積極的な参加を呼びかけている。
募集内容について
戦中、もしくは「戦後の混乱期」とされる1945(昭和20)~1950(昭和25)年前後。
社会的な事件や著名な人物の記録ではなく、日常の暮らしについての記録やエピソードをより具体的に記してほしいとし「当時の写真や資料があれば、文章と共に送ってもらいたい」とのこと。また写真や資料のみでも受け付けるそうだ。
詳しい内容は、『暮しの手帖』87 号(2017.3.25 発売)、88 号(2017. 5. 25 発売)、89 号(2017.7. 25 発売)の募集要項か、同社のホームページ上で確認することができる。また、ホームページからは「戦中・戦後の暮しの記録」を募集チラシ(PDF)をダウンロードすることができ配布できる。
一人で複数の応募も可能で、未発表作品(営利目的でないブログ・EWBサイト・同人誌での既掲載作は可)を募集している。“聞き書き”原稿は、話し手の方が一人称や三人称の文でも、執筆者が一人称の文でも構わない。
入選者名は2018 年3月24日発売の『暮しの手帖』93 号にて発表予定。入選作は単行本として出版予定であり。また、入選作の何編かを本誌に掲載予定だ。
締切 2017年9月末日。郵送の場合は当日消印有効
郵送の場合は、〒169‐0074 東京都新宿区北新宿1‐35‐20 暮しの手帖社「戦中・戦後の暮しの記録」係
パソコンからの応募は、https://www.kurashi-no-techo.co.jp/70th