2019年4月に施行された「働き方改革関連法」の適用が間近に迫っています。
住宅メーカーを含む建設業界については、2024年4月から時間外労働の上限規制が設けられ、違法な労働をさせている企業には、懲役刑や罰金刑が科せられます。
この『2024年問題』によって、これまで以上に人材の獲得競争が激化することが予想され、人材の獲得に向けたさまざまな取り組みが業界内で進んでいます。
年間1万棟以上の建売住宅を供給する住宅メーカーの一建設(東京都豊島区、代表取締役:堀口 忠美)と専門学校 大阪モード学園(大阪府大阪市、理事長:粕谷 俊彦)が、産学連携の取り組みの一つとして「新卒採用広告・クリエイティブデザインコンテスト2023」を2023年11月24日(金)に開催しました。
最終発表および表彰式当日の様子をレポートしてお届けします。
■「新卒採用広告・クリエイティブデザインコンテスト2023」とは
「新卒採用広告・クリエイティブデザインコンテスト2023」は、一建設の新卒採用の広告クリエイティブデザインを、大阪モード学園グラフィック学科の学生がコンペの形式で考案する取り組み。
審査は一建設の社員と大阪モード学園の教師が行い、最優秀作品1点、優秀作品1点を決定しました。表彰された作品については、一建設の新卒採用サイトなどで使用される予定です。
●コンテスト開催の背景
一建設株式会社 執行役員 大西 徹也氏
一建設の執行役員で、大阪府を含む西日本エリアの責任者である大西 徹也氏は、開催の背景について次のように話します。
「当社はお客様により良い住宅を供給するため地域密着を心掛けて事業を展開しています。今後、さらに事業を発展させるためには、関西エリアをはじめ、各地域において優秀な人材の確保が重要になります。しかし、近年は、新卒採用活動による人材の確保に苦戦しているため、新卒採用数の増加を経営課題の一つとして挙げています。
本コンテストの開催は、今回で2回目。昨年の名古屋モード学園さまとの取り組みで、学生の方に提案いただいた広告施策によって、新卒採用の応募人数が増加したこともあり、今回大阪での開催に至りました」(大西氏)
大阪モード学園としては、学生たちが社会に出て働く前に、企業の経営課題に取り組み課題を解決する実践の場を作りたいとの考えで、本コンテストに参加しました。
■最終発表および表彰式当日の様子
プレゼンテーションの様子
最終発表と表彰式当日は、大阪モード学園 グラフィック学科の教師 竹村 和浩氏が司会を務め、グラフィック学科の学生19名、計5チームが参加し、新卒採用広告・クリエイティブデザインをプレゼンしました。
チームAは、女性をターゲットとし、「私の人生設計はここからはじまる」をキャッチコピーに据えていたところ、中間発表時の審査員からの意見を受け、ターゲットを新卒学生全体に拡大。大型ビジョンに人生ゲームのすごろくに見立てたデザインを掲げる提案を行いました。
チームBは、建設業界の課題を受け、「休日はチカラだ。」をキャッチコピーとし、「お客様の建設を考えることは休日を考えること」とプライベートと仕事を両立できる会社であることを訴求しました。
チームCは、電車内CMの広告や、ショッピング施設における女性に限定したポスター広告を提案。男性のイメージが強い建設業界で女性も興味を持つ内容を提案しました。
チームDは、内定を出した人の総数のうち、実際に入社した割合を示す内定承諾率の増加を目的に企画。また「真面目な人材」が欲しいとの事前ヒアリングから、デザインは一建設ならピッタリはまるという意味でパズルのイメージを用い、バスの車内広告向けに提案しました。
チームEは、ターゲットを広く捉えたデザイン、ユーモアを交えたデザイン、斬新で目を惹くデザインの3つを考案。それぞれデジタルサイネージ、駅構内の壁面、シート広告、電車内などの最適な媒体で展開する施策を提案しました。
審査員によるコメント風景
■最優秀賞と優秀賞が決定!「将来の仕事に活かしたい」
最優秀賞のチームEが表彰される様子
審査の結果、最優秀賞にはチームE、優秀賞にはチームDが選ばれ、審査員より表彰状とトロフィーが授与されました。
受賞したチームは、それぞれ次のように感想を語りました。
「こだわった点は、内定承諾率が低い課題を重点的にカバーしようと考えたことです。プレゼンでは、チームの皆で考えてアイデアを出し合ったことは絶対に伝えようと思いました。2ヶ月という少ない期間で提案するタイトなスケジュールを通して成長できました」(優秀賞チームD 調 智德)
「デザインやキャッチコピーには相当こだわりました。また、学生ならではの、あえて広告会社にはできない発想の企画にしました。一建設のような大きな会社とコラボできたのは貴重な経験。将来、仕事をするときも、今日のことを思い出して、より良いものをつくりたいと思います」(最優秀賞チームE 熊倉 愛乃)
今回のコンテストを終え、大西氏は次のように感想と展望を述べました。
「すべてのプレゼンが素晴らしかったですが、特に最優秀の提案については、いくつもの案の中から3案、それぞれに合った広告媒体を考えられていたのがとても印象的でした。2024年の春にブラッシュアップしたものを当社のホームページに載せ、広く周知していく予定です。今後も、さまざまな取り組みを行っていきたいです」(大西氏)
会場では程よい緊張感の中、フレッシュな学生らしいプレゼンが行われました。一建設にとっても、大阪モード学園および学生たちにとっても、双方が学びのある貴重な機会である印象でした。