夏休み『国立科学博物館』を100倍楽しむために、一緒に持っていくべき絵本とは

2017/07/24
N田 N昌

夏休みと言えば、国立科学博物館でございます。毎年この時期、興味深い展覧会が開催され大行列。自由研究などの題材に選ぶ学生の皆さんも多いのではないでしょうか? もちろん、中年男性の小生もワクワクしております。

 

今年は『深海2017~最深研究でせまる“生命”と“地球”~』。2013年、世紀のスクープ映像と言われた生きたダイオウイカの映像と共に全長約5メートルのダイオウイカの標本展示が話題に!来場者も60万人に!その展示以来の「深海展」でございます。今年は、「生物発光」や「巨大生物」、「超深海」などの最新映像や実物が楽しめるとか。

 

※出典http://shinkai2017.jp/

 

で、今回、ご紹介したいのは、『深海2017』ではなく「常設展」でございます。特別展にばかり人気が集まりがちですが、この常設展がとても興味深いのです。深海展2017のチケットがあれば、同日に限り常設展もご覧いただけます。

 

化石や恐竜など、実はスゴイものがたくさん展示されているのでございますが、行く前に、是非、こちらの絵本を読みモチベーションをあげたうえで、ご来館頂きたいのでございます。

 

『せいめいのれきし 改訂版』(文・絵:バージニア・リー・バートン 訳:石井 桃子 監修:まなべまこと)

 

こちらは1964年の刊行から人気ロングセラー絵本として読み継がれてきた「せいめいのれきし」、その改訂版でございます。

 

宇宙に地球が生まれてから今この瞬間までの「いきもの」(生命)のリレーを、534場のお芝居に見立てて、壮大に物語っている絵本でございます。読み応え、見ごたえじゅうぶんでございます。

 

ちなみに、生物学者の福岡伸一様もこの絵本の大ファンで、著書の「せいめいのはなし」も、この絵本にインスパイアされて生まれたとか。

 

この「せいめいのれきし」はおととし、半世紀ぶりにアップグレード、改訂版が出版され話題になりました。いろいろ、変わっております。最近、恐竜は絶滅しておらず、鳥類の子孫ではないかということが分かりましたが、その辺の記述も変わっております。まさに、この改訂部分に、この半世紀の間の学者達の研究の成果が表れているわけでございます。

 

是非、読み比べて頂きたいのでございます!図書館にいけば、改訂前(旧版)の「せいめいのれきし」を所蔵してあるはずでございます。

 

内容(テキスト)以外に、もうひとつ変わったことがございます。それは、改訂版から、「監修:まなべまこと」が追加されております。改訂版の文章は、まなべ様が担当されております。「まなべまこと」とは、一体何者なのか?国立科学博物館地学研究部生命進化史研究グループグループ長でございます。

 

恐竜など、中生代の爬虫類、鳥類の進化を研究しながら、特別展の企画や図鑑の監修などを数多く手がけておられる方です。

 

そして本題に戻りますが、なぜ、この絵本を国立科学博物館に行く際に読むべきなのか…。この絵本の中に登場する様々な生き物に常設展で出会うことができるからなのです。(ちなみに、バートンさんは、アメリカ自然史博物館に通って、8年もかけてこの絵本を描かれております。最後の方のページにアメリカ自然史博物館の断面図も描かれております)

 

ここで雑学をひとつ。

絵本の中にも登場するアパトサウルス、首としっぽが長い大型の草食恐竜でございます。絵本では、しっぽを引きずった感じで描かれております。今ではピンとしっぽを張って、頭としっぽでヤジロベイのようにバランスをとって素早く走っていたことが分かっていますが、昔は、恐竜は爬虫類でお腹を引きずりながら、がにマタ、腕立て伏せで歩いていたと考えらえていたからでございます。当時の展示もそのように展示されておりました。

 

少々、脱線しましたが、名作中の名作、世界中で読み継がれている「せいめいのれきし」を読み、アメリカ自然史博物館の日本版ともいえる国立科学博物館で、その実物を体感するという、贅沢なお時間を過ごされてみてはいかがでしょうか。「深海2017」に行くご予定のある方、是非、「せいめいのせきし」を手に常設展にも足をお運びくださいませ。(文:NN昌)

 

この記事が気に入ったらいいね!しよう

N田 N昌
この記事を書いた人

N田 N昌

放送作家・ナンセンス絵本マニア 「有田とマツコと男と女」「レゴニンジャゴー(アニメ)」 「天才テレビくんMAX」「小島慶子のオールナイトニッポンGOLD」 など、テレビ・ラジオ番組の構成脚本を担当。

N田 N昌が書いた記事

あなたへのおすすめ

カテゴリー記事一覧

pagetop