SUUMOリサーチセンターが10月4日、「住み続けたい街(自治体/駅)ランキング」を発表しました。毎年「住みたい街ランキング」を発表してきた同機関ですが、今回は実際の住人に「これからも住み続けたいか」という継続居住意向を調査。住みたい街ランキングと言えば上位に来るのは「横浜」、「吉祥寺」、「大宮」、「恵比寿」など。JRやターミナル駅、大型商業施設が充実している場所といった特徴があります。一方、住み続けたい街ランキングは「住んでいる街の魅力」について40の項目で聴取。また、「住んでいる街との関わり」についても20の項目で聴取しています。 いわゆる“憧れ”や“イメージ”ではなく、よりリアルな声が反映された結果となりました。それでは、第3位から順に見ていきましょう。
3位と2位は「みなとみらい線」
住み続けたい街(駅)ランキング、第3位は「日本大通り」。そして第2位は「馬車道」となりました。いずれも「みなとみらい線」です。馬車道における街の魅力として「周囲の目を気にせず自由な生活ができる」、「文化、娯楽施設が充実している」、「魅力的な働く場所や企業がある」といった声が挙がっています。
SUUMOリサーチセンター所長とSUUMO編集長を兼任する池本洋一氏は「歴史景観を残す馬車道のホンモノ思考、日本大通りの横浜スタジアム、ベイエリアの大規模商業、みなとみらいのオフィス、野毛の庶民性が融合している」とし「“ちゃんと残す”、“ちゃんと変える”ということを実践している、SDGsのお手本のようなシティ」と評価しました。
江ノ電沿線が強さを発揮
さて、住み続けたい街(駅)ランキング、栄えある1位に輝いたのは…
江ノ島電鉄「湘南海岸公園」でした。これは多くの人の頭に「?」が浮かぶのではないでしょうか。それもそのはず。湘南海岸公園の1日乗降客数は約1,700人。江ノ電の中でも5番目に少ない駅です。さらに、駅員のいない無人駅。駅前にコンビニなどはありません。
では、なぜ住み続けたいと思うのか。圧倒的に多かった理由が「地域に顔見知りや知り合いができやすい」ということでした。湘南海岸公園は元々、古い歴史を持つ漁師町。地域のコミュニティがしっかり形成され、相互扶助の精神が根強く残っています。
交通の利便性やショッピングの魅力は弱いでしょう。しかし、数は少ないものの、質の高い飲食店が並んでいるというのもポイントです。炭焼き魚や焙煎コーヒーといった飲食店が軒を連ね、どれもこだわりを持っています。それでいて子連れや一見さんにも寛容なのが愛される理由かもしれません。
池本氏は「知り合いを作りやすい。街に住民愛がある。珠玉の名店が街を支えている。街のカラーに溶け込む中で、住み続けたいという思いが醸成されていく」と考察しています。