「はれのひ」救済企画も好評。高野夏子新編集長に聞く再復刊『小悪魔ageha』のめざす道

2018/02/07
マガジンサミット編集部

「例えば、私だったら結婚式当日に式場に行ったらドレスないです…みたいな失望感だと思うんです」。雑誌『小悪魔ageha』(トランスメディア)の高野夏子編集長は、自身の気持におきかえ「はれのひ」の被害者を気遣いました。

「親御さんも、その日のために決して安くないお金を出して娘さんを祝おうとされている。子供にしてみれば悲しい気持ちはもとより(親に申し訳ない…)のようなもどかしさがあるのではないでしょうか」

2月3日(土)に、渋谷区(神泉)のスタジオで行われた「小悪魔ageha 振袖撮影会2108」の会場は、1月8日に成人を迎えた女性とその家族が次々と到着し、華やかな雰囲気に包まれていました。

この「振袖撮影会」は、「はれのひ」の被害にあった新成人のために何かお手伝いができないかと高野編集長が提案し、関西県内に12店舗展開する着物専門店、秦和グループ「たから弥」が応えて実現したもの。当日は衣装を無料で貸し出し『小悪魔ageha』の専属ヘアメイク、フォトグラファーなどのスタッフが集結して同紙の専用スタジオで撮影が行われました。

「はれのひ」の被害者のみならず、何らかの事情をかかえ成人式を行なえなかった女性も対象に、SNSで救済企画を告知し参加者を募ったところ100件以上の申し込みがあったそうです。

衣装の打ち合わせをする参加者。目移りするほどの種類と艶やかな衣装が用意された。

せめて振袖で記念写真が撮りたかった

アルバイトで貯めたお金で35万の振袖を「はれのひ」で買ったという横浜在住の女性は、「あの朝、着付けのためお店に行ったら閉まっていました。ラインで情報を知り慌てて別のレンタル店で着物を借りたのですが、式には間に合わないし二次会に振袖で出席する友達もいなくて…」と当日の混乱ぶりを話してくれました。

その後、女性は友人から『小悪魔ageha』の救済企画を教えてもらい応募したそうで「できれば振袖姿で成人式の写真を撮っておきたかった。買った着物もお金も戻ってきてはいないけれど…でも、お着物が可愛いしとても嬉しい」とはにかみながら撮影に臨みました。

また、京都から来た女性は「「はれのひ」の被害者ではありませんが、家庭の事情で振袖を用意できませんでした。インスタの告知を見て、憧れの『小悪魔アゲハ』のスタジオで振袖が着られて撮影できるなんて夢のようだと思ってダメもとで応募しました。今日、ここに来られて本当に嬉しいです」と笑顔をみせました。

高野編集長は、「『小悪魔ageha』では「成人式特集」を企画したことがあり、着付けの先生が身近にいらっしゃるし、撮影もメイクもできる環境が整っています。振袖をレンタルできるかどうかは分らない状態でしたが、とにかく実現させようと動いたところ、「たから弥」さんにご賛同いただき、今日を迎えることができました」とインタビューに応えました。

自身も振袖姿で案内役を務めていた編集長。「お祝いごとですから(笑)気合いを入れました」

「「はれのひ」被害者の方に手を差し伸べられた企業や着物屋さんは他にもいらっしゃいますし、我々にできることはなんだろう? と。それは“全力で可愛くなれる!”こと。掛襟は何種類も重ねて、帯どめもニ重に。振袖は、おもいきり艶やかな柄をご提供し“盛り盛り”にしています」と、他にはない『小悪魔ageha』らしい華やかさ追求したそうです。

参加者には事前アンケートをとり、好みの色・背の高さ・ヒップサイズ別に衣装を用意。

再復刊した『小悪魔ageha』がめざすところ

『小悪魔ageha』は、2005年の創刊以来、数々のファッションを流行させ、次々と新しいライフスタイルを提案。また、夜の接客業に従事する女の子達の華と闇を、ユーモアを交えながらも正面から向きあう特集記事などに定評があり、多くの女子に影響をあたえてきた雑誌メディアです。

再復刊にあたり、高野編集長が最も心がけていることは「モデルさんがカワイイと思ったものが全て。それを世の中に全力でお届けする」ということ。世の女性達が、誰かのためではなく自分のために“カワイイ”を思うことを、とことん追求する雑誌でありたいと語ります。

親子で愛読。広がる小悪魔ギャル世代

そんなギャルのバイブル『小悪魔ageha』ですが、時代によってギャル像も変化しており、特に最近のギャルは多様化しているそう。

「これがギャルという定番スタイルがあるのではなく、自分の好きだと思うこと、カワイイ!と思うことを追求するのが今時なんですね。ファッションも派手に盛りまくるのではなく、派手さのなかに“抜け感”のようなものを併せて、自分らしくナチュラルにみせるのも大切なテクニックの1つです」と話してくださいました。

高野編集長は「今回は目に見ない部分を含め、本当にたくさんの方やスタッフにご協力いただきました」とふりかえり、「とても残念な事件で許されることではないですが、それでも「振袖撮影会」を開催できて良かった。なかには、『小悪魔ageha』を親子で読んで下さっている方もいらっしゃって…こんなカタチではありますがお会いできて嬉しかったですね」と安堵した様子。思わぬかたちで読者の方との交流ができ、編集部にとっても大きなサプライズとなったようです。

 

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