教育格差を無くすため、誰にでも学ぶ機会、また自分で学ぶ力を養うきっかけとして教育アプリ「NANIRO(ナニーロ)」を開発した株式会社 BYSENT。チャンスは誰にでも平等にあるべきという思いを込めて事業を立ち上げた赤松大輝代表取締役に、アプリ開発に懸ける思いと事業を立ち上げたきっかけについて聞いた。
”親子に役立つコンテンツを届ける” を目指して制作
BYSENTは、2019年9月に起業し、3~6歳の未就学児を対象にした教育アプリ「NANIRO(ナニーロ)」を開発、運営しています。絵本をデジタル化し、親子でコミュニケーションを取りながら学べるコンテンツをお届けしています。また、前職の経験を活かして中小企業を中心に広告のコンサルタント業務も行っています。
常に新たなことにチャレンジしていくことが好きな私は、会社員時代からいずれ起業するということは決めていました。アメリカ留学中には、世界中から集まった同級生達の子育て事情を知る機会があり、子育てをする中で多くの方がデジタルなものに頼りながらも不満を抱いているということを知りました。無料のコンテンツだと、どうしても子どもに見せたくないものも目に入ってしまうため、そういったことを解消できたらと思い開発に至りました。
「NANIRO(ナニーロ)」は、月額約500円で50作品以上(今後随時追加予定)の絵本を読むことができるサブスクリプション型アプリです。既存の絵本をスマートフォン用にリサイズして掲載している他、さまざまなジャンルのオリジナル作品も制作、作品数も随時増やしていきます。また、各作品にはナレーションがついており、まだ文字が読めない子どもでも一人で楽しむことができるため、保護者の方がどうしても手が離せない時や移動中にぐずってしまった時などにもお役に立てると思います。
絵本を楽しむ中で興味の対象を知ることが可能に
「NANIRO(ナニーロ)」は絵本を読むだけでなく、それぞれの作品の要素をタグ化して紐付け集計・分析することでお子さんが一人でアプリを使っている時、何に多く触れ興味を示しているのかが分かり、保護者の方に「コミュニケーションのアドバイス」という形でフィードバックされるようになっています。日頃、長時間一緒に過ごしている親子であっても知らないお子さんの一面に気付くことが可能になり、またコミュニケーションをより深められることも特徴の一つです。
また、多くの方が「勉強」というと学校の勉強を思い浮かべると思いますが、本来は人生を通じて学ぶ、より幅広い内容だと思っています。例えば、お金にまつわることを学ぶことで、計算や算数につながるなど、多方面からアプローチして学ぶべきだと考えています。IQ(知能指数)は小学校から学びますが、EQ(心の知能指数)は育った環境で左右されてしまうため、幼い頃の環境が重要と言われています。そういった点からも幼少期に多くの絵本に触れることで、想像力を養うことにつながり、人の気持ちを想像、心の機微を理解できるようになると確信しています。また自発的に学んでいく力、興味を持つことで、何が好きで嫌いなのか、知らないことを知る知的好奇心を育むことにもつながると考えています。
知的好奇心を持つきっかけになってくれたら
日本は一人一人がある一定のレベルまではいくけれども、そこで止まってしまうことが多くとてももったいないと思っています。これからは個の時代ですし、知的好奇心があり、自分で学んでいく力があれば伸びていく人も必ず増えるはずです。
今はインターネットで調べることで、さまざまな情報を得られ、自分で学んでいくことができる時代。「NANIRO(ナニーロ)」がそのきっかけになれたらと思いますし、嫌々やるのではなく楽しみながらやることが大切だと実感しています。というのも私自身、高校生の時に先生が嫌いという理由で物理を勉強しなくなったのですが、それは一つの可能性を減らしてしまい残念だったと後悔しています。でも子どもの頃からいろんなことに触れていけば、自分が何故嫌いなのかが分かり、判断する力も身に着けられると思います。
また、現在も多くの国では勉強したくてもできない子どもが沢山います。「NANIRO(ナニーロ)」を海外にも展開していくことで、多くの人にチャンスを与えたいし、チャンスは公平にあるべきだと考えています。「NANIRO(ナニーロ)」がきっかけで、日本だけでなく多くの国から、いろんなリーダーが出てきたらいいなと思うし、そのためにも良質なコンテンツ作りに尽力していきたいと考えています。
■プロフィール
1983年生まれ。マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院卒業。
2019年に株式会社BYSENTを設立。株式会社 博報堂に努めていた経験を活かし、広告のコンサルタントを行う傍ら、教育アプリ「NANIRO(ナニーロ)」を開発。「教育格差を無くす」という企業理念の実現のために日本に留まらず、海外への発信も模索している。