プロ野球界を代表するバッターといえばソフトバンクの柳田悠岐選手や横浜の筒香嘉智選手らがいますが、ルーキーイヤーから活躍していたわけではありません。期待されつつ数年の下積み期間を送っていました。しかしその間もチームやファンから「将来、チームを背負って立つバッターになるな」と夢を見させてくれていました。
そんな若手をロマン砲といいます。今年覚醒した巨人の岡本和真選手やおととしからその片鱗を見せ去年開眼した西武の山川穂高選手もかつてはそのロマン砲。そこで今回は、大輪を咲かす直前の若手スラッガー「ロマン砲」を紹介します。
※以下、成績や年齢は2018年4月17日までのもの
期待の若手「ロマン砲」
そもそもこの言葉の由来は、戦争で運用されたら一気に戦局が変わるのではないかと思わせる大砲などの兵器の事を言い、ネット界隈での造語でした。これが転じてチームを激変させるではないかとロマンを感じさせる若手の長距離砲候補を言うようになりました。今、そんな夢を感じる若手といえば……、
阪神:陽川尚将選手(26)
13年のドラフト3巡目で入団した東京農大出身の陽川選手。高校時代には長打力を買われ巨人から育成枠での入団を打診されたそうですが断ったそうです。阪神に入団後、二軍の公式戦ではいくつも打撃タイトルを獲得し、ウエスタンリーグのシーズン最多打点記録を保持。一軍ではいまだ思うような成績は残せていませんが、覚醒を待つ首脳陣やファンは多くいます。
楽天:内田靖人選手(22)
13年のドラフト2巡目で入団した内田選手。二軍戦では好成績をマークする期待のスラッガー。3年目となる16年シーズンでは1軍戦初ホームランを含む2本塁打。今年のオープン戦では12球団トップとなる.386を記録し開幕スタメンに名を連ねますが、期待に応えられず登録抹消。とはいえどっしりとしたフォームは大砲の風格ありです。
三振かホームランか……というバッターもさす「ロマン砲」
上記の期待の若手という意味が第一義なのですが、いつの間にか低打率なうえ、三振かホームランか……というバッターも『ロマン砲』と呼ばれるようになりました。こちらは先に述べた条件の実績のあるバッターをいいます。ここではそういった期待すれば裏切られ、裏切られたと思えば熱々のホームランを打ってくれる夢のあるバッターを紹介します。
日ハム:ブランドン・レアード選手
15年に入団以降、毎年30本塁打、90打点以上をマークするチームの中核を担う主砲。一方で120三振以上を喫し、打率は2割前半。去年は.229で27人中25位でした。
日ハムのレアードがホームランを打った〜\(^o^)/
— 野球大全集 (@actvermo) 2017年5月13日
2日にまたぎ4打数連続ホームラン!
寿司ポーズが連発でね〜\(^o^)/#ホームラン#レアード#4打数連続ホームラン#寿司ポーズ#寿司ボーイ pic.twitter.com/QB8xhQYiGM
レジェンド『ロマン砲』3傑
近鉄:ラルフ・ブライアント選手
89年、優勝をかけたダブルヘッダーで4打数連続本塁打を放ち、リーグ制覇の立役者。弾速が早いバッターで3度のホームランキングに輝きましたが、シーズン最多三振も5度記録。これは歴代シーズン最多三振ランキング4位までを独占しています。規定打席に入ったシーズンの最高打率は.293で他の年は.250前後とロマン砲にしては高いアベレージを保っていました。
横浜:古木克明選手
高校時代から長打力には定評があり、横浜がドラフト1位で指名。将来を嘱望されたスラッガーでした。03年には規定打席には届かなかったもののレギュラーを獲得、22本塁打を放ち将来の4番候補に上り詰めました。一方で打率が.208と低調で、三振は131と選球眼と守備力に難があり、思うような成績を残せぬまま引退しました。
広島:ランス選手
87年から2年間在籍したロマン砲。初年度に39本塁打でキングに輝きましたが、打率は.218と規定打席に達した打者では最下位。この年の最多三振114を喫しました。低打率でむらのあるバッティングのため下位打線を打つことがありましたが、後ろにホームランキングがいる打順は他チームから恐れられました。
シーズンによっては西武の中村剛也選手やヤクルトのバレンティン選手の成績も後者のロマン砲の枠に入りそうですが、この2選手ではまだまだ確実性が高いようです。
幾多の裏切りあり諦めかけたころに大きな花火を見せてくれるからこそ、夢とロマンがあるんでしょうね。そのような主人公の傍にいるライバルのような存在が後者のロマン砲なのではないでしょうか。