去年から売れに売れまくっている児童書といえば、そう「ざんねんないきもの」シリーズでございます。大人の読書が多いのも大ヒットの理由のひとつかと…。内容はご存知の通り、いきもの、主に動物の残念なトリビアを紹介した本。累計160万部を突破!今年5月には第3弾も発売予定とか…。
そんななか、今回ご紹介したいのは、ざんねんでない植物のお話でございます。先日、TBSラジオの「久米宏ラジオなんですけど」に植物学者で甲南大学特別客員教授の田中修先生がご出演、植物のスゴさについて解説されておりました。動物達の残念な話がブームの中、植物のスゴさについてのお話は、とても新鮮で魅力的でございました。
もし、出版関係者の方でこれをお読みになられている方がいらっしゃれば、是非「ざんねんでない植物」企画をご検討頂ければと思う次第でございます。そこで今回は、番組中でもご紹介されていたお話をいくつかご紹介させて頂きます。ご興味を持たれた方は、田中先生の「植物はすごい」(中公新書)をお読み頂ければと存じます。
これから桜の季節ですが、桜は花が咲いたあとに葉が出てまいります。言われてみれば…、そんなこと全然気が付かなかった、疑問にも思わなかった…、そういう方も多いのでは。植物と言えば普通、葉が出て、その後で花が咲くものでございます。アサガオしかり、ヒマワリしかり、でございます。
ではなぜ、桜は花が先なのか…。植物が花を咲かせるのは、タネを残すためでございます。そのタネの中には十分な栄養を送り込んでおかなければなりません。その栄養を作るのが、葉でございます。なので、植物は芽が出たらまず葉が出来て、そこで栄養を作り、その後、花を咲かせた後、栄養をタネに送り込むという手順を踏んでおります。
がしかし、桜は、すでに自分の幹の中に栄養を十分持っているので、葉を作る必要がないのでございます。「へぇ~ へぇ~ へぇ~♪」…でございます。是非、今年の花見の際には、この蘊蓄をご活用くださいませ。
あともうひとつ。「植物に話しかけると、よく育つ」という話をよく耳にしますが、田中先生によると、これはまったくのデマだとか…。先生によると、いくら声をかけたり、励ましても、りっぱな花は咲かさないとのこと。がしかし!
植物は言葉には反応いたしませんが、触られるとそれを感じることはできるのでございます。触られるとエチレンという物質が発生、太く、短く、たくましい茎を作るのでございます。そして、ここもまた植物のスゴイところなのですが、植物は自分の体で支えられる、ちょうどいい大きさの花を咲かせるのでございます。そう!なので太い茎には大きな花が咲くのでございます。
つまり、大きな花を咲かせたかったら、警察に通報されない程度に触りまくってください、ということなのでございます。「植物にやさしい言葉をかける」というのは、そういう人は、よく植物をなでたり触ったりしていることも多く、その結果、「植物が言葉に反応する」というデマが広がったのでは…ということでございます。
その他、田中様の著書「植物はすごい」の中では、「ライオンを殺すトゲのすごさ」、「クリの実の堅い守りのすごさ」、「枯葉になっても親を守るすごさ」、「植物は熱中症にならない」など、たくさんの植物のゴイスー話、「ざんねんでない」話が綴られております。興味を持たれた方は是非、ご体験くださいませ。
(文:N田N昌)