新型コロナウイルスの感染拡大の影響で2月末から休園していた上野動物園が再開になりました。
「これで、パンダの絵本を子供に読んであげられる」と、ほっとしている親御さまも少なくないのでは。読むと、子どもは「パンダ、観に行きたい!連れてって!」と、なることは間違いナッシングでございます。動物園の前に再開されていた図書館でも、普段人気の高いパンダ絵本がイマイチ貸し出しになっていなかったような気もいたします。
逆に、これからは、お子様の動物園に行くモチベーションを高めるために、パンダ絵本の人気が急上昇するのではないかと。ところが!で、ございます。
人気パンダ絵本といえば、「パンダ銭湯」(絵本館)、「パンダたいそう」(講談社)が有名ですが、こちらも含め多くのパンダ絵本には親子パンダが登場いたします。
ところが、そのパンダの親子関係に、“ざんねんすぎる”生態が存在するのでございます。
野生のパンダは通常、1歳半から2歳ぐらいで親離れして、自然と親から離れていくのですが、なんと、パンダは成長するにつれて親のことを忘れてしまうのだとか。それだけではございません。父親パンダにいたっては、交尾後、すぐにメスパンダと離れてしまうので、自分の子どもが生まれたかどうかも知らないのでございます。
上野動物園のシャンシャンも1歳半までは親子で一緒でしたが、今では3頭バラバラに暮らしております。パンダは群れでなく単独(1匹)で生活する動物なので、展示の際もバラバラの部屋にしているとのことでございます。なので、絵本のようなパンダが親子で遊んでいるシーンを期待して行っても、今はその姿を見ることはできないのでございます。
さらに、こんな衝撃的な生態も……。
野生パンダが2頭(双子)出産した場合、1頭を捨ててしまうのでございます。母親と子どもで合計3頭になってしまうと、食糧不足になる可能性があり、強い方の1頭だけを育てるのではないかと言われております。絵本の世界のパンダからは想像もつかない衝撃的な生態(親子関係)が存在するのでございます。
ちなみに、日本パンダ界が頭を痛める「2021年問題」をご存知でございましょうか……。
上野動物園のシャンシャンが返還期限を迎えるため、今年いっぱいで中国に帰ってしまうのでございます。「え?シャンシャンは日本で生まれたんじゃないの。なんで帰らないといけないの…」と、思われる方もいらっしゃるかと。実は、レンタル先(海外)で生まれたパンダは、近親交配を避けるため、繁殖できる年齢(2歳)になると中国に返さないといけないルールがあるのでございます。本当はもっと前に帰国していたはずだったのを、小池都知事が交渉をして1年半、期限を延期してもらっていたそうでございます。
それだけではございません。実は、シャンシャンの両親のリーリーとシンシンも来年2月に10年のレンタル期限を迎えます。そう、このままいくと、2021年3月には、上野動物園からパンダがいなくなってしまうのでございます。
是非、今のうちに、生パンダの姿をお楽しみ頂ければと存じます。
(文:絵本トレンドライター N田N昌)