DX(デジタルトランスフォーメーション)時代を担う若手技術者・起業家の育成を支援するために、株式会社ゼネテック主催でビジネスプランコンテスト「DXチャレンジ2022~人と地球にやさしい社会の実現へ~」が開催されました。2022年12月17日(土)に、最終プレゼンテーション大会が都内で行われ、高校生から社会人まで、未来のDXを活用する画期的なアイデアが集結! 今回は、そのトピックスをお届けします。
■ゼネテック「DXチャレンジ2022」とは?
「DXチャレンジ2022」は将来を担う学生、若手エンジニアの発想力を生かし、DXによる社会のデジタル改革を推進することを目的としています。
募集テーマは「人と地球にやさしい社会を、デジタル技術で実現するビジネスプラン」。AI、IoT、ロボティクス、デジタルツイン、デジタルファクトリー、位置情報アプリという幅広いキーワードにおいて、デジタル技術に基づくビジネスアイデアを募りました。
応募されたプランのなかで、「新規性」「課題解決性」「事業実現性」に優れるものに賞が与えられ、最優秀賞は1点、優秀賞は2点、佳作は2点、記念トロフィーと賞金を贈呈されました。
部門は学生部門(高等学校・高専・大学・大学院の学生)と、一般部門(一般社会人の個人およびグループ)の2つの計10組が会場でプレゼン後に審査が行われ、表彰されました。
■主催者代表・上野社長の挨拶「日本の発展に寄与したい」
株式会社ゼネテック 代表取締役社長 上野憲二さん
初めに行われたゼネテック代表取締役社長の上野憲二さんの挨拶では、まず「今回の10組は卓越した発想力と企画力を評価された」とし、鼓舞メッセージを述べました。
そしてこのコンテストの目的として、「『デジタルで人に優しい社会』をテーマに掲げ、事業を推進している当社が、若手起業家、事業家のアイデアをシェアすることによって、日本を少しでも元気にすること」を述べ、関係各者に謝辞を述べました。
2020年3月にジャスダック市場に上場したのを機に、「もっと日本の発展に貢献したいと強い思いを持ち、多くの人にチャレンジをする場を提供したい、頑張る人たちを応援したい、日本の経済を少しでも活性化するきっかけをつくりたいと思った」と開催の経緯を語りました。
そして、「日本の経済は30年以上停滞している一方で、いたるところにチャンスはある」「経営はあきらめたら終わり、どこまでチャレンジできるか、という強い気持ちで立ち向かうことが最も有効」と語りました。
そして「DXを通じて持続可能な社会を実現したい。新たな第一歩がここから始まる」と結びました。
■ファイナリスト10組の熱いプレゼン
その後、学生部門4組、一般部門6組合計10組のファイナリストのプレゼンが熱く繰り広げられました。賞を受賞した方々の概要をお届けします。
●最優秀賞 高田 悠希さん「MichiTERASU~障がい者の方の生活に根差したAIが社会を照らす~」(学生部門)
群馬県立高崎高等学校 高田悠希さん
最優秀賞は、群馬県立高崎高等学校に在学中の高校2年生、高田 悠希さんのビジネスプラン「MichiTERASU~障がい者の方の生活に根差したAIが社会を照らす~」が受賞しました。
AIを視覚障がい者の白杖に搭載し、自ら街に出てデータを集めるなどして新しい白杖を作りました。視覚障がい者のユーザーテストも実施し、評価を得ています。
「現状の福祉AIは多くが他分野からの流用であり、視覚障がい者の生活に根差していない」という課題を発見したことで、「障がい者の生活に根差したAI」を開発するに至ったそうです。
●優秀賞(学生部門)「面倒くさいから買わないを無くす!人と地球にやさしい商品を手軽に買おう!」藤原 七海さん・平井 美江さん
優秀賞の学生部門では、高校生の藤原 七海さん・平井 美江さんの、エシカルファッション専門のECアプリの提案「面倒くさいから買わないを無くす!人と地球にやさしい商品を手軽に買おう!」が受賞しました。
「Ethi」はエシカルファッション専門のECアプリです。複数ブランドの商品をまとめて掲載しており、多種多様なエシカル商品に触れることができる仕組みにしています。
「エシカルファッション」を購入しない最たる理由である情報不足と言う課題に目を付け、劣悪な労働環境や健康被害、大量生産大量消費、環境問題等の社会問題を解決するために開発しました。
●優秀賞(一般部門)「AI・IoTを活用した睡眠環境管理システムを備えた障がい者向け寝具」毛利 公一さん
優秀賞の一般部門は、株式会社 モーリスの毛利 公一さんの、重度障がい者の体験を基に考案された、誰もが安心・安全・快適な睡眠環境管理システムが受賞しました。
どの講演も現代ならではの持続可能な社会の実現を目指し、さらに人々の課題を解決したい熱い思いが伝わってくるものでした。
■衆議院議員 中西健治さんによる基調講演「日本社会の現状と飛躍する未来への展望」
衆議院議員 自民党神奈川第3選挙区支部長の中西 健治さんの「日本社会の現状と飛躍する未来への展望」の基調講演が行われました。
日本は90年代からデフレにより価格が上げられず「いいものをつくっても高い値段で売れなくなった」という実状がある中で、「マイナスばかりではない。今は円安。モノの価格が上がっている。30年間は下がっていたため、日本から生産拠点が海外へと移った。それが今、日本に戻り、もっとモノを作っていこうとメッセージとして掲げている」と述べました。
また「起業することが当たり前になることを目指したい。税制改正で実現したように、起業して成功した人がお金を入れたくなるエコシステム作ろうと思っている。今は、世の中が変わるチャンス。活かしていってほしい」と語りました。
■パネルディスカッション
最後に、パネルディスカッションが「Startup or Die ~もはや選択肢はない!?~」をテーマに行われました。
インプレス編集主幹、IT Leadersプロデューサー 田口 潤さんの進行により、若手起業家代表の株式会社SUPWAT代表取締役CEO 横山卓矢さん、企業内起業家代表の株式会社QAL startups代表取締役社長CEO 高松 充さん、グローバル企業で経験のあるエンジニア代表の株式会社ゼネテック 第1デジタルソリューション本部 本部長 松野 知愛さんが登壇し、多様な視点からディスカッションが展開されました。
テーマは、円安・コロナなど先が見えない時代において、「Startup or Die」、つまり「起業するか、死ぬか」という時代に来ているというもので、田口さんが考案したものでした。
高松さんは、「0か1かの『ゼロイチ』と起業家の間でいわれているが、チームと少しのお金があれば『1』になる。しかし『1』になっても『0』に戻ってしまう会社が多い。しかし『10』に行くには、教科書的にやってしまうと、さらに多くのチームやお金が必要になる。そういう意味では大企業の力を借りることで、『10』までいくスピードが速い。『ゼロ10』を目指してほしい。『10』ををゴールに据えて会社を立ち上げてほしい」と述べました。
横山さんは、スタートアップ企業を運営しながらの意見として『大企業に支援いただくのはかなり有効。大企業側もスタートアップの支援や協働ビジネスなどをやるべきでは」と述べました。
松野さんは、エンジニアとして「自分の市場価値は、陳腐化することは避けられない。昔身に付けた技術は陳腐化している。チャレンジという意味でのスタートアップをしないと、生き残れない」と述べました。
田口さんは、「IoTやビックデータでは、ひと昔前はとれなかったデータとれるようになった。今後は、テクノロジーを用いて、さらにできなかったことができなかった時代になる。だからこそスタートアップが求められているのではと思う」と述べました。
まとめ
「DXチャレンジ2022」最終大会のトピックスをご紹介しました。今後、さらに若い世代がスタートアップにチャレンジしてほしいと感じました。このコンテストは、多くの人々に良い活性化の材料になったことでしょう。
【参考】
ゼネテック主催ビジネスコンテスト「DXチャレンジ2022」最終大会結果発表(https://www.genetec.co.jp/topics-221220/)
「DXチャレンジ2022」受賞者発表(https://www.genetec.co.jp/contest/news_221220.html)