北欧で人気の高齢者向け共同住宅「グループリビング」が日本でも作られ始めています。独り暮らしと老人ホームのちょうど中間の、自分でできることはできるだけ自分でやるという暮らしかた。使われなくなった独身寮を改修して住むなどの工夫が、今後の高齢化社会の参考になりそうです。
樹木希林さんへの憧れ
先日、女優の樹木希林さんが75歳で亡くなりました。がんを公表しつつも、最後まで仕事をし続けたその姿に多くのかたが心を打たれました。樹木さんは、自分でできることは自分でしながら、最期まで自宅で過ごしたい、と願い、それを全うされたことも感動的でした。
グループリビングは、高齢者同士が共に生活をする家です。シェアハウスと少し違うのは、お互いがお互いを助け合い、支え合って暮らすというスタイル。それぞれが作業を分担し、家の中のことをするので、スタッフが作業をする老人ホームよりもずっと安く、独り暮らしよりも寂しくないし安心なのです。最期までそこで暮らすことを認めてくれるグループリビングもあるそうです。
年齢を重ねてくると、一人で暮らすことに心細いものを感じすし、万が一の時も心配です。けれど、同じような状況の高齢者たちで共に暮らせば、さまざまな状況への対応が可能になるのです。誰かができないことを誰かがフォローし、助け合うのは素晴らしいことです。『からだにいいこと』2017年9月号では、そんなグループホームの実際の暮らしを紹介しています。
スペインのアニメ映画『しわ』は、認知症の高齢者が入る老人施設の物語です。アニメでは、元気な人が症状が進んだ人の世話をする光景が随所で見られました。もちろん無償ですが、皆、誰かの役に立つことを喜び、進んでそれを行っているのが印象的でした。グループリビングも、同じように誰かが誰かを助けるときもあるのでしょう。
『自分でする』という大切さ
日本では、かつて独身寮だった建物を改造し、グループリビングとすることが増えているそうです。少子高齢化社会なので、高齢者向けの共同住宅を増やす必要があるのでしょう。北欧ではすでに浸透しているグループリビングも、今後あちこちにできるのではないでしょうか。
雑誌で紹介されているグループリビングでは、自分が決めた仕事を毎日やることで、生活にハリが持てる、という入居者の話もありました。自分のことはできるだけ自分でする、という気持ちでいることで、高齢者の毎日はもっと生き生きしてくるのではないでしょうか。