WFP国連世界食糧計画(以下、WFP)の親善大使に俳優の杏さんが就任し、その記者発表会が7月14日に都内で開催されました。発表会では、焼家直絵日本事務所代表から杏さんへ感謝状が贈呈されたほか、杏さんを親善大使として迎えた経緯、また杏さんからは親善大使としての意気込みや想いなどが伝えられました。
写真左から)焼家直絵日本事務所代表と杏さん
国連WFPの活動とは?
120以上の国と地域で活動している世界最大の人道支援機関WFPは、加盟国36カ国からなる「WFP執行理事会」(WFP Executive Board)によって運営されており、理事会がその活動に関して政府間支援、指揮、監督を行っています。
WFPは“誰も見捨てない”が使命。紛争や災害発生などの緊急時には48時間以内に食料支援が行えるよう陸・海・空を駆使した物資輸送などの救助体制を整えており、救助後は地域の自立をめざした支援を行っています。
焼家代表は杏さんに「真面目で真摯なお人柄はWFPが目指す姿と一致しました。食料危機が今までにない規模で起きており、今後、ますます酷くなっていくなかで、杏さんを通して皆さまにWFPの活動を知っていただき、共感、協力していただけることを期待しております」と伝え感謝の意を表しました。
親善大使就任について「正直、躊躇した」という杏さんは、「私は安全に生活し飢えたこともない。美味しいものを食べることが大好きで、キレイな洋服をきて、あったかい寝床に寝ることを日常的にできる幸運な立場にあります。また、自分の子ども達をいちばんに考えて守らなければならない。すべてをなげうってまで、何かできることを探すということは現実的にはできないです」と自身のバックグラウンドを語り「自分が何をできるのか不安」だったと話します。
しかし、小学校入学を控えたお子さんから「お勉強とかできないけれど、どうしよう?」と相談され「皆、できないから学校に行く。できないのが当たり前なんだよ」と答えたことが自身への答えと重なり「できるからではなく、できないからこそ、探し、もがき、動く必要がある」と思い至ったそう。「同じ環境にいなければ発言権がないということではなく、今を生きる人間(ひと)として、より良い未来が実現するよう最大限、自分ができることを探していきたい」と意気込みを語りました。
すでに親善大使の初仕事として、WFPの食糧支援を訴えるACジャパンの新CMのナレーションを担当しており、発表会ではCMにも登場するWFPが提供している学校給食を再現した「豆と野菜の煮込み」が用意され、杏さんや出席者に試食の機会が設けられました。
写真)「ごはんと豆と野菜の煮込み料理」を試食する杏さん。
この「学校給食」は子ども達への食糧支援のみならず、学校の出席率や成績向上にもつながる他、現地の食材や仕込み方法を取り入れた地産地消を展開することで、雇用など自立した経済効果を産むプログラムとしても重要視されています。
食糧危機は他人事ではない
2020年の飢餓人口は世界で最大8億1100万人であり、その後も地域紛争・気候変動・新型コロナウイルスのパンデミックを要因とした価格高騰などにより、全世界の10人に1人が貧困と飢餓に悩む時代です。
杏さんは、現在起きている世界的な食糧危機の課題に対し「例えば、スーパーで見切り品や消費期限の近いものから手に取ること、食材を無駄にしないように調理・保存すること、またお子どもには、最後まで口のなかに入れて、食事を散らかさずにキレイに食べることを教えている」と話し「そのような毎日の取り組みが巡り巡ってフードロスの解消につながるのではないか?」と世界の飢えや飢饉を知る第一歩になると提案。
焼家代表は「杏さんやWFPのキャンペーンなどを通して支援の輪に加わっていただけると幸い。なかでも食糧問題は他人事ではなく、支援活動を知ることで、国際協力をしてみたいと思うきっかけになれば嬉しいと思っている」と訴えました。
また、発表会ではロシアの進行以来、約50万人のウクライナ人が避難しているモルドバ共和国と中継がつながり、難民受け入れ施設となっている「モルドエキスポセンター」から現地の広報官や難民らによる状況報告が寄せられました。
モルドバには現在も約8万8000人の避難民がとどまっており、女性・子ども・高齢者を中心に約175名が「モルドエキスポセンター」で生活しています。センターではWFPの支援により1日3食の温かい食事と飲み物、食事の合間のスナックやソフトドリンクなどが提供されている他、子どものためのプレイルームやおもちゃ、ゼリーのようなお菓子も用意されており、今後も支援を継続的に行っていくとのことです。
国連WFPの活動や問い合わせ、詳細については https://ja.wfp.org/ まで。