2024年1月10日から「TERRADA ART AWARD 2023 ファイナリスト展」開催!倉庫空間で独創的な展示

2023/12/22
佐藤 勇馬

東京・品川の寺田倉庫のイベントスペースにて、2024年1月10日から「TERRADA ART AWARD 2023 ファイナリスト展」が開催されます。2024年1月10日は招待者のみ入場可能で、期間は同年1月28日まで。入場は無料。

「TERRADA ART AWARD」は、新進アーティストの支援を目的とした現代アートアウォード。同社は本アウォードを通して、アーティストが活躍できる社会を紡ぐとともに、これからのアート業界を牽引する可能性を秘めたファイナリストが、自身の、そして日本のアートシーンの前例を超え、世界に羽ばたき、その存在意義を確立できるまでのキャリアを支援しています。

「TERRADA ART AWARD 2023 ファイナリスト展」では、倉庫をリノベーションしたイベントスペース「寺田倉庫 G3-6F」を舞台に、ファイナリスト5組が独自の展示を創り上げ、未発表の新作を含む作品を個展形式で発表します。会期初日には、最終審査員の金島隆弘氏、神谷幸江氏、寺瀬由紀氏、真鍋大度氏、鷲田めるろ氏からファイナリストへ授与する各審査員賞が発表されます。

※金光男氏

ファイナリストの展示プランとしては、金光男氏は「熱源を備えた金属製の展示台に、蝋で作った赤いカヌーが時間とともにゆっくりと溶けて崩れていくインスタレーション、蝋で作った平面作品を展示する。昨年来、ウクライナの戦争のニュースをよく目にするようになった。戦地に赴く父親や、国外に逃亡する妻子の映像を見て、母や祖父母の話を思い出した。これは、私に縁のない話ではない。今回、溶けていく赤いカヌーは、沈みゆくカヌー、別れ、イデオロギーの分裂だけでなく、新しい世界への旅立ち、平和と平穏への希望でもある。脆さと矛盾を内包しながら、続いていくものを示す展覧会になるだろう。」としています。

冨安由真氏は「ここ最近の制作に於いて、視点の転換に興味がある。例えば自己の視点と他者の視点。神の視点かも知れないし、亡霊の視点かも知れない。あるいは次元を超えて複数に重なる自己の視点かも知れない。夢を見ている時の視点は、目で捉えてはいないが、確かに見えていると認識している。そういった複数の視点の切り替えは、次元を行き来するかのような奇妙な感覚を誘発し、その拠り所の不安定さを意識させる。

マジックミラーの構造は、こちらから見えていない時は向こう側からは見えているということである。今回展示する部屋の構造物の中にあるモニタリングカメラでは、構造物の外側にいる鑑賞者の様子も映っている筈だが、鑑賞者がモニターを見ることのできるタイミングでは、鑑賞者を映すことはない。この作品では、照明のプログラミングによって見える対象が強制的に移り変わることで、見ること・見えることという概念への揺さぶりを行う。」としています。

原田裕規氏は「私自身はどこにも行かない。私自身はいつもそこにいて、まるで影のように、私が戻ってくるのを待っている──これは、本シリーズ作品の台本の一部だ。

かつて日本から各地に渡った移民は、他文化・他言語との接触の中で「ピジン語」に代表されるトランスナショナルな文化を生み出してきた。移民が経験したプロセスを、言語学習のシャドーイングによる「声の重なり」と、自身の表情をデジタルヒューマンにトラッキングさせる『感情の重なり』によって再演する。

遠くに行けば行くほど『私自身』に戻ってしまう人間の性(さが)と、それでもなお前進せざるを得ない人間の本性(ほんせい)。そのいびつで力強い歩みを空間全体で表現したい。」としています。

村上慧氏は「わたし、ただの書き割りなんだけど。セリフも何もないんだけど」

舞台上で<茂み>が話しかけてくる、という夢を見た。なんの事情も知らされないまま舞台に上げられ、なにをすればいいのかもわからず困っている様子で、こちらまで哀しくなってしまった。そこにはある種普遍的な、産業革命の時代から現代までを貫く<不安>の形が現れているように感じられた。

同じころ、認知症気味の祖父が、廊下にあるコートハンガーを人だと思っていることが発覚した。私は、それは本当はコートハンガーでもなんでもない<なにか>で、歳を経て<認知将>となった人間だけが、その存在に気づくことができる、という可能性について考えた。

そして、これらの体験に作品という形を与えるとき、ドローイングにおける「輪郭線」の問題も同時に考えられるのではないか、というひらめきがあった。ひいては「フィクションとノンフィクション」、あるいは「記憶と捏造」の二項対立図式も超えていけるのではないかと、そう思えた。

というコンセプトを明かしています。

※村上慧氏

また、やんツー(やんつー)氏は、おそらくは遠い、しかし意外に近くもある未来。人間が自分の手で作ることもじかに見ることもずいぶん昔に忘れ去ってしまった「美術」と呼ばれるものの実物がどこかに残されているらしい、という噂がまことしやかに流れていた。そしてある日、好奇心旺盛ないくつかの装置たちが、とある倉庫の奥まった場所で、青いシートにくるまれた「美術」のいくつかを発見する。しかし、「美術」を見ても、装置たちには「美術」のことがわからなかった。いったいこれらにどんな価値があるというのか。少なくともこの時代の人間の言葉や論理では説明することができないようだ。そこで、装置たちは、描き、飾り、見る、という、「美術」にまつわる人間のかつてのふるまいを模倣してみることで、「美術」を理解しようと試み始める。というコンセプトを明かしています。

 

【TERRADA ART AWARD 2023 ファイナリスト展】

会期:2024年1月10日(水)~2024年1月28日(日)

※会期中無休

※2024年1月10日(水)は招待者のみ入場可能

会場:寺田倉庫 G3-6F(〒140-0002 東京都品川区東品川2-6-10 寺田倉庫G 号)

開館時間:11:00~18:00(最終入館 17:30)

入場料:無料 ※予約不要

 

【TERRADA ART AWARD 2023開催概要】

https://www.terradaartaward.com

名称:TERRADAARTAWARD2023

対象活動:現代アート全般(絵画等の平面、写真、立体(オブジェクト)、テキスタイル、映像、デジタル・メディアアート、パフォーマンスなど身体表現、音または音楽など全ての媒体を含む)

支援内容:ファイナリスト5組に各300万円

※TERRADA ART AWARD 2023 ファイナリスト展のための新作制作・展示の費用を含む

副賞:「ルイナール ブラン・ド・ブラン」、「PIGMENT TOKYO」の商品10万円分、寺田倉庫の美術品保管サービスの2年間無料利用

主催:寺田倉庫株式会社

協賛:日本航空株式会社、MHD モエ ヘネシー ディアジオ株式会社

運営協力:藤原羽田合同会社

助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京【芸術文化魅力創出助成】

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佐藤 勇馬
この記事を書いた人

佐藤 勇馬

新宿・大久保在住のフリーライター。個人ニュースサイト運営中の2004年ごろに商業誌にスカウトされて以来、芸能、事件、ネットの話題、サブカル、漫画、プロレスなど幅広い分野で記事や書籍を執筆。著書に「ケータイ廃人」(データハウス)「新潟あるある」(TOブックス)など。 Twitter:ローリングクレイドル

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