年賀状、メッセージアプリ全盛で減少傾向が続くも…コロナ禍で「思い伝わる」と再評価

2020/12/24
佐藤 勇馬

パイロットコーポレーションは、日本人の書き文字文化の象徴ともいえる「年賀状」をテ-マに『ビジネスマン・OLの年賀状に関するアンケート調査』を実施。ビジネスパーソン男女計401名を対象にした、通算41回目となる同調査の結果を22日に発表し、コロナ禍が年賀状文化に与えた影響などを分析している。

まず、2021年の年賀状を出すかどうかを尋ねると「出す」と答えた人は60.8%となり、過去の調査から続く減少傾向が今年も変わっていないことがわかった。年賀状を出す理由は、昨年同様に「新年の挨拶として」(85.2%)、「日頃、無沙汰しているので」(52.5%)が上位になり、次いで「コロナ禍で会えていないので」(39.8%)が票を集めた。

一方、年賀状を「出さない」と答えた人にその理由を聞いてみると「LINE等メッセージアプリで代用」(59.9%)、「準備が面倒」(52.2%)が上位に入り、次いで「出す相手がいない」(31.2%)になった。

続いて「新年の挨拶で活用するツール」について尋ねと、昨年に続いて1位は「LINE等メッセージアプリ」(76.3%)、次いで「年賀状」(59.9%)となった。LINEは新年の挨拶に使うツールとして一般化しているが、「年賀状」も昨年とほぼ同数(2020年:60.7%)の票を集めており、一定の支持を維持していることがわかった。

「年賀状を出す相手」は、トップが「友人・知人」(91.8%)となり、次いで「親類関係」(80.3%)に。「親類関係」は、昨年調査と比べて12.1ポイントもアップしており、コロナ禍で帰省が難しくなった世相を表している可能性がある。

また、「会社等の上司」(47.5%)、「会社等の同僚」(45.9%)、「取引先等」(37.7%)がそれぞれ大きく数字を伸ばしており、在宅勤務やリモート会議などで働き方が大きく変わったことが影響しているとみられる。

その一方で「できれば年賀状を出したくない相手」は、半数以上が「出したくない人はいない」(50.9%)と回答したものの、以下は「会社等の上司」(25.9%)、「会社等の同僚」(23.9%)、「取引先等」(20.2%)と仕事関係が続いている。年賀状を出す相手として数字を会社関係が伸ばしたが、同時に「出したくない相手」でもあることもわかった。

「もらって一番うれしい年賀状のタイプ」を聞いてみると、トップは「手製のイラスト、版画、絵手紙、達筆な文字で書かれたもの」(57.9%)に。オリジナリティのあるお手製の年賀状が人気のようで、次いで「家族写真が入っているもの」(19.7%)となった。

「年賀状の手書き箇所の有無」について質問すると、88.5%の人が「手書き箇所がある」と答えた。「手書き箇所がある」と答えた人に「年賀状を手書きする理由」を尋ねると、「気持ちが伝わる感じがする」(48.6%)がトップで、次いで「手書き箇所がまったくないとDMのような感じがするから」(47.2%)が入った。また、33.3%の人が「コロナ禍で会えていないので手書きしたい」と回答し、手書きで思いを伝えたいという傾向があることがわかった。

最後に「年賀状があった方がいいか、なくてもいいか」と尋ねると、62.1%の人が年賀状を「必要」と答えたが、例年と比べると減少傾向となった。「年賀状が必要な理由」については「会えない人との連絡が途絶えて困るから」(45.8%)、「お正月らしくなくて寂しい」(45.0%)が上位となり、年賀状は今でも会えない人との繋がりを感じられる正月の風物詩であるようだ。一方、年賀状が不要だと思う理由としては「SNS等で代用するから」(59.2%)がトップになっている。

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この記事を書いた人

佐藤 勇馬

新宿・大久保在住のフリーライター。個人ニュースサイト運営中の2004年ごろに商業誌にスカウトされて以来、芸能、事件、ネットの話題、サブカル、漫画、プロレスなど幅広い分野で記事や書籍を執筆。著書に「ケータイ廃人」(データハウス)「新潟あるある」(TOブックス)など。 Twitter:ローリングクレイドル

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