もしかしたら日本の卓球は男女とも、リオ五輪で圧倒的強さで金メダルを獲得していた!?とは言いすぎかもしれませんが、ある問題が卓球界に長く蔓延っています。
問題というのはラケットの不正。
ラケットのラバーに“補助剤”(英語で“ブースター”)という液体を塗ることで[スピン][スピード][コントロール]を飛躍的に向上させること。
おかしいのはITTF(国際卓球連盟)がこれを2008年に「禁止」と決めながらも黙認していることです。数年前、世界で活躍する卓球選手の80%はラケットに不正をしているとのリークも有りました。それだけこの不正は平然と行われていたのです。
これに8年以上前から意義を申し立てていたのが日本の水谷隼選手。「ITTF公認のラバーでは考えられないスピードと回転でボールが返ってくるし、金属音のような打球音が会場に響く」ロンドン五輪後「全てのプレーヤーと平等な条件でフェアに戦いたい」と補助剤による不正を行わないようITTFに改善を求めました。そして「認められるまでは国際試合などから一時撤退する」と宣言しました。
2012年水谷選手のブログ
『補助剤について』水谷隼公式ブログ 2012年11月22日
ここに詳しく書かれています。バッシングもありながら信念を曲げない、その切実な想いが込められています。今回のリオ五輪で明確な改善策を取るには至りませんでした。
不正の概要を簡単にまとめると…
まず卓球のラケットは、木製の板に、ゴムとスポンジを接着して一枚になったラバーを貼ったもの。このラバーは付け替えが可能です。要は、このラバーにブースターという石油系樹脂を塗ってカスタマイズするのが不正、ということなのです。
ラバーをカスタマイズすると?
ラバーの内側(スポンジ部)に塗ると、油の分子がラバーの分子と結合して膨張し反発力が強くなります。
そのラバーで打つと球のスピード、威力が増し、スピンがかかりやすくなります。更に表面のゴムも柔らかくなるのでボールコントロールも安定するそう。
誰が最初にやったかは不明、偶然そんな効果が出たのが広まったと言われています。
ちゃんとしろITTF(国際卓球連盟)
この“ラケットのドーピング”をITTFは禁止しています。禁止されてるけどやっちゃってる選手が多いそうなんです。
卓球は試合前に審判と、そして選手同士が相手のラケットをチェックします。相手がどんなタイプのラバーを使用しているか、そして不正がないかを確認するためです。ところがブースターは揮発性が高く、塗った形跡が残りにくいので見た目では殆どわからないそうです。
見分ける機器が開発されていたのに!?
実は、今年2月、ドイツの研究者が新たな検査方法を開発しました。ITTFが公認するラバーの弾力や粘度を事前測定し、その数値と比較することで不正を見つけるというものでした。しかしITTFのワイカート会長は「検査方法が確立しておらず、解決には時間がかかる」と具体的な対策を打ち出しませんでした。
は?! ITTFさん、どうして測定器を使わないの?
真剣に考えてないでしょ?8年以上かかっても解決できないなんてただの怠慢じゃん。なんでも水面下で、ある国から圧力をかけられているという情報もありました。国名は伏せますがずっと不正疑惑を囁かれている国がいくつかあるそうです。
イヤ~な感じです。
選手なのかラケットなのか
日本選手は男女とも正規ラケットを使用していると公言して挑んでいます。不正ラケットを使用していません。一時期、真面目にルールを守っているのは日本だけといわれていました。
今回のリオ五輪でもおかしな打球を放つ選手がいるとネット上で話題になっていました。
もちろん一部選手だけ、しかも憶測なので真相は分かりません。しかし卓球選手なら音と打球変化でだいたい見当がつくそうで実際は分かっていると思います。大会後、誰か疑惑を吐露するかもしれません。
そう考えると選手に負けたのではなくラケットに負けたという選手も沢山いたでしょう。フェアな選手は不憫です。そんな中で日本選手は、リオ五輪で男子も女子もメダルを獲得しました。完全なる実力で勝ち取った汚れなきメダルといえるでしょう。(他国の選手が全て汚れていると言っているのではありません)
ルールを変えてしまえば?
ITTFが不正ラケットを見分けるのが難しいというのなら…こんなラケットのルールはどうですか?と提案したい。勝手なことを言って怒られるかもしれないけれど、素人だから言える打開策を2つ挙げます。
その前に、ラケットについて調べました。
ラケットは緻密
ラケットのラバーについて。種類はこんなにあるんです。
【裏ソフトラバー、表ソフトラバー、粒高ラバー、一枚ラバー、アンチスピンラバーの5種類。
裏ソフトラバーは高弾力・高摩擦系、テンション系、粘着系。スポンジの厚さは特アツ、アツ、中、薄、極薄の5種類。卓球選手にはプレイタイプがいくつかあって、ドライブやスマッシュが得意なパワーボールを打つタイプ。
ラリーをしながらコースを突いたり、緩急をつけるタイプ。
守備に徹してミスを誘うカットマンタイプ。
皆、自分に合ったラケットを作っているんです。中にはラケット表裏に違うラバーを貼って使い分ける選手もいるそうです。ラケットってかなり繊細かつ巧妙な道具なんですね、素人が学校の授業や温泉で使うようなラケットとは物が違います。
2つの打開策
①【使用ラケットの種類を決めてしまう】
スポンジの厚さだけでも5種類あるのがそもそもおかしい。
ぶっちゃけると「使用するラケットはラバーが替えられない1種類」だけにしてしまう。
あるいは3種類。例えば、スピード系選手用、ラリー選手用、カット系選手用の公認ラケットとする。
ラケットを平等にしてしまえば実力のみで戦えます。
そもそもカスタマイズできるのがおかしいんだから、これでフェア。
②【カスタマイズ何でもOKにする】
水谷選手の訴えを全否定してしまいますが、これも策だと思います。
スポーツは道具のおかげで技術が向上、記録が生まれる歴史があります。逆に人の力よりも道具による恩恵が高くてNGになったものもあります。競泳水着のレーザーレーサーなどありましたよね。
では卓球はどうでしょう?
とてつもないスピード、考えられないスピンがかかった打球、それを互いの技術で撃ち合いラリーする…マンガみたいで観ている客さんは楽しいかもしれません。
だから、選手はラケットをカスタマイズしても良いことにするんです。木製じゃなくても良い、ピカピカ光る電飾をつけたって良い、なんでもアリにしちゃえばいいじゃないですか。卓球が面白くなりますよ。
ただし―――
それを知った子どもたち、未来の卓球選手はどう思うでしょうか?
強い選手になるため練習するよりも、凄いラケットを作ることに力を注いでしまわないでしょうか? そうなると卓球はスポーツなのか何なのか?
――― これは“駄策”でしたね。
今こそ声を上げるべき!
水谷選手は、きっと今回のリオ五輪で金メダルを獲り、不正ラケット使用選手に絶望感を味あわせたかったと思います。頂点には立てませんでしたが、堂々の個人で銅メダル、団体で銀メダル獲得です。
水谷選手がロンドン五輪後ラケット不正撤廃を掲げた際、「負けた言い訳だろ」という声がありました。
そこで最後に、隠れて不正ラケットを使う全ての選手に言いたい。
不正ラケットで勝って嬉しいですか?
正規ラケットの選手に負けて虚しくないですか?
自分が愚かだと思いませんか?
それで本当の卓球選手と胸を張れますか?
ITTFが積極的でないなら、選手会を作り、正規ラケットを使用している選手同士で「不正ラケット撤廃」の声を上げてはどうでしょう。選手にモラルを問うのです。裏を返せば賛同しない選手は不正しているということになります。
五輪メダリストの水谷選手、そして日本にはそれができる威厳が生まれました。
ドイツの元世界ランク1位ティモ・ボル選手も水谷選手に賛同、その輪は広がりを見せています。
水谷隼選手の訴えが叶い、フェアなスポーツに改善されることを信じています。そして次の東京五輪で悲願の金メダルを獲得することを願っています。