11月14日は「世界糖尿病デー」ということをご存知でしょうか。日本では糖尿病患者は増加傾向にあり、総人口の15%もの人が糖尿病患者および予備群であると言われています。
そして現在、「糖尿病」と同じく問題となっているのが、食事を食べた後の短時間だけ血糖値が急上昇し、しばらくして正常値に戻る「血糖値スパイク」という症状。この「血糖値スパイク」は、「糖尿病」に発展するリスクがあるほか、「認知症」「心臓病」「がん」につながる可能性もあり注意する必要があります。
今回、生活者の意識・実態に関する調査をおこなうトレンド総研では、「世界糖尿病デー」を前に「血糖値スパイク」について一般の理解度を調査。さらに専門医に予防・対策法を聞いています。
「血糖値スパイク」についての調査結果
調査では20~60代の男女500名を対象に、「糖尿病」および「血糖値スパイク」に対する意識調査を実施。
まず、糖尿病患者やその疑いがある人を除いた対象者に、「あなたが今後、糖尿病になる可能性はどれくらいだと思いますか?」と質問。すると「10%以下」と回答した人が30%と、約3人に1人という結果に。多くの人が、「糖尿病」を自分とは関係のない病気と考えているようです。
次に調査対象者(過去に糖尿病と診断された方、あるいは疑いがあるとされた方を除く)に、専門医が監修した下記の「糖尿病リスク」チェックテストを実施。
結果は、回答者のチェック個数は平均で「5.6個」。また、「5個以上」の項目にチェックをした人の割合は、約7割(66%)にのぼりました。
以上の事から「自分は糖尿病に関係ないと思っていても『糖尿病』になりやすい要因や生活習慣のある人」は非常に多いということが見て取れます。そして、このチェックテストで「当てはまる」の数が多かった人は、実は「糖尿病」のリスクだけではなく、「血糖値スパイク」の症状が起きやすい傾向にもあるのです。
専門医が教える予防・対策法
今回、トレンド総研では専門医の鶴田加奈子先生に「血糖値スパイク」の予防・対策法も聞いています。どのような対策を行えばよいのでしょうか。
食事について
「血糖値スパイク」の予防においては、「食べてはいけないもの」があるわけではありません。「食べ方」に気をつけるだけで十分な対策になります。
具体的には、【量】=丼ものや麺類をはじめとした糖質を多く含む食事は控える、【順番】=血糖値の急上昇を防ぐため、食事の一番最初に食物繊維が豊富な野菜をとる「ベジタブル・ファースト」を心がける、【時間】=食事は1日3回、毎日できるだけ同じ時間にとるように心がけるなど。特に「欠食」は、次の食事で血糖値が急上昇する要因になるため、注意が必要です。
運動について
さらに、「血糖値スパイク」の予防においては、運動も効果的。おすすめは、全身の筋肉を用いるウォーキング。1回30分以上、少し心拍数があがる程度のペースで歩きましょう。なお、インスリンの働きは48時間持続するので、毎日ではなく週に3回程度でOKです。
カギは、「血糖トレンド」の把握
自身が「血糖値スパイク」に陥っているのかを知るには、「血糖トレンド(血糖値の変動傾向)」を見る必要があります。一時的な血糖値だけでなく、血糖値が変動する傾向(=トレンド)を見ることが「血糖値スパイク」の発見につながります。
この「血糖トレンド」の測定は、「血糖値スパイク」の発見のみならず、「糖尿病」の治療にも役立てられています。最近では医療技術が発達し、センサーを装着するだけで、24時間連続でグルコース値を測定できるデバイスなども登場しており、「血糖トレンド」が可視化できるように。
患者自身が「血糖トレンド」を把握することで、食事や生活などの生活習慣も改善しやすくなり、より適切な血糖コントロールが可能になっています。
11月14日の「世界糖尿病デー」をきっかけに、「血糖値スパイク」について不安がある方は、一度、糖尿病専門医のいる病院やクリニックで診断を受けてみてはいかがでしょうか。