映画『ぜんぶ、ボクのせい』(8月15日公開)の完成披露上映会が都内で行われ、主演の白鳥晴都、共演の川島鈴遥、オダギリジョー、そして松本優作監督が登壇した。
構想2年以上の歳月をかけて本作を関係させた松本監督。「今の社会を生きていく中で感じたことを詰め込んだ作品。色々な捉え方ができる映画なので、色々と感じてほしいです」とアピール。児童養護施設で暮らす13歳の主人公・優太役の白鳥は初の舞台挨拶参加に「夢の舞台」と喜色満面で「辛い環境の中で生きている役なので難しかったけれど、少しでも優太の気持ちを理解できるように台本を読み返し、立ち姿や口調など台本に書いてないところも想像して演じました」と熱演を報告した。
そんな白鳥について松本監督は「ラストシーンを演じてもらったときの目の表情や鋭さにドキッとした」と逸材だと絶賛していた。
女子高生の詩織を演じた川島。オダギリの監督作『ある船頭の話』に出演しており、ホームレスの坂本を演じたオダギとの共演には「オダギリさんが今回どう来るのか予想が出来ず、しかも私が想像していたおっちゃん像とオダギリさんが演じるおっちゃんが結構違った」とぶっちゃけ。オダギリから「え?それは良い意味で?なんだか悪い意味に聞こえましたけれど…」と苦笑いされると「もちろんいい意味です!台本に縛られず、アドリブを交えて演技できたことが嬉しかった」と大慌てで感謝して笑いを誘っていた。
そんなオダギリは松本監督に自らアイデアを出して、坂本という役柄や設定に肉付けしていったという。オダギリは「アイデアと言ってもかなり下手に。監督に対して先輩面して言ったとは捉えないでください!」と笑わせつつ「映画を撮りたいと思っていた20代の頃に書き溜めていたアイデアの一つにこの映画の設定に似ているようなものがありました。坂本を演じる上ではその頃に持っていたアイデアがあふれ出た」と明かした。
一方、白鳥は海への入水シーンを振り返り「僕が演技に夢中になるあまり、深いところまで行ってしまいました。一緒に海に入った川島さんはそれでも素晴らしい演技をしてくれたので、改めてスゴイ女優さんだと思いました」と感謝。すると川島は「晴都君を頑張って止めたけれど、全然止まってくれなくて…。最終的におぼれないようにと私が晴都にしがみついていました。止めたいけれど止まらない。そんな感覚が面白かったです」と熱演の舞台裏を紹介していた。
また白鳥は、撮影中にもらったオダギリからのアドバイスについて聞かれると「もっと動きを大きくした方がいいよ、などと言っていただきました」と回想。しかし当のオダギリは「え?それは言ってないでしょう?本当に?…取材で『彼には全くアドバイスをしていない』と言っちゃったよ!」と頭をかいていた。
ラストを飾る大瀧詠一の名曲『夢で逢えたら』は、映画館用に初の5.1chミックスが施された。松本監督は「たくさんの方がカバーしてきた素晴らしい名曲だけれど、今の時代の中で聴くと感じ方も変わる。『夢で逢えたら』を使用することが決まったことで詩織像にも変化がありました」と話した。