上司と若手の飲みニケーションはもう古い?ギャップだらけの「本当は言われたい言葉」

2018/07/04
Shoichi Sato

“終業時間を1時間過ぎた。自分が最後だと思い、そろそろ帰ろうかとオフィスを見渡す。

すると、電気の当たらない隅でパソコンと格闘する人の影。今年入社したばかりの、23歳の男の子だ。彼には来週中に提出する資料作成を頼んでいた。今日は金曜日。「お疲れ様。どう?飲みにでも行くか?」と声をかけてみる。彼は少し困った顔を見せた。

「お、お疲れ様です。えっと…あ、はい」。なんとも歯切れの悪い返事だったが、せっかく2人だったので適当な居酒屋に向かう。私と彼の歳の差は20。こうやって酒を酌み交わして、コミュニケーションを取ることが大事だと思っていた。ひと月後、彼は会社を辞めた。あの時、私がかけた言葉や行動は正しかったのだろうか。

飲みニケーション

職場でのコミュニケーション方法が問われている昨今です。大塚製薬株式会社はこのほど、上司と若手社員のより良いコミュニケーションについて、上司(課長クラス以上)と若手社員(入社5年以内)の男女600人を対象に「職業に関するWEB調査」を実施。

すると、上司と若手社員で「言われたい言葉」や「してほしい行動」にギャップがあることが分かりました。

まず、上司に対して「若手社員が頑張っている時に掛けている言葉」を聞くと、1位は「お疲れ様」で187票でした。ところが、若手社員に対して「自分が頑張っている時に掛けてほしい言葉」は「助かるよ」だったのです。

次いで「ありがとう」、「よくやってるね」、「頼りになるね」、「成長したね」。「お疲れ様」は6番目です。若手社員は感謝や称賛を求めていました。

一方、上司が若手社員に求めている「掛けてほしい言葉」は何でしょうか。若手社員が「上司が頑張っている時に掛けている言葉」1位も「お疲れ様です」。しかし上司は「手伝えることがあったら言ってください」が1位です。つまり上司は意欲的な言葉を求めているわけです。「お疲れ様」は便利な言葉である反面、あまりに常套句過ぎて心に響かないのかもしれませんね。

 

「酒」より「話」が好きな若手

では、会話以外の行動を見てみましょう。「上司から普段どんなことをされると嬉しいか」という質問に対して、「飲み会に誘ってもらう」はなんと第5位。圧倒的に票を集めたのは「気さくに声をかけてもらう」です。また、「相談に乗ってもらう」や「お菓子等の差し入れをもらう」、「プライベートの話ができる」も上位に。

近年、若者の酒離れが叫ばれています。職場コミュニケーションの鉄板だった飲み会はもう古いのかもしれません。「酒」より「会話」や「差し入れ」など、上司の気軽な心遣いが嬉しいようです。

“酒の席が苦手だった。学生時代から何度も飲み会には出席したけれど、一つも楽しくなかった。元来、僕はコミュニケーションが苦手だ。初めて入社した会社も、上司とは何を話せば良いか分からない日が続いた。役に立ちたくて、仕事自体は頑張った。現に来週中に提出する資料も既に終わっていた。

大塚製薬が販売する大豆バー「SOYJOY」の新商品プロモーション。上司と若手社員のアンケート調査をまとめる仕事だ。 ある日、その仕事を僕に頼んでいた上司が「飲もう」。と言ってきた。断るわけにもいかず、歯切れの悪い返事で了承した。

案の定ただ無駄な時間が過ぎた。結局、会社を辞めた。職場コミュニケーションが上手くいかず、孤立したのが一番の要因だ。あの時、僕は酒ではなくてもっと気軽な言葉が欲しかった。でも、何か手伝うことがあるかを聞くべきだったと、後悔もしている”

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Shoichi Sato
この記事を書いた人

Shoichi Sato

地域ミニコミ紙の編集記者、広告代理店を経てフリーライターとして活動中。趣味は山登りなど、スポーツ全般の元高校球児。未確認生物や宇宙、戦国時代 などが好きなロマン追求型。座右の銘は「気は遣うものではなく、配るもの」。 ブログ:s1-thats-WRITE

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