「ヌード」といえば女性のハダカをイメージされる方が多いかと思いますが、『美術手帖』4月号では、「男性ヌード」を特集。レスリー・キー撮影による俳優・池内博之の肉体美が表紙を飾り、あらゆる男性ヌードを収めた一冊になっています。
レスリー逮捕後初のヌード撮影
巻頭グラビアを飾るのは、ライフワークとして男性ヌードを撮り続けるレスリー・キー氏と野村佐紀子氏の写真です。レスリーは、男性ヌードの撮り下ろしを発表するのは、逮捕事件以来3年ぶりだそうです。
他にも、荒木経惟に師事した、野村佐紀子はボーイズラブ的関係性を想像させる、細身の男性同士のハダカを美しく表現しています。さらに川島小鳥や森栄喜ら若手フォトグラファー、アーティストの男をテーマとした特別フォト・ジン「OSSU」も見所となっています。
田亀に聞く、ゲイ・アート史
西洋美術史をひもとけば、古代ギリシャ以来、同性愛や異性愛者それぞれの欲望を反映した男性ヌード像が多数つくられてきたことが分かります。日本でも『薔薇族』に代表される、ゲイ・アート文化の歴史があったことを、男性の同性婚をテーマとする漫画『弟の夫』の作者、田亀源五郎が本誌で語っています。
「見られる」存在としての男性ヌードが語られるようになった背景に、湯山玲子とBL評論家の金田淳子は、“見る側”の女性の社会的立場の変化があると語っており、とても興味深い見解がなされています。
「LGBT」や「同性婚」が話題にのぼるようになった昨今、「男性ヌード」というイメージをとらえ直すことは、社会における潜在的なバイアスや価値観の違いを意識するきっかけになるかもしれません。