ネット上では、オチが秀逸な映画がたくさん紹介されております。「ハズレなし!オチが凄い」「最後まで結果が分からない…」「どんでん返しがエグイ」…、様々なタイトルが踊っております。作品としては「太陽がいっぱい」「猿の惑星」「スティング」「シックスセンス」などが有名でございます。チョイスが古くて申し訳ございません。
ところが、絵本のオチの秀逸な作品は、ほぼ紹介されておりません。「どうせ子供だましだろ」と思われているとしたら、それは大間違いでございます。大人が舌鼓をうつオチが秀逸な絵本、たくさんございます。そこで今回は、オチが超秀逸なナンセンス系の大人絵本を絵本専門士の名にかけて、厳選ご紹介させて頂きます。
「ねむれない おうさま」(原作:ベンジャミン・エルキン 絵:ザ・キャビンカンパニー 訳:こみや ゆう)
こちらは、なぜか眠れない王様のために、家来たちがあれやこれや様々な対策を行うという物語。出版されたのは去年6月。“子供が10分で眠る”と話題になった絵本「おやすみロジャー」が、まだまだ話題の頃でございます。でもこちらの絵本は、科学(心理学)の力で眠らせる「おやすみロジャー」とは対極にある絵本でございます。
そして最後のオチに「やられた!そういうことね」と思うと同時に、「寝かしつけるって、…かもしれない」とほっこりする絵本でございます。絵もとても素敵でございます。人気急上昇中の絵本ユニット「ザ・キャビンカンパニー」様が絵を担当。とってもポップでアート絵本として大人へのプレゼントにも最適かと…。
「うみのしっぽ」(文:内田 麟太郎 絵:長 新太)
こちらもラストがゴイスーです。このオチを予想するのは不可能に近いかと。赤ちゃんレベルの頭の柔らかさが必要かと。我こそはという方には、是非、チャレンジして頂きたい絵本でございます。なんといっても、作者がゴイスーです。内田麟太郎、長新太という絵本界の巨匠、ナンセンス絵本の巨人二人のコラボ作でございます。そりゃ凄いに決まっております。
ちなみに、お話は猫が他の動物達にいじめられて川上へとどんどん逃げていくお話でございます。それが大自然の計り知れない力を痛感させてくれることになるのでございます。おそるべし内田麟太郎、長新太でございます。
「バルバルさん」(作:乾 栄里子 絵:西村 敏雄)
こちらは、ある理髪店のお話でございます。バルバルさんは床屋さん。バルバルさんはそこの店長。その日は、ちょっとかわった、いや結構かわったお客さんが来店します。ライオン、ワニ、ヒツジ、…。その理由は最後にわかるのですが、さりげなくて、大人が素敵なオチだなぁと、ほっこりする絵本でございます。
大人絵本ブームと言われるなか、まだご体験されていない大人の方、「絵本なんて子供のものだろ」と思われている方、騙されたと思って、是非読んで頂きたい3冊でございます。
(文:N田N昌)