シナネンホールディングス株式会社は、近年グループ会社が運営するシェアサイクル「ダイチャリ」などが有名な事業です。エネルギー業界のリードカンパニーである同社は12月7日、都内で新規事業説明会を開催。エネルギー業界に携わる企業や投資家にとって、貴重な情報が公表されました。
2つの事業方針を展開
山﨑正毅代表取締役社長は昨今のエネルギー業界について「世界の気温上昇、カーボンニュートラルの実現、エネルギー価格の高騰など、急激に変化している。加速する脱炭素化に向けた動きをチャンスと捉えて、ビジネスの変革を推進していく」とし、新規事業における2つの方針を発表しました。
1つは成長性が高い領域での事業創出。「再生可能エネルギー」、「廃棄物再資源化」、「環境負荷が低い新燃料」、「住宅・建物の脱炭素化」という領域に注力します。もう1つは事業創出の持続性を高める仕組みの創出です。これは自社が手がけるシェアオフィス「seesaw」を通じた他社協業、地域との脱炭素包括連携の締結により実現していく考え。
山﨑社長は「創業100年を迎える2027年度に向けて基盤を整備し、更なる飛躍を図りたい。各地域を巻き込む“共創”を通じた脱炭素化の総合ソリューションを提供していく」と語りました。
亜臨界水処理技術を実証実験
同社は2021年4月に社長直轄「グループ連携推進室」を新設。今年4月には「成長戦略部」に改組し、グループ連携推進チームとサステナブル推進チームに分かれて事業を進めています。成長戦略部で部長を務める高橋大輔氏は、事業方針に沿った具体例を説明。「再生可能エネルギーは現状ソーラーシェアリング事業を展開しているが、再生エネルギー由来電力の発電所への投資や燃料供給を検討している」と話します。
廃棄物再資源化については亜臨界水処理技術を用いて、滋賀県の実証実験に参画。これは琵琶湖の水草を亜臨界水処理技術で処理するもので、紙梱包材やバイオエタノールに生まれ変わる仕組みです。今後は地域の廃棄材を活用した資源循環事業やバイオ炭を活用したCO2回収などを検討するとのこと。
一方、事業創出の持続性を高める仕組みの創出という事業方針についてはシェアオフィス「seesaw」のリニューアルを実施。オフィス向け資源循環システム「MaaR for business」の導入や入居企業・団体などの温室効果ガス排出量算出サポートサービスの提供をスタートさせています。地域を巻き込む動きとしては2022年3月に長野県茅野市と、6月には同県諏訪市と脱炭素に関する包括連携協定を締結。脱炭素社会の実現に向けて、着々とプロジェクトが始動している状況です。
具体性と計画性を持った、シナネンホールディングスの確かなビジョン。これからの地球環境と豊かな生活に、期待を抱かせてくれる発表会でした。