
春は寒暖差や環境の変化によるストレス、歓送迎会の暴飲暴食などで胃に不調が起きやすい季節です。そこで、今回は医師の工藤あき先生に胃の三大トラブルやその対処法を聞くとともに、胃の不調に対する対策レシピを管理栄養士の渥美まゆ美先生に聞いています。
胃の三大トラブルとは
工藤先生は胃のトラブルは以下の3タイプに分かれると語ります。
1.胃もたれタイプ(消化器への負担)
食後に胃が重く感じる、なかなか消化されないといった症状が特徴。 主な原因は食べ過ぎや脂っこい食事、早食いなどによる消化器への負担によるもの。
2.胃痛タイプ(ストレスや胃酸の影響)
キリキリとした痛みや違和感が続くタイプ。特にストレスがかかったときや空腹時に悪化しやすいのが特徴。
3.胸焼けタイプ(胃酸の逆流)
みぞおちから喉にかけて熱く感じる症状。 食後すぐ横になると悪化しやすく、胃酸が食道に逆流することで起こります。
胃の不調への対処法

工藤先生は胃の不調への対策について以下のように語っています。
胃もたれタイプのトラブルは「早食い」「脂っこい食事」「生活習慣の乱れ」といった原因が続く限り「胃酸を抑える」、「粘膜を保護する」といった作用の胃薬を飲んでもすぐに再発する傾向があります。生活改善なしでは改善しにくいため、「早食い」「脂っこい食事」「生活習慣の乱れ」を正してあげることが大切です。
胃痛タイプのトラブルに関しても「胃酸を抑える」、「粘膜を保護する」といった胃薬を飲んでもすぐに再発する傾向があります。原因となる外部要因を取り除くことが近道ですが、寒暖差や環境変化、ストレスを回避するのはなかなか難しいもの。そこでおすすめなのがヨーグルトなどに含まれる「乳酸菌」です。胃にも菌活は有効で、ピロリ菌の活性を抑えたり、胃痛や胃もたれなどを和らげたりする乳酸菌(LG21乳酸菌)もあります。このように善玉菌を利用する菌活を始めてみてもよいでしょう。
胸焼けタイプのトラブルに対しては、胃酸の逆流を抑えることが大事です。胃酸の逆流や出過ぎに関しては、胃酸分泌を抑制する胃薬も効果的です。しかし、近年は以下のように胃酸分泌抑制剤の長期服用リスクも指摘されています。
① 胃酸の殺菌作用が弱まることで、腸感染症リスク(食中毒や胃腸炎)が高まること。
② 胃酸が少ないと吸収効率(カルシウムや鉄など)が低下する場合がある。
③ 胃酸の減少により腸内細菌のバランスが変わる可能性も。
④ 胃にすみ着く細菌の種類が変化して胃がん発症リスクの上昇につながる可能性。
胃薬は胃の不調を和らげるために欠かせない存在ですが、根本解決するには日々の胃のケアが大事です。対処と予防を組み合わせ日々胃をケアしていくことが、胃薬の不要な長期服用を防ぎ、慢性的な胃の不調の解決につながります。
胃酸の逆流を抑えるためには、暴飲暴食をしないことと寝る時の姿勢が重要。胃は左側が膨らんでいるので、左側を下にすると膨らんでいる方に胃酸が溜まって逆流しにくく、逆に右側を下にすると胃液が食道に流れ込み胸焼けの原因となってしまいます。また、牛乳やヨーグルトなどの乳製品は胃酸の中和を助け、胃の粘膜を保護し、症状の緩和に役立つとされています。
胃の不調は「症状が出たら薬で抑えるもの」というイメージを持つ人が多いかもしれません。しかし、症状だけに対処する方法では「効かない」「すぐ再発する」と感じやすくなります。
大切なのは原因を理解し、適切に対処することです。実は、胃は日々のケアによって状態を整えることができ、症状の発症そのものを抑えることも可能です。 つまり、胃は“対処するもの”ではなく、“変えていけるもの”なのです。
胃の三大トラブル解消レシピ
次は管理栄養士の渥美まゆ美先生が考案した胃の三大トラブルを解消するためのレシピを紹介します。
・胃もたれ対策「ヨーグルトとジンジャーパイナップルのセパレートスムージー」

こちらは食後の「消化を助けて、胃にためないこと」を目的とした胃もたれ対策の一品。パイナップルに含まれる酵素がたんぱく質の消化を助けてくれるほか、生姜が胃の動きを促して食べたものをスムーズに送り出してくれます。また、ヨーグルトは胃酸の刺激をやわらげながら、消化しやすい形で栄養を補給できるため、胃への負担を軽減する効果が期待できます。
材料/2名分
ヨーグルト(プレーンタイプ) 100g
パイナップル 200g
生姜 1/2かけ(8g)
はちみつ 大さじ1
飾り用パイナップル(サイコロ状に切る) 40g
生姜(千切りに切る)1/4 かけ(4g)
ミントの葉 2枚
作り方
1 パイナップル、生姜はぶつ切りにする。
2 1とはちみつをミキサーやブレンダーに入れて滑らかになるまで撹拌する。
3 器にヨーグルトを入れ、2を注ぎ、マーブル模様になる位に軽く混ぜ、飾り用のパイナップル、生姜、ミントを飾る。
・胃痛対策「洋風ヨーグルト茶碗蒸し」

こちらは「胃にやさしく負担をかけずに栄養をとること」を目的とした一品。ヨーグルトは胃酸の刺激をやわらげながら消化しやすい形で栄養素を補給でき、胃への負担を軽減してくれます。また、卵は消化吸収がよく、オクラに含まれるペクチンは粘り成分として胃の粘膜を保護して刺激から守る働きがあります。
材料/2名分
鶏もも肉 60g
マッシュルーム 2 個
オクラ(小口切り冷凍) 40g
卵 2 個
ヨーグルト(プレーンタイプ) 100g
A熱湯 50ml
Aコンソメ顆粒 小さじ1/2
A塩 ふたつまみ
作り方
1 鶏もも肉は小さめの一口大に切る。マッシュルームは薄切りにする。鶏もも肉、マッシュルーム、オクラは耐熱容器2個にそれぞれ分けて入れる。
2 Aを混ぜ合わせる。卵は割りほぐし、ヨーグルトを加えさらに混ぜ、Aに加えよく混ぜる。
3 1に2を流し入れふんわりラップをし、600wで4分加熱。1分程保温し中心部まで火を通す。
・胸やけ対策「キャベツとリンゴのヨーグルトコールスロー」

キャベツに含まれる成分は胃の粘膜の修復をサポート。りんごに含まれるペクチンは粘膜を保護するとともに腸内環境を整え、消化の流れをスムーズにします。ヨーグルトは胃酸の刺激をやわらげながら消化しやすい形で栄養を補給でき、胃への負担を軽減。「粘膜を修復する」「粘膜を守る」「胃の状態を整える」という働きによって胸やけの予防・軽減につながります。
材料名/2名分
キャベツ 150g
塩 小さじ1/2
りんご 1/2個
Aヨーグルト(プレーンタイプ) 60g
Aオリーブ油 大さじ1
A塩 ふたつまみ
Aこしょう 少々
作り方
1 キャベツは細切りにして塩を振り、5分程置いてしんなりしたら水気を絞る。りんごは皮をよく洗い、芯を取り5mm幅いちょう切りにし、酢水(分量外)にさっと漬ける。
2 Aをボウルに混ぜ合わせ、1を加えあえる。
胃のトラブルが起こりやすい春の季節。もし胃の不調を感じたら、どのタイプの不調かを確認し、対処と予防を組み合わせた日々のケアを続けていきましょう。






