酷暑の夏は人だけでなくペットにとっても辛い季節。人の三分の一程度の薄さしかない犬猫の皮膚は乾燥や刺激に弱いうえに、被毛で隠れているため肌荒れの状態に気が付きにくく、高温多湿な環境下では皮膚炎などの肌トラブルが起きやすくなります。
対策としてサマーカットをほどこした犬や猫をみかけますが、通気性がよく、毛玉ができにくくなるなど衛生的な反面、直射日光や紫外線を受けやすくなる、ノミやダニなどに刺されやすくなるなどのデメリットもあるようです。
ペット保険のアニコムが発表している『家庭どうぶつ白書 2022』によると年間を通して皮膚疾患による保険請求件数は多く、犬は1位(25.6%)、猫は3位(8.9%)※といずれも高いそう。夏はもちろん、日ごろから犬や猫の肌ケアが欠かせないことがわかります。※品種別の請求割合が0.5%以上の疾患を対象に、請求頭数=罹患頭数と仮定しオッズ比を算出。
そのようななか、近年注目されているのが高機能電解水を使用したペットケア用品です。
よく耳にするけれど高機能電解水って何?
例えば、高機能電解水を使用した犬猫のケア用品シリーズ「mofuwa」を販売する「株式会社ワンテンス」(以下、ワンテンス)では、大手ショッピングサイトを中心に、発売から約2年半でシリーズ累計販売数7万5000本突破する人気商品に成長し、今や生産が追い付かない状態だそうです。
ちなみに電解水とは、一般的に水道水や薄い塩化ナトリウムなどの塩化物イオンを含む水溶液を、弱い直流電圧で電解処理することで生成される水溶液のことをさします。コロナ禍をきっかけに耳にするようになった次亜塩素酸水や、飲料水としてもお馴染みのアルカリイオン水、殺菌力が高いとされるオゾン水など、装置や電解条件の違いを利用したさまざまな水溶液がつくられています。
前出のワンテンス社は“世界最高水準の安全な電解水”を製造できる電気分解技術「3室ダブルイン型電気分解技術」を持つ技術ベンチャー企業。片山貴嗣COOの父親が前身会社である「株式会社レドックス」で研究開発してきた技術を片山氏が引き継ぎ、2019年に新たにスタートアップさせました。
この技術で生成された高機能電解水「IELU(イエル)」は、もともと過酷な環境下での使用を目的として作られたもので、高い除菌効果にくわえ保湿力に優れます。手術時の内臓の洗浄にも使われるほど非常に高純度なものだそうで、一般的な高機能電解水とは異なり、食塩や塩酸などの不純物を一切生成しない特許製法でつくられています。
成分の体内残留もなく、アルコールや除菌剤のように正常細胞に影響を及ぼす心配もないそう。また、除菌、洗浄、新党、安全性、肌ケアなどの機能レベルを柔軟にコントロールすることが可能で、それぞれの用途や生活シーンにあわせた商品提供ができます。
獣医師による提案が開発のきっかけに
そんな人用に開発された高機能電解水「IELU」ですが、人の皮膚疾患に活用したいと専門家や医師にアドバイスを求めていたところ、たまたま獣医師の目にとまり「これを犬や猫のために役立てることはできないか?」と提案されたのがペット用ミスト開発の始まりだったそうです。
肌荒れ乾燥肌といったトラブルをかかえやすく、すぐに傷口や患部を舐めてしまう犬や猫にとって、まさに高機能電解水「IELU」はうってつけ。地肌を清潔に保つのはもちろん、フケ・かゆみケア、保湿や除菌による消臭効果も期待できる他、洗浄成分やアルコールを含まないため舐めても安心です。また、獣医師やトリマー、ペットショップのスタッフ、そして飼い主とその家族といったペットを取り巻く人や環境にも優しいのが特長です。
自身も慢性的な敏感肌であり、子どもの頃から肌ストレスを感じていたという片山氏。大学生当時、父親から開発中だった電解水を渡され肌に塗ってみたところ、かなり潤いが増したという実感があったそうです。嬉しくなった片山氏は学友や知り合いに電解水を試してもらいましたが、結果、「効果はある気がするけれど、水道水と何が違うの?」「欲しいけど100円くらい?」と評価が低いことに愕然とします。
一見すると普通の水と変わらないため、確固たるエビデンスが必要だと実感した片山氏は、少なくとも10年かけてエビデンスづくりを目的とした研究を父親が続け、自身は「経営スキル磨きと信頼できる仲間づくりを頑張る」と親子で約束を交わしたそうです。その後、片山氏はアクセンチュア株式会社へ就職。電解水の良さを世界に広めたいという親子の夢を叶えるため、20を超える大学、病院、研究機関などと共同研究を重ねながら25年をかけてエビデンスを蓄積してきました。
今では、除菌やスキンケア、専用噴霧器などさまざまな分野に裾野を広げている高機能電解水「IELU」。多機能で安心、安全、清涼飲料水の規格をクリアした高機能電解水を使用した犬猫ケア用品「mofuwa」シリーズには、スキンケアミストやグルーミングスプレー、シャンプーや毛玉防止ジェル、肉球クリームなど、手軽に、でも、しっかりと犬猫の肌ケアができるラインナップがそろっています。
写真左)から、スキンケアミスト、グルーミングスプレー、シャンプー。
現在、ネットを通じての受注は月6,000本ほどが限度。これは全体の1%しか対応できていないそうで、工場の生産力も限界をむかえていることから、クラウドファンディングにて生産ラインを増やすための支援を募るそうです。詳細は、https://camp-fire.jp/projects/view/677116?utm_campaign=cp_po_share_c_msg_mypage_projects_showまで。